▼はじめに
感覚過敏研究所の加藤路瑛(かとうじえい)と申します。感覚過敏の課題解決に取り組んでいます。この度、五感にやさしい社会モデルの構築を目指して、五感情報を記録・共有できるウェブ版センサリーマップのプロジェクトを立ち上げます。多くの方に「センサリーマップ」を知っていただき、その活動をご支援いただきたく、クラウドファンディングに挑戦します。
【自己紹介と感覚過敏研究所の紹介】
私は感覚過敏当事者であり、五感全てが過敏です。感覚過敏とは、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚などの諸感覚が過敏になっており、日常生活に困難さをかかえている状態です。
視覚の過敏さは弱い方ですが、コントラストが強いものや情報量が多いものを見るとその場から逃げ出したくなります。聴覚は、人の話すザワザワした感じや賑やかな場所が苦手で体調が悪くなります。嗅覚はかなり敏感ですが、特に様々な食べ物のニオイが混ざる飲食店や、繁華街のニオイで気持ち悪くなります。味覚は過敏なため、食べられるものが極端に少ないです。触覚は、肌着や靴下が肌に合うものがなくて苦労してきました。
中学時代には、感覚過敏が主な原因で不登校になった経験があります。これら感覚過敏の課題を解決しようと、2020年1月、13歳のときに「感覚過敏研究所」を立ち上げました。以来、感覚過敏に関する啓発や研究、対策商品の企画・販売を行い、さまざまな取り組みを進めています。
感覚過敏研究所
https://kabin.life/
具体的には、感覚過敏の困りごとを可視化する「感覚過敏マーク」の作成、感覚過敏の人のためのアパレルブランド展開、カームダウンスペースの普及活動、講演や出版などを通して啓発活動を行っています。
現在、特に力を入れている取り組みが「五感にやさしい空間」づくりです。『1ミリの安心から100キロの自由へ』というコンセプトのもと、ミリ単位の服という小さな空間から、メートル単位の部屋、さらにキロ単位の都市空間まで、さまざまなスケールで「やさしい空間」を実現するための活動を行っています。今回のクラウドファンディングで挑戦するセンサリーマップも、この「五感にやさしい空間創造」の取り組みの一環です。
▼世界は刺激であふれている。五感にやさしい社会を目指して。
私たちが暮らす社会は、光や音、ニオイなど、多くの刺激に満ちています。街を歩けば、ネオンがピカピカと輝き、デジタルサイネージがキラキラと映し出され、周りにはザワザワと人々の声が響いています。確かに、それは経済の活力や都市の賑わいの象徴かもしれません。しかし、これほどの刺激に囲まれて、みなさんも目がチカチカしたり、頭がズキズキ痛んだり、疲れを感じたりと、体に不調を覚えたことはありませんか?
特に、「感覚過敏」の人々にとって、こうした過剰な刺激は日常生活に大きな困難をもたらします。音や光、ニオイに敏感で、外出先での突然の刺激が体調不良やパニックを引き起こすことも少なくありません。
▼感覚過敏と外出の壁、当事者が直面する課題とは
私たち感覚過敏研究所が行ったアンケートでは、81.9%の方が『感覚過敏を理由に外出をあきらめたことがある』と答えました。
外出に関する不安は、主に以下の3つに分けられます。
1. 体調への不安、体調不良、疲れやすさ、パニックを起こすことへの心配。
2. 安心して休憩できる場所が見つかるかどうかの不安。
3. 同行者に迷惑をかけてしまうのではないかという不安。
光、音、ニオイなどの刺激に敏感な感覚過敏の方々は、学校や仕事、買い物といった日常生活に加え、娯楽やレジャーをあきめるケースも少なくありません。
・「映画館で映画を見るのをあきめている」
・「好きなアーティストのライブに行きたいけど、会場の環境が厳しい」
・「応援しているスポーツチームの試合を観戦したいが、スタジアムでの応援は難しい」
このように、人生の楽しみをあきらめざるを得ない方が少なくありません。
▼五感にやさしい社会への一歩。センサリーマップをつくりたい!
センサリーマップは、音や光、ニオイなどの刺激がある場所や、静かな場所、カームダウンスペースを地図上で可視化するサービスです。感覚過敏の方はもちろん、騒がしい場所を避けたい時や、静かな場所を探している方、安心して休憩できる場所を求めている方にも役立つツールです。
このようなセンサリーマップがあることで、以下の効果が期待されます。
・事前に外出先の情報を把握でき、対策や回避策を立てられるようになります。
・体調不良になった場合の避難場所や休憩所を把握することで、安心して外出できる環境が整います。
今回、私たちは、ウェブ上の広域マップに「さわがしい場所」「まぶしい場所」「ニオイのある場所」といった刺激のある場所や、「静かな場所」「カームダウンスペース」といった落ち着ける場所の情報を、ユーザーが口コミや評価を通して情報を共有できるマップの開発を進めています。
センサリーマップは、ユーザーが自ら投稿した口コミや評価を通じて、スポットの感覚情報を共有できるコミュニティ型のツールです。 音や光、ニオイに敏感な方が、それぞれのニーズに合わせた情報をフィルタリングすることができ、安心して外出できる場所を見つけることができます。
今後は、自治体や企業との連携を通じて、さらに多くの感覚にやさしい場所をマップに追加し、より広範囲でのサポートを提供することを目指しています。
▼センサリーマップで実現したいこと
センサリーマップの目的は、センサリーアクセシビリティの向上です。音や光などの環境刺激の影響で、これまで外出を控えたり、諦めざるを得なかった人々やその家族が、センサリーマップを活用して外出先の情報を事前に確認し、安心して外出できる環境を提供したいと考えています。
これは、学校や仕事、買い物といった日常的な外出に限らず、映画館やライブ、スポーツ観戦、友人との街歩きなど、娯楽やレジャーも安心して楽しめるようになることを目指しています。
センサリーマップの効果は、感覚過敏の方々の外出をサポートするだけではありません。センサリーマップが普及することで、地図上に表示されるカームダウンスペースや、感覚にやさしいスポット、サービス、イベントが増えることを期待しています。また、この情報を都市開発や空間デザインに活用してもらうことで、より多くの人々にやさしい環境が整うことを目指しています。
さらに、センサリーマップは経済効果も期待できます。効果測定を行い、その結果を社会に提供し、広く役立てていきたいと考えています。
センサリーマップは、感覚過敏の方だけでなく、さまざまな場面で利用できます。たとえば、引っ越し先を選ぶ際に静かな場所や騒音が少ないエリアを探したい方。また、タバコのニオイが苦手な方が、喫煙所の前を避けるために利用することもできます。さらに、落ち着いて作業したいカフェを探したり、リラックスできる環境を求める方にとっても、有益な情報を提供します。
このように、センサリーマップは感覚過敏の方々だけでなく、日常生活の中で静かで快適な場所を求めるすべての人々にとって役立つツールになると考えています。
▼これまでセンサリーマップに関して取り組んできたこと
IPA 独立行政法人 情報処理推進機構の2023年度未踏IT人材発掘・育成事業に採択いただき、センサリーマップを開発し、テスト公開をしました。
このテスト開発したものをベースに、現在、ユーザーが使いやすいセンサリーマップになるように改善・改修を行なっています。
ウェブ開発以外では、実際に五感を使って街や施設内を散策する「センサリーツアー」を行なっています。
スケジュールや今後の計画
現在:センサリーマップの開発作業をしています
2025年2月頃:サービス公開
公開後は、多くの人にご利用いただけるようにSNSやメディアを活用した発信を行い、各地でセンサリーツアーを実施していきます。
【少し先の展望】
このセンサリーマップをベースに、各施設でオリジナルセンサリーマップを作れる機能を実装したり、スポット情報のアラートやお知らせを通知できる機能を実装していく計画です。
必要経費やお金のこと
【想定経費】
・サービスリリースまでの開発費:100万円
・サービス公開後の開発・改修費:100万円/年
・サーバーやAPI利用料などの運営維持費:60万円/年〜
・センサリーツアー実施運営費:30~80万円/年
・知財関連(商標・特許):100万円
【運営費・開発費の獲得方法】
センサリーマップは、誰もが無料で利用できることを前提としています。しかし、持続可能なサービスにするためには、運営開発費の獲得が課題です。初期運営費・開発費については、このクラウドファンディングでの支援金を活用させていただきたいと考えています。
今後は、サービスに関わってくださる皆さまと共に、運営費・開発費の獲得方法を模索しながら、より良い形で展開していきたいと考えています。ぜひ、このプロジェクトにご参加いただき、一緒に発展させていく仲間になっていただけたら嬉しいです。
リターンについて
リターン一覧表です。詳細は各リターンの項目をご確認ください。
また、「このリターンがあれば支援したい」という内容がございましたら、お気軽にリクエストください。ご連絡は、CAMPFIREのメッセージまたは、感覚過敏研究所のお問い合わせフォームからお願いします。
応援メッセージ
(あいうえお順です)
最後に
さいごまで読んでくださりありがとうございます。
センサリーマップは、目に見えず困りごとが可視化されずに置き去りにされてきた、感覚過敏の人の外出や移動を支援するウェブアプリケーションです。
バリアフリーという言葉は社会に浸透しつつありますが、さまざまな病気や障害の方のアクセシビリティが少しずつ向上している一方で、センサリーアクセシビリティという考え方は、まだ日本ではほとんど知られていません。私たちの取り組みが第一歩になると思っています。これまで外出をあきらめていた方々が、外に出て買い物をしたり、レジャーを楽しんだり、人と会うことができるような社会を目指しています。
センサリーマップは、誰かの「行けた!」という情報が、他の誰かの「行きたい!」「行けるかも!」という気持ちを促し、新たな「行けた!」を生み出していきます。このような連鎖を広げていきたいと考えています。センサリーマップは、感覚過敏当事者だけのものではなく、誰もが利用できるツールです。あなたの「行けた!」が、次の誰かの背中を押す力になるかもしれません。
みなさまのご支援が、誰かの「できない」を「できる」に変える力となります。センサリーマップの開発と普及に、どうかご協力をお願いいたします。
<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。
<Q&A>
Q:感覚過敏当事者ではありませんが、支援できますか?
A:はい。どのコースもご支援可能です。よろしくお願いします。
Q:このクラウドファンディングの内容に質問があります。
A:ご連絡は、CAMPFIREのメッセージ機能をご利用いただくか、または、感覚過敏研究所のお問い合わせフォームからお願いします。
Q:このセンサリーマップはアプリですか?
A:いいえ。パソコンでもスマートフォンでもご利用いただけるウェブサービスです。
Q:「ここちーず」というサービス名で開発していませんでした?
A:はい。IPA未踏での開発時に「ここちーず」と名付けていました。既存の地図サービスに発音が類似の商標があったため、正式リリースにあわせてサービス名とドメイン名の変更を予定しています。
Q:領収書は発行できますか?
A:CAMPFIREの支援確定のメールやクレジットカードの利用明細をもって会計処理は可能です。法人等で会計処理に必要な場合は、備考欄に宛名や希望費目をご記入ください。PDFにてメールでお送りします。感覚過敏研究所は株式会社クリスタルロードが運営しており、適格請求書発行事業者です。ただし、クラウドファンディング終了後の発行となりますのでご了承ください。
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