ケニア政府は、財政再建を求めるIMFとの合意に基づき、増税を行う法案を提案しました。市民からの反発にもかかわらず、ケニア議会は昨日25日、増税案を賛成多数で可決しました。普段から物価高、公務員によるワイロ要求に苦しめられ、政府高官の不正蓄財に不満を持っているケニアの市民、中でもZ世代を中心にした人々が大規模なデモを開催しました。
デモ隊は昨日、国会議事堂になだれ込み一部に火を放つなど激しい抗議活動を行っています。さらに警察のトラック、ナイロビ市役所、郊外のキアンブ・カウンティの選挙区開発基金の事務所、地元選出で増税案に賛成した議員の自宅に火を放つ事態になっています。また、CBD(国会のあるナイロビ旧市街中心部)では店舗の略奪が起きています。
また、LGBT難民シェルターのあるエリアのそばを通る大通りや、比較的近い繁華街などでもデモが行われています。ケニアはアフリカでは珍しく内戦を経験していない国で、2007年の大統領選挙後に1000人以上が殺された大規模暴動以来の騒擾となっています。
事態を受けてルト大統領は演説で「若者のデモが犯罪者集団に乗っ取られた」として、強硬策に出る方針を示しました。国会付近では発砲で少なくとも5人が死亡したと報じられています。
このようなときに巻き添えを食らうのが社会的に立場の弱い人々です。アフリカ諸国出身の外国人、LGBT難民もそこに含まれます。
シェルターとレストランを運営するFHIは、安全のためにレストランを1週間臨時休業することを決定しました。皆さんからクラウドファンディングでいただいた浄財で再建したレストランが破壊されるようなことになっては申し訳が立たないからです。レストランの1日の利益は1000シリング(1230円)から1400シリング(1720円)、多い日は4000シリング(4930円)なので、大損害です。
現地とはメッセンジャーアプリを使って緊密に情報のやり取りをしていますが、今のところ被害はないようです。シェルターに住むLGBT難民の皆さんは、もしかして襲われるのではないかという恐怖に震え、シェルターに閉じこもっています。病気の人は、病院にも行けず、私が日本から持っていったロキソニンを飲んでただただ耐えているとのことです。
現在、別サイトで行っているクラウドファンディング「ケニアに住むLGBT難民に医療と住居を届けたい」が終盤に差し掛かり、少しでも明るい未来を思い描いていたのですが、このような事態になりとても不安に思っています。ケニアの人々の願いが受け入れられ、現在のような状態が一日も早く収まることを望んでやみません。