1月31日に大阪北堀江のマルカブリューイングにて、アボカドビールの仕込みをしてきました。
ビールの仕込みについて初めて知ったことも多かったですし、予想以上に大変なこともあったので、どんな様子だったのか各工程毎に書いてみます。
①まず初めの工程が麦芽の糖化です。糖化釜に張った酵素活性に最適な68℃のお湯300Lに、麦芽と小麦とオーツ麦とホップと大豆粉(大豆が今回のこだわりポイントで、アボカドと豆乳が好相性なので、大豆粉からこの工程で豆乳を造る事にしました)を総量120kgも入れてかき混ぜ、酵素活性に最適なpH5.4になるまで乳酸を加えて、約1時間半待ちます。糖化の完了はヨウ素デンプン反応で確認です。糖度は18%の甘くて美味しい麦汁の出来上がりです。
②次の工程が糖化釜から煮沸釜への移送です。麦芽粕を濾材として濾過して移送します。小麦を副原料に使用するヘイジーIPA系では糊化しやすく濾過に時間がかかるそうですが、今回こだわりポイントで入れた大豆粉の影響からか濾過に9時間も要してしまいました。大豆にはグルテンがほとんど含まれないので、大豆粉の細かさが原因ではないかと推測しています。
③続く工程が移送した麦汁の煮沸です。沸騰した麦汁の中に乳糖(今回のミルクシェイクIPAというビアスタイルに必須の原料です)とアボカドピューレ10kg(もちろん今回の主役で大玉アボカド約80個分)を入れて、ホップは苦味を出さずに香り付け目的のため煮沸の後半に入れました。約1時間で終了です。製品のアルコール度数を求めるため比重を測定します。甘いアボカド麦汁ジュースになりました。
④続いて煮沸釜から発酵釜への移送です。発酵釜は空いた時間にあらかじめ念入りに熱湯消毒してあります。煮沸釜中の固形物は、ワールプールという手法を使い真ん中に集めて、底より少し上にある出口から沸騰した麦汁を抜いて、熱交換器で冷却した麦汁を発酵釜に送ります。ここでも濾過フィルターを使うのですが、詰まり気味のため約1時間半かかりました。
⑤最後に発酵釜に酵母を入れて、後は糖がアルコールになるのを待ちます。朝の9時半から夜の23時までかかる難産のアボカドビールの出来上がりを楽しみにしていてくださいね。
ちなみに、この後の作業としては、発酵が落ち着いてから追加のホップ(香り付けのドライホッピングです)とアボカドピューレ5kg(大玉アボカド約40個分)とバニラビーンズ(今回のミルクシェイクIPAというビアスタイルに必須の原料です)とクチナシ色素(アボカドの緑色を演出するための天然食材です)を入れて完成です。
調べた限り世界初となる「アボカドシェイクIPA」にまつわるこだわりと苦労についてのお話しでした。