モロッコ風景絵本「はげたかの旅」出版:野鳥保全への貢献も目指して

2024年春、モロッコの風景を織り交ぜた絵本を出版します。幽閉と自由、母子愛、旅への憧れや帰郷をテーマとし、誰にでも必ずどこかしらで共感頂ける物語だと思います。コウノトリに育てられるハゲタカを主人公とするこの絵本出版からの収益は、モロッコの野鳥保全団体に寄付します。

現在の支援総額

821,000

76%

目標金額は1,068,300円

支援者数

118

募集終了まで残り

終了

このプロジェクトは、2024/01/16に募集を開始し、 118人の支援により 821,000円の資金を集め、 2024/03/12に募集を終了しました

モロッコ風景絵本「はげたかの旅」出版:野鳥保全への貢献も目指して

現在の支援総額

821,000

76%達成

終了

目標金額1,068,300

支援者数118

このプロジェクトは、2024/01/16に募集を開始し、 118人の支援により 821,000円の資金を集め、 2024/03/12に募集を終了しました

2024年春、モロッコの風景を織り交ぜた絵本を出版します。幽閉と自由、母子愛、旅への憧れや帰郷をテーマとし、誰にでも必ずどこかしらで共感頂ける物語だと思います。コウノトリに育てられるハゲタカを主人公とするこの絵本出版からの収益は、モロッコの野鳥保全団体に寄付します。

エンタメ領域特化型クラファン

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コウノトリ の付いた活動報告

Report Vol.4 目次1.砂漠だけじゃない2.鳥相3.我らがハゲタカ4.そしてハゲトキ1.砂漠だけじゃない海と山と砂漠に囲まれた とある王国の小さな動物園の檻の中で一羽のハゲタカが卵を産みました― 「ハゲタカの旅」より絵本の表紙の絵を見た山登好きの親戚が、「モロッコにも雪山があるって意外」と。モロッコといえば、砂漠にラクダのイメージが一般的に強いようです。実際は、国際空港のある主要都市から、砂丘の連なる砂漠に行くにはかなりの時間車で移動して、モロッコを南北に縦断するアトラス山脈を越えてゆかねばなりません。沿岸部に住むモロッコ人には、砂漠を見たことがないという人も多いのではないかと思います。北に地中海、西に大西洋、東と南に向かって山脈を越えたらより乾燥したオアシス地帯、化石がたくさん出る砂漠に続きます。その途中には肥沃な農地やマツタケも採れる針葉樹の森も(モロッコはヨーロッパに多くの野菜果物を輸出する農業大国、美味しいワインも作られます)。最高峰は、富士山よりも高い4000メートル越えのツブカル山。例年冬には、高山は雪化粧もするのです。これだけ多様な自然環境に生息する動植物も数が豊富です。動物種24,000種(うち11%が固有種)、植物種7,000というモロッコの生物多様性は、地中海地域で2位とか。数字を並べてもピンとこないかもしれませんが…とにかく、砂漠だけじゃない。私から特別にそう注文したわけではなかったのですが、表紙に砂漠ではなく雪山を描いたロリは、やっぱりすごい。雪を頂く高アトラス山脈(2024年2月撮影)今週、まさに雪山を仰ぐ山岳部、昨秋の大震災の震源地近くまで行く機会がありました。破損した道路の修復や建物の解体作業が今も急ピッチで進められ、あちこちに仮住まいのテントが見られました。人々はとにかく逞しく、そして風景はひたすら雄大で美しかった。厳しい冬が過ぎ、春の訪れを感じさせる花も咲き始めていました。地震による山崩れで塞がれた多くの道路は、当局の昼夜問わずの懸命の努力により、震災後2−3週間のうちに全て開通。しかしアクセスの困難な山岳地帯で破損されたインフラ修復には今後何年もかかります。奥に仮住まいのテント。手前にまだ建っているように見える建物の中にも、破損のためもはや住めず解体・再築を待つものも。この地域にはヨーロッパ人に人気のトレッキングツアーの拠点も点在していますが、観光業再開にはまずは一帯へのアクセス路の補修と建物整備が必要。2. 鳥相 - avifauna 育ての親の コウノトリのおばさんのような優しいコウノトリたちに たくさん出会いました― 「ハゲタカの旅」より話を生物多様性に戻して、絵本の主人公である鳥に関して言えば、国際野鳥保全組織バードライフ・インターナショナルが指定するIBA(重要鳥類生息地:Important Bird Area)には現在46箇所が選定され、ラムサール条約で守られる水鳥の貴重な生息環境の湿地帯は現在38箇所(日本はそれぞれ167箇所と53箇所)あります。これまで494種の鳥が確認され、うち北アフリカの固有種11種、そして100種近くが希少、あるいは生息が脅かされています。バードライフ・モロッコ提供14,000ha、地中海南岸第2の大きさをもつ潟湖(ラグーン)のマールシカ湖は、ラムサール条約登録サイトであり、且つ重要鳥類生息地(IBA)。ここでも活動を展開するバードライフ・モロッコは、近年ここにイカダ式の鳥の営巣スポットを導入。岸での営巣では野犬など天敵に襲われる危険が高い。モロッコはさらに、北極圏・カナダ・グリーンランドやシベリアから毎年南部アフリカに向かう渡り鳥のルート(東大西洋飛行経路:East Atlantic Flyway)上に位置し、とても重要な経由地、休息地でもあります。コウノトリやハゲタカはじめ、北から南下してきた鳥たちは、ジブラルタル海峡を越えモロッコに入ったところで栄養補給し、広大なサハラ砂漠を飛び越える力を蓄えてから、再び南に飛び立つのです。故に、モロッコの野鳥生息環境が守られることの意義は、同国だけにとどまりません。バードライフ・モロッコ提供ジブラルタル両岸の山岳地形により、海峡の上には鳥が渡りに使う上昇気流が作られているそうです。目には見えない鳥の高速道路が、そこにはあるのですね。3.我らがハゲタカクラファンのメインページに書いた通り、私の絵本の主人公がハゲタカになったのは、動物園の檻で見かけたから、だけが理由でした。しかしハゲタカは実はモロッコの野鳥保全の象徴的な鳥でもあったことを、このクラファン計画を進める中で知りました。アフリカのハゲタカは、電線による感電、密猟者に毒殺された動物の死骸を食べることによる毒死、伝統医療への利用(迷信)のための密漁、などの原因で急速に減少している希少種です。この本の収益で支援を目指すバードライフ・モロッコは、モロッコ北部に政府が作ったハゲタカ保護センターの運営を任されています。地元当局や住民との連携活動により、渡りの途中で弱ったハゲタカを保護して飛べるようになるまで世話をしたり、GPSによる追跡で飛行ルートや死因の原因の調査をしたりしています。GREPOMの参考動画(英語、6分33秒):Saving Africa's Vultures4.そしてハゲトキバードライフ・モロッコの元々の名称GREPOMは、Groupe de Recherche et de la Protection des Oiseaux du Maroc(モロッコ野鳥保護研究グループ)の略称です。1993年に創設され、昨年30周年を迎えました。2015年に国際自然保護連合(IUCN)に加盟し、さらにバードライフ・インターナショナルのメンバーとなったのは比較的最近、2018年のこと(そして名前に「バードライフ・モロッコ」と追加)。特に渡り鳥保護には国境を越えた連携が重要。そしてフィールドでの様々な活動に必要な資金動員のためにも、国際ネットワークを広げる努力をしています。調査研究を重視し、熱い情熱に支えられ、しっかりした組織体系で活動を展開しています。具体的には、上記のような渡り鳥の保護・調査のような活動の他に、各地での野鳥センサス、生息・営巣環境の保全・修復、その周囲に住む人々の生計向上、環境教育、エコツーリズムの推進などなど、鳥にも人にもメリットのある活動を進めています。それなりの歴史と重みのある組織でもあるため、寄付をしてもきちんと活用してくれるとの信頼感もあります。このクラファンプロジェクトのリターンに提供してくださっているモロッコ鳥類図鑑の他にも、様々な出版物も出していますが、私のお気に入りは、やはり絵本。ホオアカトキの保全に関する環境教育目的で作られたものです。バードライフ・モロッコ提供日本では野生で絶滅した真っ白のトキとは反対の、真っ黒のホオアカトキ(英語名はbold ibis、訳せばハゲたトキ)は、ハゲタカと並んでモロッコの野鳥保全のシンボル的な存在です。過去、ホオアカトキは中東・北アフリカやヨーロッパに広く生息していましたが、現在野生の繁殖地(コロニー)が残るのは、モロッコ大西洋岸スース・マサ地方のみ。バードライフ・モロッコは、ここでもコロニー周辺環境の整備や環境教育、エコツーリズム推進により、保全活動を行なっています。バードライフ・モロッコ提供渡り鳥のように話がどんどん飛びますが、絵本に話を戻すと、私は「ハゲタカの旅」が、日本であまり知られないモロッコの側面を紹介し、且つ地球規模的に(!)重要な鳥とその生息地の保全の貢献につながったら、こんなに素敵なことはない、と妄想しています。バードライフ・モロッコのダイレクターによると、国際組織のステータスになっても、交流のある国は、野鳥の往来があって情報交換が盛んな国同士になりがちだとか。だから余り野鳥の往来のないアジアの国とはこれまで交流が限られていたそうです。日本で同団体が紹介されるのは、このクラファンプロジェクトが初めて(ついでに図鑑も売れてありがたい)、と喜んでいただいています。それだけでも光栄なことですが、やはり、ちゃんとした寄付には繋げたいと思っています。FIN


Report Vol. 2 目次1.初稿2.ハゲタカになる3.アトラスの獅子4.金曜日おめでとう1.初稿先週、出版社側から絵本の初稿があがってきました。皆さんにお届けする絵本の全体の雰囲気(アンビエンス)に関して、著者の私と出版社側のイメージに多少隔たりがあるようで、これから相談しつつさらに磨いてゆきます。素人ながらモロッコの異国情緒満載にしたい私、日本の読者を知り尽くしたプロの出版社。どんな着地点になるのかは、印刷があがるまでわかりません。「より素敵な本にしたいという想いは一緒」という編集者さんのお言葉が大変嬉しいです。現在の予定では、印刷所への入稿はクラファン公開終了日と同じ3月12日だそうです。予定通りにゆくよう頑張ります。2.ハゲタカになる「はげたか」か、「ハゲタカ」か。それが問題だ。私がラバトで印刷所に持ち込んで印刷した最初のバージョンでは、絵本のタイトルは「ハゲタカの旅」と、鳥の名前がカタカナでした。文章でも、全部カタカナ。しかし今回、日本で出版して頂くにあたり、当初絵本のタイトルだけは平仮名で「はげたかの旅」とする予定でした(出版社との契約でもそのタイトル)。「ハゲタカ」よりも、丸いカーブの平仮名で「はげたか」の方が、可愛らしくて、この鳥につきまとうネガティヴな印象がちょっと和らぐ気もしていました。だからこのクラファンページも、タイトルは「『はげたかの旅』」出版プロジェクト」です。しかし編集作業の過程で、編集担当の方より、やはり題字と本文とで平仮名・カタカナを使い分けるのは好ましくない(校正ミスだと思われる)とのご指摘が。統一するために本文中の「ハゲタカ」を平仮名にしてしまうと、読みにくくなるし、そうすると「コウノトリ」まで平仮名にしなくてはならなくなり、一層読みにくくなります。小学生でも読めるように総ルビふってくれるということなので、いっそ両方とも漢字にしては、と調べたところ、「禿鷹」、そして「鸛」。素敵ですが、画数が多く難しい…。ということで、最終的に、日本で印刷出版するバージョンでも、題字は「ハゲタカの旅」に戻ることになりました。当クラファンプロジェクトのタイトルは変更せず平仮名でキープしますが、どうかご了承下さい。「ハゲタカ」というカタカナ表記での表紙上の題字の印象を和らげ、より多くの方に書店で手にとって頂けるように、フォントで工夫すべく試行錯誤中でもありますので、乞うご期待。以上、日本語ならではの葛藤でした。今後活動報告の文章でも、本の題名は「ハゲタカの旅」とさせて頂きます。あしからず。3.アトラスの獅子時には人間がくれる食べ物をくちばしにはさんで 格子の間から自分の子に食べさせ できうる限りの方法で 我が子を可愛がりました-「ハゲタカの旅」より絵本のストーリーを思いつくきっかけとなったラバト動物園のハゲタカの檻、そしてハゲタカたちが人間のくれる餌を食べる様子を見る機会がありました(動画1分16秒):ハゲタカたちは、檻の上に巣作るコウノトリたちをどう思っているのか。一方コウノトリたちは、自分で探さずとも人間に餌をもらえるハゲタカたちを、羨ましく思うのか。どうなのでしょうかね。この動物園内には、ハゲタカの檻の周り以外にも、実に沢山のコウノトリが見られます。本来渡り鳥ですが、一部モロッコに定住するものも見られるようになったとか。居心地が良いのですね。絵本の出だしでは、「ある王国の小さな動物園」と書きましたが、実際のラバト動物園はアフリカで2番目の規模です(サファリで動物を見る国は動物園は要らないのかも)。広々として緑も多く、地元の人たちの憩いの場となっています。この動物園のシンボルにもなっている目玉動物は、なんといってもアトラスライオン。かつてアトラス山脈を含む北アフリカ一帯に生息していたものの、乱獲などのため1950〜60年代くらいに野生では絶滅し、現在では飼育下ながらモロッコで最も多く生息するそうです。対欧州強豪チーム勝利後の熱狂そしてモロッコのサッカー男子ナショナルチームの愛称も、Lions de l’Atlas(アトラスのライオン)。女子はLionnes de l’Atlas(アトラスのライオネス)。そして息子の所属する地元チーム名にはLionceaux(子ライオン)が。2022年、男子ナショナルチームがアフリカ・アラブ・イスラム圏で史上初のサッカーワールドカップ4強入りし、王様ご自身が街頭に出てきて庶民と一緒にお祝いするなどかなりの盛り上がりを見せ、また2030年のモロッコでのワールドカップ開催決定もあり、将来「アトラスのライオン」仲間入りを夢見る子供たちが日々練習に励んでいます。ご近所のストリートアート4.金曜日おめでとう緑の屋根が光る 白くて大きなモスクを見ましたそこから流れる心地よいお祈りの声に酔いしれました-「ハゲタカの旅」より毎週金曜日の挨拶は、「Jmaar moubaraka(ジュマームバラカ)、金曜日おめでとう」。金曜日はイスラム教徒の人たちにとって神聖な日、特に午後一番のお祈りは重要とされ、私の職場の近くでも、モスクに入りきらず外の地面の上に祈祷用カーペットを敷いてお祈りする人たちの姿が見られます。このお祈りの時間は店を閉めるレストランもその後開いて、モスク帰りの多くの人がクスクスを食べにやってきます(顧客が観光客メインではない地元レストラン・食堂では、クスクスは金曜日にしか出てきません)。モロッコのモスクの多くが、イスラムを象徴する緑色の瓦屋根を持っています。私が絵本のこの場面を書いた際に思い浮かべていたのは、モロッコの象徴的モスク、カサブランカのハッサン2世モスクです。前国王の名前をもつこのモスクは、アフリカ最大、世界ではサウジアラビアの聖地メッカのモスクに次いで第二の大きさを誇ります。また、コーランの「神の玉座は水の上にある」という節から前国王がインスピレーションを受け、建物の一部が水(大西洋)の上に建てられている、世界唯一のモスクだとか。イスラムの理想を追求した宗教施設でありながら、同時にやはり前国王の望みでキリスト教教会とユダヤ教シナゴーグの建築要素も取り入れ、いわゆる「啓典の民」の人々の穏やかな共生への願いが込められているそうです。現地の人でさえ忘れているらしいこの事実は、今こそ重要に思えます。息を飲むほどに美しい工芸が細部まで施されている上に、神様と向き合いにやって来る人たちの居心地に配慮した作り(夏は天井が全開するとか、冬は床暖房とか)。まさに王様のプロジェクト。通常モロッコでは非イスラム教徒はモスクの中に立ち入ることはできませんが、ここは例外。モロッコ最大の都市であり経済の中心であるカサブランカは、観光ではスキップされてしまうことも多いようですが、もし訪れる機会のある方には、是非立ち寄って頂きたい場所です。FIN


Report Vol.1 目次1.Remerciments2.I.さんに捧げる3.「おそとの世界へ」4.そんなみんなへ。5.刺繍のような1.Remerciments(御礼)思い切ってクラファン公開に踏み切ってから10日余りが経ちました。すでに目標額の45%のご支援を日本各地、またモロッコ他海外在住の方々からも頂きました。河原で手にすくった小石を水面に撒いたら、大小多くの水紋が静かに広がっていった感じです。皆さまのご支援に、まずは重ねて御礼申し上げます。日本では連日元旦の震災のニュースがまだ続く中、個人の出版プロジェクトには支援は得難いのではと思っていました。こんな時だからこそ、前向きな企画に勇気付けられますというお言葉をくださる方もおり、大変勇気付けられました。けれどこの間、悲しいお知らせにも遭遇しました。2.I.さんに捧げるお腹が空いてひもじくてひもじくて 泣きそうでいる時に 見たこともない 珍しい鳥たちが食べ物のありそうな場所を示してくれたり 危ない風が来るから気をつけてと 教えてくれたりしました-「はげたかの旅」よりI.さんは、そんな「珍しい鳥」のような方でした。2020年後半に一旦モロッコから帰国となり、国境閉鎖や子供の教育の都合でモロッコには戻れず、先が見えない中とりあえず滞在していた京都で出会いました。リサイクル陶器市でガラス製品を手にした私を見て、「ガラス好きなんか、だったらいいとこあるでー」と、いきなり地元の隠れ家(オアシス)的な素敵なステンドグラス教室に誘って下さり、その後数ヶ月間、そこに通ってセラピーのような時間を得るきっかけを与えてくれました。私はそこでモロッコタイルのような作品を作っていました。I.さんは過去モロッコにツアーでご旅行されたことがあり、丁寧に旅行記などもまとめられていたのを、私に読ませてもくれました。コロナ禍が明けたら私を訪ねてモロッコに再度来たいとも仰って、「はげたかの旅」の出版も楽しみにして下さっていました。昨年9月8日のモロッコ中部での大地震の直後には、大丈夫ですかとメッセージも下さいました。台風でご自身の田んぼが荒らされてしまい、大変な最中だったにもかかわらず、遥か遠くの私に気を使って下さいました。その方がいると周りが明るくなる、お日様のような方でした。新年のご挨拶、絵本プロジェクトの進捗、クラファン公開のお知らせをしても、いつもと異なりメッセージが既読にならず、心配しました。実は、昨年9月にお気遣いのメッセージを頂いていた2週間後に突然お亡くなりになっていたことが、数日後わかりました。一番絵本を手に取って頂きたかった方の一人でもあり、大変悲しく思っています。「モロッコの地震大丈夫でホッとしました。我が家は台風で土砂の入った稲刈りが昨日やっと終わりました。[…] 早く貴女の帰りを待っています。素敵な絵本も楽しみにしています。では I.」2023年9月10日、彼女から私宛の最後のLINEメッセージです。このプロジェクトは、I.さんと、遺されたご家族に捧げたいと思います。3.「おそとの世界へ」既に10名以上の方に、「特製ポストカード6枚組」の付いた絵本のリターンをご選択いただきました。今回のプロジェクトのために印刷したポストカードですが、うち3枚に「はげたかの旅」とは別の、最初にロリに挿絵をつけてもらった「おそとの世界へ」という絵本の中から3場面の絵を選びました。リターンの解説として、それら3場面の原典である「おそとの世界へ」も、この場で紹介させて頂きたいと思います。モロッコに来る前に住んでいたカンボジアで、まだハイハイをしている息子が猫用ドアから外に出ようとしたことがあったことから着想したお話です。こちらはカンボジアの風景に基づいて文章がふくらみ、挿絵を付けてもらって最終的に印刷に至ったのは息子が6歳の時、モロッコに引っ越した後でした。「はげたかの旅」より小さな子向けの想定で、日本語の特徴である擬音語(オノマトペ)を多く使いました。ロリも、挿絵には子供が好む明るい色(熱帯の色でもある)を豊富に使ってくれました。こちらも、外の世界への憧れ、旅と、最後は家族の許に戻るという点で「はげたかの旅」とプロットが共通していますが、よりシンプルで、ほのぼのとした絵本です。そしてこのお話にも、子供をケアするコウノトリが登場します。カンボジアのはインドトキコウ(Painted Stork)、モロッコのはシュバシコウ(朱嘴鸛、White Stork)と、種類は違いますが同じコウノトリ科の鳥で、私のプチ「コウノトリシリーズ」となっています。こちらは出版の予定もないので、やはりコロナ禍の自宅軟禁中に自分で朗読し動画にしたものを、ロリの承諾も得て公開します。編集者の校閲も経ない文章で、また自分の声が好きではないので恥ずかしいのですが、ロリの愛らしいイラストとストーリーを楽しんで頂けたらと思います。今回のご支援者の中には、カンボジア時代に知り合った方も多いので、風景を懐かしくも思っていただけるかもしれません(4分17秒)。4.そんなみんなへ。旅に出たいけど出られない 大好きな人のそばにいたいけどいられない そんなみんなへ。出版される「はげたかの旅」を開いて最初に目にされることになるのは、こんな献辞です。あ、と思った方。このメッセージを贈りたいと思う相手がいる方。リターンには贈呈を想定したサイン入り絵本3冊セットもあります。震災・戦争の被害者の惨状を伝える報道をスクリーン上で見ていると、彼らが辛苦の檻の中にいて、自分は檻の外で何も出来ずに無力に見守っているだけにも感じます。彼らにも、贈りたいです。5.刺繍のような絵本出版もそうですが、クラウドファンディングも初の挑戦です。ページを作るのも簡単で、宣伝用にサイトのQRコードも自動で作られました。若いスタッフの方々がどんな質問にも即答したり適所で助言をくれたりなど、後方支援体制も万全で、よくできているなあ、すごいビジネスモデルだなあと感心しています。QRコードを友人にシェアしたら、即、「フェズ刺繍みたい」と言われました。確かに。QRコードは日本の囲碁から想起されたと知ったのは、恥ずかしながらつい最近のことです。囲碁盤も方眼、幾何学文様が中心のフェズ刺繍のモチーフも、よく方眼紙の上に描かれていますので、似るのは自然なことなのかも。けれど、このプロジェクトのリターンに提供しているフェズ刺繍を作っている女性たちは、方眼ガイドラインも下絵も何もない、まっさらな白い布に自分の感覚だけを頼りに刺繍をしてゆきます。まさに、職人技。後日の活動報告で、この女性たちの仕事にも触れてゆきたいと思います。FIN


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