2月上旬にクラファン支援者向けに映画の完成記念試写会を開催しました。
そのときのレポートを訳者で通訳の小野寺愛さんが書いてくれました。
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アリスの映画『We Are What We Eat - 未来につなぐおいしい解決策』試写会の余韻がまだ続いています。
温かさに溢れたあの場が実現できたのは、東京ローカルな農家さんの一声からでした。
「アリスが言う “Farmers First(農家が一番)” や “畑から食卓を考える” ことについて、彼女をフォローしている人でも実体験としては感じたことがない方が多いのではないでしょうか。今の東京はちょうど農閑期です。でもそんなこと、皆さん普段は意識していないかもしれない。
全国から食材を集めたらなんだって作れるけど、本当の意味での ”東京の Farm to Table” を体験していたくために、今回はあえて、人参づくしでメニューを組み立てみるのはどうですか?」
そんなOme Farm Futoshi Otaさんの一声に心から賛同して、Cadotaの料理人 Naoyuki Araiさんが動いてくれました。
結果は、言うまでもなく大成功。東京試写会に参加してくれた皆さんの胃袋と心はこれ以上ないほどに鷲づかみにされていたように思います。
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料理の試作のために、Ome Farmまで行ってみて驚いたことがいくつか:
・水:森の湧水(!)で農業をしていた。甘くて丸く、おいしい水だった。
・土:耕さず、命の総量を増やす農業=リジェネラティブ農業が土地に根付いていた。畝の周りがふかふかで、被覆作物は種を蒔かずとも自然と生えていた(そしてその土地のありようが、ボブさんの畑に酷似していた…!)
・野菜:東京ドーム1つ分、4.4haもある農地で、40-50品目を育てていた。しかも野菜はすべて「固有種」。種取りまで行っている。
・人:そこで働いているスタッフは、たったの6人…!さぞ大変だろうと思うけれど、皆が誇りを持って自分の仕事をしていることが伝わってきた。皆で家族のように食卓を囲むまかない時間が大事にされていた。
・蜂蜜:自然のまま、非加熱のハチミツもOme Farmの主力商品。蜂蜜が美味しいだけでなく、ミツバチたちが野菜の受粉にも一役買っていることは言うまでもない。
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水なのか、土なのか、固有種だからか、そのすべてか。人参たち、そして畑でつまんだルッコラの味は驚くほど甘くて「ぎゅっ」としていました。
人参づくしのフルコースがどれだけ美味しかったか、どれだけ旨味と甘味を感じたか。
それを食べて、農家さんの話を聞いてから映画を観た人たちがどれだけいい顔をしていたか。
残念ながら、私はそれを言い表す言葉を持ち合わせていません。
参加者の一人が(映画と料理の両方に触れてから)「こんなに価値観が揺さぶられた夜はない」と言ってくれたこと、そして私自身も(リゾットの金時人参の甘みに愛を感じてしまい)涙が出たことだけ、お伝えしておきます。
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映画の随所で「Farmers First (農家が一番)」が語られるのを見つめるOme Farmオールスターズの背中が美しくて、アリスのこんな言葉を思い出しました。
『私たちの食べ物を育ててくれる農家さんと
自分の暮らしを、もう一度つなぎ直しましょう。
未来をつくる公立学校での教育を、
社会の最優先事項として捉え直しましょう。
農家さんや学校の先生という
本当に価値ある職業を、もう一度尊敬される
名誉あるものにしていきたいです』
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本当に、そう思います。
Ome Farmの皆さん、Cadotaチームの皆さん、素晴らしい会場を提供してくださったUniversity of Creativityの皆さん、そして、映画づくりをクラウドファンディングで支えてくださった皆さん、ありがとうございました!
今後も全国各地で上映会は続きます。ぜひお近くの会場にお越しいただけたら嬉しいです。
▼上映会情報はこちら▼
https://note.com/amanokaze/n/n085abedfbdc1
トップ写真撮影 / 西村亮哉