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【時折2024 作品紹介】では、それぞれの月のテーマとなる12の作品について一つずつご紹介したいと思います。
※作品写真は本番の紙で折る前の「試作」状態のものを含みます。商品に掲載されるものはより見栄えのする状態になっているかと思いますのでご期待くださいませ。
今回の特集:1月掲載分「鷹」
一年の初めの作品として縁起良く、初夢のことわざからピックアップしたモチーフです。
『時折2024』の最初を飾る作品として華やかなビジュアルにしたく、猛禽類特有の大きな翼のシルエットを妥協せず折り出したいという思いがありました。
しかし折り紙作品というものは往々にして、理想を詰め込むほどに構造が複雑になってしまいがちです。
作品を皆さんに再現してもらうというコンセプト上、見た目を追求するあまり入り口のハードルを高くしてしまうことは本意ではありませんでした。
そこで、全体のシルエットの確保を最優先にする代わりに、いずれかの箇所の表現を簡略化することを考えました。
実はこの作品には足が1本しかありません。指も2つだけです。
猛禽類は飛行中の姿勢によっては足を揃えるため、このポージングにおいて足の詳細を捨象しても全体の見栄えにはそこまで影響しないのです。この点に注目し、簡素な表現にとどめることで足に割く領域を減らしました。
これにより、折りを複雑にしないまま相対的に翼を大きくすることに成功しています。
創作折り紙は、たくさんの制約と戦うゲームのようなものです。
多くの作家が実践する「一枚の正方形から切らずに折る」といった基本的なものはもちろんですが、厚みとの戦い、色分けの仕方、また今回のような見た目と難易度のバランスも重要な問題として常に立ちはだかります。
本作のように自分なりの工夫がハマり、複数の課題が同時に解決できたときは何より嬉しくなります。
『時折2024』製品版を手にされる方は、ぜひ創作者の試行錯誤の軌跡も感じながら折ってみてください!
それでは、また次の作品紹介で!
文:山本大雅