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モロッコ風景絵本「はげたかの旅」出版:野鳥保全への貢献も目指して

2024年春、モロッコの風景を織り交ぜた絵本を出版します。幽閉と自由、母子愛、旅への憧れや帰郷をテーマとし、誰にでも必ずどこかしらで共感頂ける物語だと思います。コウノトリに育てられるハゲタカを主人公とするこの絵本出版からの収益は、モロッコの野鳥保全団体に寄付します。

現在の支援総額

821,000

76%

目標金額は1,068,300円

支援者数

118

募集終了まで残り

終了

このプロジェクトは、2024/01/16に募集を開始し、 118人の支援により 821,000円の資金を集め、 2024/03/12に募集を終了しました

モロッコ風景絵本「はげたかの旅」出版:野鳥保全への貢献も目指して

現在の支援総額

821,000

76%達成

終了

目標金額1,068,300

支援者数118

このプロジェクトは、2024/01/16に募集を開始し、 118人の支援により 821,000円の資金を集め、 2024/03/12に募集を終了しました

2024年春、モロッコの風景を織り交ぜた絵本を出版します。幽閉と自由、母子愛、旅への憧れや帰郷をテーマとし、誰にでも必ずどこかしらで共感頂ける物語だと思います。コウノトリに育てられるハゲタカを主人公とするこの絵本出版からの収益は、モロッコの野鳥保全団体に寄付します。

エンタメ領域特化型クラファン

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おかげさまで、絵本「ハゲタカの旅」は予定通り4月16日にみらいパブリッシング・ポエムピース社より出版されました!→  https://miraipub.jp/books/27583/絵本が書店に並んでいる写真が入手できたら出版報告の投稿を、と思っていたら一月以上遅れてしまいました。北海道から沖縄に到るまで多くの書店さんにお取り扱い頂いているようなのですが、日本で書店に置かれている様子は自分では未だに目にしておらず、出版の実感はありません。モロッコに持ち込んだ著者分のうち数冊を、在住地ラバト市と、モロッコの経済中心地カサブランカ市の書店でも扱って頂けることになったので、この報告にはその写真で代用します。早速絵本を手にしてくださった複数の方より、素敵な書評も頂きました。当クラファンプロジェクトを通じてのご支援がなければ、本当に実現が難しかった企画です。支援者の皆様に、改めて心より御礼申し上げます。著者としての純収益をこの出版から得るのは簡単ではありませんが、とりあえず絵本30冊を、バードライフ・モロッコに現物寄付してきました。絵本から収益が入るようであれば、毎年少しでも寄付を続けてゆきたいと考えています。先日、ラバト市内にある遺跡の周りを散歩していて、コサギのコロニーと、コウノトリの集合住宅のような巣の集まりを見つけました。絵本創作のきっかけとなった動物園のハゲタカの檻の上のコウノトリたちもそうでしたが、こうやって集まることによってお互いに協力して身を守り、子育てをしている。クラウドファンディングも、少しづつの力が集まって大きなこと・大事なことを成し遂げることができるという意味で、同じだなあと思いました。FIN


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絵本「ハゲタカの旅」、アマゾンジャパンでの事前注文受付が開始されました:https://www.amazon.co.jp/dp/4908827850これまでのところ、北海道から沖縄まで全国280店舗以上の書店さんからの事前注文も頂いているとのことです。出版社さんと商業出版するってこういう営業をして頂けるということかと、今頃実感しています。多くの皆様の応援を得た私のハゲタカが、いよいよ飛び立ちます。上の写真は、2018年2月、この絵本のストーリーを着想するきっかけとなったラバト動物園を初めて訪れた際に、お土産屋さんで買ったハゲタカのぬいぐるみ。ずっとその存在を忘れていましたが、先週息子の部屋で見つけました。これまで「ハゲタさん」と呼んでいたこの子、本日付で絵本の主人公と同じ「アニル」と改名します。FIN


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活動報告Vol.6 目次1.朝と夜のリレー2.祈りのリレー3.モロッコのイチバン4.色イロイロ1.朝と夜のリレー「カムチャッカの若者が きりんの夢をみている時  メキシコの娘は  朝もやの中で バスを待っている」で始まる、谷川俊太郎さんの詩「朝のリレー」をご存知の方は多いと思います。私が小学生の時、国語の教科書にありましたが、今も掲載されているのでしょうか。おそらくそこにあった挿絵の効果もあり、印象に残った詩でした。カムチャッカの若者が夢にみていたのが、アフリカのキリンなのか、空想動物の麒麟なのか、どちらだろうかと疑問に思っていましたが、いまだに答えを確認できていません。コロナ禍を経てリモート会合が仕事のツールとして定着し、かつ外国に身を置きつつ日本とも仕事をする今、この詩がとても身近に感じられます。モロッコと日本でリモート会合をする際は、大抵は日本の終業時間前後となり、モロッコでは朝一の会議となります。この地球ではいつもどこかで朝がはじまっているぼくらは作業をリレーするのだ経度から経度へとそうしていわば交替で仕事を続ける終業前の遠隔会議後の対応事項を始業したばかりの同僚が北アフリカで引き継ぐメッセージは既読。それはあなたの送った仕事を誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ(笑)ここ数ヶ月の出版社とのリモート会合も、同様に時差を気にしながら行ってきました。最終原稿が印刷所へ旅立つのも間近。今週は、出版後を見据えた「販促会議」が行われました。当初「ハンソク」って何ですか、と聞いてしまったくらい、これまで物を売るということに縁のなかった私です。出版とは、印刷して本屋に並べておしまいではなかったということに、今更ながら気づかされました。当「出版プロジェクト」にご支援頂いている皆さまには(また「機を逸した!」という方にも :))、是非出版プロセスの一部としての「販促」段階でもご支援賜れますと、幸甚です。毎年ラマダン(断食月)開始直前の日曜日から終了後の日曜日まで、モロッコと日本の時差が1時間長くなります。経度から経度への距離は変わらないはずなのに、時間だけが伸びる。今年も、このクラファン終了2日前(2024年3月10日)から、日本との時差が普段より1時間長く、9時間に。リモート会合をするなら、日本側の相手に通常よりもさらに遅く(或いはモロッコ側の我々がより早起きして)対応してもらわねばならなくなるひと月です。ラマダン開始日その他イスラムの祝日は、その国の宗教権威者が月を見て直前に決めるそうです。その結果、国によって違う。サウジアラビアで始まっても、同じ日にモロッコで始まるとは限りません。「あの国では始まったけど、うちはまだだった」。どぎまぎしながら、月の様子の判定に基づく発表を気にする、こちらは「夜のリレー」です。2.祈りのリレー緑の屋根が光る 白くて大きなモスクを見ました。そこから流れる 心地よい お祈りの声に酔いしれました。He saw white mosques with glittering green-tiled roofsand was often lost in the pleasant echoes of calls to the prayer.― 「ハゲタカの旅」ハゲタカの若者、アニルが聞いて酔いしれたお祈りの声は、おそらくこんな感じです↓(56秒)。私はラバトで毎朝この声に起こされます。絵本の文章では「お祈りの声」としましたが、正確には、「さあ、お祈りしよう、と呼びかける声」です(ハゲタカにはお祈りの声に聞こえた、ということにしておきましょう)。モロッコでは「アダン」と言われるこの呼びかけは、イスラム圏では日に5回聞かれますが、日本の神社仏閣同様モスクは町のあちこちにあり、一斉に呼びかけが始まるので、まるでエコーです。(絵本の英語のテキストでは、より正確に「お祈りへのいざないのエコー(echoes of calls to the prayer)」となっています。どうして日本語と英語で違えたのかは、多分、読む際のリズムの問題だったと思います。)日々のお祈りの時間も、日の出や日の入りのタイミングで微妙に変わる。それも、経度から経度へ引き継がれて続いてゆきます。モロッコの友人曰く、地球上でこのアダンが響いていない瞬間はないそうです。3.モロッコのイチバン競い合って先を急ぐ たくさんの車は自分たちの地下城に急ぐ 蟻たちのようでした。―「ハゲタカの旅」ラバトに建設中の「モハメド6世タワー」誰でも、どこの国もそうだとは思いますが、モロッコも「1番」になるのが好きです。(良い意味での)1番になるべく、いろいろな分野で頑張っています。私が知るモロッコの1番を挙げてみました:●アフリカで1番に(今も唯一)新幹線開通●アフリカ1の高いビル(タワー)建設中●地中海で取扱量最大の港湾●アフリカ1大きいモスク(世界では2番。活動報告Vol.2参照)●アフリカ1大きいショッピングモール●北アフリカ1の高速道路総延長(アフリカ大陸では南アに次いで2番)●北アフリカ1の日系企業進出数(アフリカでは3番)●…アフリカ大陸初の新幹線は今年開業5周年アフリカの他国からモロッコを訪れてくる人は大抵、都市部の経済インフラのレベルに驚きます。2030年のサッカーワールドカップ開催に向けて、現在インフラ開発がさらに加速中。私の絵本にも1つだけ、立体交差の高速道路と、そこを走る多くの車の絵が入りました。それを入れたことにより、ロマンチックな風景だけではなくなり、均衡がとれた、と勝手に思っています。他の素敵な近現代建造物の絵も入れたかったけれど、叶わず。是非、実物を見に来てください。色々な国で暮らしましたが、人の寛容さとユーモアのセンスを測る指標があったら、モロッコはその点でも世界トップクラスでは、とも思っています。4.色イロイロ絵本だけに、 編集者とデザイナーの方と、色々と色の議論をしました。デザイナーの方が、本の見返しに向日葵色を提案して下さったら、私は山吹色が良いと返し、結果、薄い辛子色となったり。編集者の方が(やはりモロッコなど北アフリカの風景に魅せられ創作のインスピレーションを受けた)画家アンリ・マティスの青を基軸にして装飾を施してはと提案して下さり、私はマティスも表現しようとした北アフリカの強い日差しを彷彿とさせる白がいい、と返した後、最終的にトルコ石に近い明るいブルー基調に落ち着いたり。ちょっとした色調・濃淡の違いでも、雰囲気ががらっと変わります。ああ楽しい。私たちは、子供にはカラフルなオモチャを買い与え、クレヨンや色鉛筆でお絵描きやぬり絵をさせます。子供の頃、白黒の漫画本の最初の数ページだけがフルカラーだったら、それがやたらと楽しみでドキドキしたのは、私だけではないでしょう。学校に入って学年が上がってゆくにつれて色を失い、白黒の文字だけで分厚くなってゆく教科書に、威圧感を感じたりもしていました。そのうち、カラフルなのは(絵本も)子供のもので、モノクロなのが大人っぽいということとなり、白黒で何ページにもわたって文字を連ねた文書を作る能力が重視され、色を扱うのは、アーティストやデザイナーなどプロの専売特許となってしまう。なぜ、将来の職種に関係なく子供には色使いを奨励するのに、それが生涯続かないのでしょう。「販促」するにも何をするにも、ネット上で画像や映像での効果を求めることが多くなった今日。これまでにないほど、どんな仕事でも色へのセンシティヴィティの重要度が増しているようにも思います。ということで、子供も大人も、色彩豊かな絵本を楽しみましょう。FIN


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Report Vol. 5 目次1.Before & After2.海のもの3.丘のもの1.Before & Afterクラファン終了日(=校了&印刷所への入稿予定日)まで2週間を切りました。初校コメントを反映した再校原稿が先週上がってきて、編集作業も順調に進んでいます。今回絵本が商業出版されるにあたり、編集者さんやデザイナーさんと相談の上、原作とは変更した部分が結構あります。もちろん、原作を見ていない人がほとんどなのですが、出版バージョンだけの主な工夫をご紹介します。(1)命名私の原作では、登場する鳥たちに名前はついていませんでした。「ハゲタカの若者」、「ハゲタカの女の子」、といった具合に。でも日本で出版するには、固有名詞をつけた方が読み手が感情移入しやすい(且つ文章もすっきりする)、という出版社側の繰り返しの助言により、名前をつけることになりました。であれば、実際にモロッコで保護されている実存するハゲタカの名前にしては、と考え、バードライフ・モロッコの会長さんに相談したところ、名前はつけていない(番号で管理)、とのことでした。命名するなら、北アフリカ先住民の言語ベルベル語(モロッコ公用語の1つ)の名前がよいと思う、と、会長さんが一緒に考えてくれた名前とその意味は、以下の通り:ハゲタカの若者 = アニル(Anyr):意味は「天使」ハゲタカの女の子 = ララ(Lalla):「ご婦人」、"My Lady"ララの娘 = ティティ(Titi):「悪行から遠ざかる者」当初、私はハゲタカたちに名前をつけることには消極的だったのですが、良い名前が見つかったのでよかったと思っています。(2)アジンの魔法の筆お風呂に入っていて、ふと、表紙の題字をアラビア文字風にしたら面白いのでは、と思いつきました。編集者の方もそれはよいアイディアと言って下さったので、ロリと共にプノンペンでNowhere Art Studioを共同設立・運営するアーティストのシャルルフィクリ・サレ(通称アジン)にデザインを依頼することにしました。マレーシア出身の彼はアラビア文字にも馴染みがあり、しかもアートスクールでタイポグラフィーを教える先生でもあります。喜んで引き受けてくれました。彼の創作が加わったことで、モスクを描いた表紙にイスラムっぽい個性がさらに加わり、異国情緒が増したと思っています。乞うご期待。出版社側の編集者さんやデザイナーさん、営業担当さんも含め、これまで当プロジェクトのクリエイティブ・チームは全て女性だったので、初の男子参戦。ロリとアジンは私が尊敬するコンビなので、二人の共同作品ともなり、大変嬉しく思っています。彼らのポップで愛らしい作品は、商品のラベルになったり国際空港で売られるようになったり、最近人気上昇中です。モロッコよりずっと近いカンボジアのプノンペンに行かれることがあったら、緑とアート作品でいっぱいの彼らのスタジオに、是非立ち寄ってみて下さい。(3)幾何学の花ラバト旧市街のモザイクタイル異国の雰囲気をより高めよう、と、モロッコの多くの建物を飾るイスラム幾何学モザイクタイル(ゼリッジ zellige)の模様を、見返しに入れていただきました。見返しは、本を開いたらぱっと目を引く黄系となる予定。アニルが、ララに贈る花を摘むために毎日飛んで行く花畑のようです。日本では岐阜のローズガーデンに、モロッコから来た職人達が作った本場ゼリッジに飾られた庭園が一昨年オープンしています。ラバト郊外の花畑(4)「自由に生きるのも、ラクじゃないよ」原作では、ハゲタカの若者が旅をする檻の外は、広くて美しい風景の広がる世界としてしか描かれていませんでした。編集者さんの提案で、外の世界の厳しさも感じさせる部分を、少しだけ追加しました。でもアニルにとっての、外の世界の一番の厳しさは、大好きなお母さんとララと一緒にいられない、という事実なのだと思います。(5)おでかけ仕様私がモロッコで印刷した原作は、B5サイズでした。ロリが初めてデジタルで挑戦した挿絵も、B5の設定で描いてもらっていました。しかし、この出版社的には、彼女が設定した解像度ではB5サイズの絵本印刷には足りないとのこと。印刷の質に求められるスタンダードの違いを感じました。今後の大きな教訓です。結果、出版サイズはメインページで書いた通り、一回り小さくなってA5です。手軽に運べるこの絵本は、出版社の「おでかけBook」シリーズの仲間入り。邪魔にならない、ちょっとした贈り物にもしていただけそうです。そして自費印刷版と大きく違うのは、上製本印刷でハードカバーになること。自分の創作が本として出版されることも夢のようですが、それがハードカバーなんて、本当にどきどきします。2.海のもの波を切る 大きな鉄の塊の船と 海原に飲まれそうな 小さな釣り船を見ました。岩場の潮たまりで 紫貝を拾う日焼けした男たちや海に注ぐ川で 泳ぐ子供達を見ました。― 「ハゲタカの旅」ある冬の日の海岸で拾い集めた貝殻。右上の黒っぽいのがムール貝(稚貝)。紫貝、とは、いわゆるムール貝。この絵本の文章を書くにあたり初めて和名を調べて、素敵だなあと思いました。日本では余り食卓にのぼることはないかもしれませんが、パエリアの具や酒蒸しなど、ヨーロッパでは馴染みのある食材です(専門家によると、日本でもムール貝は採れますが、牡蠣養殖の邪魔となる嫌われ物だそうです)。私の住むラバトをはじめ、地中海・大西洋側どちらでも、ある季節になると海岸でムール貝を拾い集める人たちをみかけます。私はずっと、それは食べるために集めているのだと思っていました。実際、海岸でそのまま茹でて食べている人たちもいます。でも実は、養殖でより大きくするための稚貝として集めているのだそうです。ムール貝の養殖現場長い海岸線をもつモロッコでは、近年国家戦略として海上養殖が盛んに進められています。貝類養殖では、稚貝が国内調達できるのはムール貝のみ。その他の養殖対象種(牡蠣やアサリ)の稚貝は、現在のところ輸入に頼っているそうです。ちなみにモロッコは牡蠣の稚貝をフランスから買いますが、その親となるフランスの牡蠣は、元々日本から入ったものです。1960年代末、フランス在来種の牡蠣が病気で死滅し、日本から稚貝を入れることにより牡蠣養殖業が復活されました。その牡蠣が地中海を渡り、モロッコで養殖されています。日本産と同じDNAを持つ美味しい牡蠣を、私たちはモロッコで食べることができています。ありがたや。浜で休む漁船海の恵みは、もちろん貝だけではありません。お魚も色々な種類が市場で売られています。その9割は、小さな船に乗った漁師さんたちが沿岸漁で獲っているものです。モロッコから日本に多く輸入されていることが知られるタコも、しかり。モロッコ沖と、お隣のモーリタニア沖で獲れたタコで、日本のタコ輸入量の半分以上を占めるそうです。モロッコと喧嘩したらタコ焼きが食べられなくなる、とも言えるほど、モロッコからの輸入に頼っているのです。近所の魚屋お魚定番料理のフリットとパエリア漁港町のタコのタジン鍋屋の看板養殖されたオゴノリ(寒天の原料)もう一つ、日本で多く食されているモロッコの海産物があります。寒天です。モロッコは寒天の世界有数の産地。日本国内シェアトップ(世界シェアも15%)の長野県の寒天企業さんも、モロッコで海藻から精製された質の高い原料を輸入しているとのこと(モロッコからの日本向け輸出はほぼ100%同社向け)。「寒天」として食べなくても、多くの食材や化粧品に添加されているので、これを読んで下さっている皆さんの中に、モロッコの海藻の恩恵を受けたことがない人はいないのでは。寒天の原料となる海藻は、養殖もされていますが、地域および季節によっては海岸での採集が女性や子供のお小遣い稼ぎにもなっているそうです(海藻集めが主な活動の組合もあります)。これだけ海産物に恵まれた国なのに、残念ながらお寿司などの日本食料理屋さんは、本当に少ない。親日の国でもあるので、ご関心のある方、是非進出のご検討を。「青い空よりもっと青く輝く海と それを縁取る白い波を見ました」3.丘のもの苦いオリーブと 甘いオレンジの香りを嗅ぎ色とりどりに咲く 花々の香りを 思い切り吸い込み遠く向こうに 雪を被りそびえ立つ 山々を仰ぎました。― 「ハゲタカの旅」私はモロッコに来るまで、オリーブは本来苦いものであるとは知りませんでした。収穫した生のままでは、とても硬いし苦味が強くて食べられない。だから塩と水に数週間漬けて加工します。色々な風味のが売られていますが、自宅で漬ける家庭もあり、苦味が好きな人は、わざとそれを残す程度につけます。モロッコへの赴任直後、頂いた自家製オリーブ漬けがあまりにも苦くて食べられず、捨ててしまったことがありました。でも今は、好んで苦めのオリーブ漬けを買うようになっています。色とりどり、風味様々のオリーブと、それを買い求める人たち。オリーブ、そしてオリーブオイルをふんだんに使った食事の後は、街角あちこちで売っている甘いオレンジジュース。注文した後で絞るので、常に新鮮です。2−3年前は下町で1杯5ディルハム(現在の為替レートで約73円、円安前は約50円)で買えたのが、最近は渇水とインフレで7ディルハム(103円)に。一般庶民には結構な値上げです。いつの季節でも色彩豊かな市場FIN


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Report Vol.4 目次1.砂漠だけじゃない2.鳥相3.我らがハゲタカ4.そしてハゲトキ1.砂漠だけじゃない海と山と砂漠に囲まれた とある王国の小さな動物園の檻の中で一羽のハゲタカが卵を産みました― 「ハゲタカの旅」より絵本の表紙の絵を見た山登好きの親戚が、「モロッコにも雪山があるって意外」と。モロッコといえば、砂漠にラクダのイメージが一般的に強いようです。実際は、国際空港のある主要都市から、砂丘の連なる砂漠に行くにはかなりの時間車で移動して、モロッコを南北に縦断するアトラス山脈を越えてゆかねばなりません。沿岸部に住むモロッコ人には、砂漠を見たことがないという人も多いのではないかと思います。北に地中海、西に大西洋、東と南に向かって山脈を越えたらより乾燥したオアシス地帯、化石がたくさん出る砂漠に続きます。その途中には肥沃な農地やマツタケも採れる針葉樹の森も(モロッコはヨーロッパに多くの野菜果物を輸出する農業大国、美味しいワインも作られます)。最高峰は、富士山よりも高い4000メートル越えのツブカル山。例年冬には、高山は雪化粧もするのです。これだけ多様な自然環境に生息する動植物も数が豊富です。動物種24,000種(うち11%が固有種)、植物種7,000というモロッコの生物多様性は、地中海地域で2位とか。数字を並べてもピンとこないかもしれませんが…とにかく、砂漠だけじゃない。私から特別にそう注文したわけではなかったのですが、表紙に砂漠ではなく雪山を描いたロリは、やっぱりすごい。雪を頂く高アトラス山脈(2024年2月撮影)今週、まさに雪山を仰ぐ山岳部、昨秋の大震災の震源地近くまで行く機会がありました。破損した道路の修復や建物の解体作業が今も急ピッチで進められ、あちこちに仮住まいのテントが見られました。人々はとにかく逞しく、そして風景はひたすら雄大で美しかった。厳しい冬が過ぎ、春の訪れを感じさせる花も咲き始めていました。地震による山崩れで塞がれた多くの道路は、当局の昼夜問わずの懸命の努力により、震災後2−3週間のうちに全て開通。しかしアクセスの困難な山岳地帯で破損されたインフラ修復には今後何年もかかります。奥に仮住まいのテント。手前にまだ建っているように見える建物の中にも、破損のためもはや住めず解体・再築を待つものも。この地域にはヨーロッパ人に人気のトレッキングツアーの拠点も点在していますが、観光業再開にはまずは一帯へのアクセス路の補修と建物整備が必要。2. 鳥相 - avifauna 育ての親の コウノトリのおばさんのような優しいコウノトリたちに たくさん出会いました― 「ハゲタカの旅」より話を生物多様性に戻して、絵本の主人公である鳥に関して言えば、国際野鳥保全組織バードライフ・インターナショナルが指定するIBA(重要鳥類生息地:Important Bird Area)には現在46箇所が選定され、ラムサール条約で守られる水鳥の貴重な生息環境の湿地帯は現在38箇所(日本はそれぞれ167箇所と53箇所)あります。これまで494種の鳥が確認され、うち北アフリカの固有種11種、そして100種近くが希少、あるいは生息が脅かされています。バードライフ・モロッコ提供14,000ha、地中海南岸第2の大きさをもつ潟湖(ラグーン)のマールシカ湖は、ラムサール条約登録サイトであり、且つ重要鳥類生息地(IBA)。ここでも活動を展開するバードライフ・モロッコは、近年ここにイカダ式の鳥の営巣スポットを導入。岸での営巣では野犬など天敵に襲われる危険が高い。モロッコはさらに、北極圏・カナダ・グリーンランドやシベリアから毎年南部アフリカに向かう渡り鳥のルート(東大西洋飛行経路:East Atlantic Flyway)上に位置し、とても重要な経由地、休息地でもあります。コウノトリやハゲタカはじめ、北から南下してきた鳥たちは、ジブラルタル海峡を越えモロッコに入ったところで栄養補給し、広大なサハラ砂漠を飛び越える力を蓄えてから、再び南に飛び立つのです。故に、モロッコの野鳥生息環境が守られることの意義は、同国だけにとどまりません。バードライフ・モロッコ提供ジブラルタル両岸の山岳地形により、海峡の上には鳥が渡りに使う上昇気流が作られているそうです。目には見えない鳥の高速道路が、そこにはあるのですね。3.我らがハゲタカクラファンのメインページに書いた通り、私の絵本の主人公がハゲタカになったのは、動物園の檻で見かけたから、だけが理由でした。しかしハゲタカは実はモロッコの野鳥保全の象徴的な鳥でもあったことを、このクラファン計画を進める中で知りました。アフリカのハゲタカは、電線による感電、密猟者に毒殺された動物の死骸を食べることによる毒死、伝統医療への利用(迷信)のための密漁、などの原因で急速に減少している希少種です。この本の収益で支援を目指すバードライフ・モロッコは、モロッコ北部に政府が作ったハゲタカ保護センターの運営を任されています。地元当局や住民との連携活動により、渡りの途中で弱ったハゲタカを保護して飛べるようになるまで世話をしたり、GPSによる追跡で飛行ルートや死因の原因の調査をしたりしています。GREPOMの参考動画(英語、6分33秒):Saving Africa's Vultures4.そしてハゲトキバードライフ・モロッコの元々の名称GREPOMは、Groupe de Recherche et de la Protection des Oiseaux du Maroc(モロッコ野鳥保護研究グループ)の略称です。1993年に創設され、昨年30周年を迎えました。2015年に国際自然保護連合(IUCN)に加盟し、さらにバードライフ・インターナショナルのメンバーとなったのは比較的最近、2018年のこと(そして名前に「バードライフ・モロッコ」と追加)。特に渡り鳥保護には国境を越えた連携が重要。そしてフィールドでの様々な活動に必要な資金動員のためにも、国際ネットワークを広げる努力をしています。調査研究を重視し、熱い情熱に支えられ、しっかりした組織体系で活動を展開しています。具体的には、上記のような渡り鳥の保護・調査のような活動の他に、各地での野鳥センサス、生息・営巣環境の保全・修復、その周囲に住む人々の生計向上、環境教育、エコツーリズムの推進などなど、鳥にも人にもメリットのある活動を進めています。それなりの歴史と重みのある組織でもあるため、寄付をしてもきちんと活用してくれるとの信頼感もあります。このクラファンプロジェクトのリターンに提供してくださっているモロッコ鳥類図鑑の他にも、様々な出版物も出していますが、私のお気に入りは、やはり絵本。ホオアカトキの保全に関する環境教育目的で作られたものです。バードライフ・モロッコ提供日本では野生で絶滅した真っ白のトキとは反対の、真っ黒のホオアカトキ(英語名はbold ibis、訳せばハゲたトキ)は、ハゲタカと並んでモロッコの野鳥保全のシンボル的な存在です。過去、ホオアカトキは中東・北アフリカやヨーロッパに広く生息していましたが、現在野生の繁殖地(コロニー)が残るのは、モロッコ大西洋岸スース・マサ地方のみ。バードライフ・モロッコは、ここでもコロニー周辺環境の整備や環境教育、エコツーリズム推進により、保全活動を行なっています。バードライフ・モロッコ提供渡り鳥のように話がどんどん飛びますが、絵本に話を戻すと、私は「ハゲタカの旅」が、日本であまり知られないモロッコの側面を紹介し、且つ地球規模的に(!)重要な鳥とその生息地の保全の貢献につながったら、こんなに素敵なことはない、と妄想しています。バードライフ・モロッコのダイレクターによると、国際組織のステータスになっても、交流のある国は、野鳥の往来があって情報交換が盛んな国同士になりがちだとか。だから余り野鳥の往来のないアジアの国とはこれまで交流が限られていたそうです。日本で同団体が紹介されるのは、このクラファンプロジェクトが初めて(ついでに図鑑も売れてありがたい)、と喜んでいただいています。それだけでも光栄なことですが、やはり、ちゃんとした寄付には繋げたいと思っています。FIN