皆様、多くのご支援ありがとうございます。
今回も折り紙作家山本が、『時折2024』に収録されている作品の紹介をしていきます!
【時折2024 作品紹介】では、それぞれの月のテーマとなる12の作品について一つずつご紹介しています。
※作品写真は本番の紙で折る前の「試作」状態のものを含みます。商品に掲載されるものは紙質や色など、より見栄えのする状態になっているかと思いますのでご期待くださいませ。
今回の特集:4月掲載分「ハチドリ」
みなさん、折り紙してますか?
今日のテーマは4月の紙面を飾る「ハチドリ」です。
この作品について、3年前にライブ配信で喋る機会をいただいたことがあります。
僕の所属する折紙創作集団スクエアでのYouTubeライブです。
配信アーカイブはこちら。
配信では、ナイフのような輪郭をしたハチドリの羽を折り出すためのパーツを作成し、それを正方形の紙に配置するまでの流れが語られています。
これがその時作ったバージョンです。
華やかではあるのですが、足の出方やくちばしの長さ、尾羽のボリュームなど、よりハチドリらしくできる点はたくさんあると思いました。
今回のバージョンでは、それらの点を改善することができました。
一般的に、折り紙で脊椎動物をつくる時は、左右対称になるようにゴールを設定することが多いです。その手段の一つとして、正方形の対角線を背骨とするような構造をとることがあります。
このハチドリも、そのような構造を採用しています。
今回のバージョンアップにあたり、背骨の周りに帯状の領域を足すことにしました。そのまま構成し直すことにより、足の出方やくちばしの長さ、尾羽のボリュームを表現することが可能になりました。
前回の構造を生かしたまま中心に領域を足すことで、初期版の改善点が一気に解消できたのです。
この「領域付加」と呼ばれる技法では、どれだけの幅を足すか、またその幅を正方形上にどんな方法で作るかを正確に計算する必要があります。
このあたりは平面図形における長さの比率を考える問題となり、数学を活用して答えを見つける作業になってきます。
有機的な仕上がりを得るのがゴールですが、そのためにはカッチリ計算をして展開図に反映する必要があります。この二面性もまた折り紙の魅力であると僕は思います。
では、また次の作品紹介で!
文:山本大雅