石狩川流域に残ったわずかな湿地、ようやく見つけて守っていこうかと思った矢先、ソーラー発電工事が始まる…。
ずぶずぶジメジメで利用することが難しい湿地を、苦労して開拓して道路や農地を作ってきた中、それも叶わない湿地は「原野」「谷地」と呼ばれ、役に立たない要らない土地として放置され、古くは「泥炭(質の悪い燃料として使われていました)」の採掘場所として、時にはゴミ捨て場とされてきました。
湿地は平地でもあるため、使い方によっては利用しやすい土地でもあるため、大坂や江戸はじめ各地での新田開発から工場用地や宅地そしてニュータウン造成、最近では再生可能エネルギーの設置場所として候補地となることも多く、開発の手は知らぬ間に忍び寄ります。
写真の場所では、この残存湿地を見つけたメンバーがいち早く開発計画を知り、ソーラー発電業者に連絡、工事開始後にも粘り強く交渉した結果、パネル設置位置をずらして核心部は守られることになりましたが、あと一歩でミズゴケ群落や池塘のある貴重な湿地が消失するところでした(当別町蕨岱東部湿原)。
開発業者も工事業者も地主も、周辺に住んでいる方も自治体も、殆どの人が湿地の価値を知らないことから、このように人知れず大切な湿地が消えていくのでしょう。
それを防ぐには真面目に「湿地の価値」を説いたり、開発反対などを唱えることも必要ですが、それだけでは上手くいかず、やはりより多くの皆さんに「なんだか湿地は楽しい」とか「湿地があると美味しいものが食べられる」とか「湿地には可愛い生き物がいて、湿地がなくなると絶滅しちゃう」とか「湿地の植物で伝統的なモノを作ってきたから、無くなると困る」ということを、知ったり感じたりしてもらわないとダメだなぁと思い始めました。そしてそれをドンドン発信して仲間を増やすことで、湿地を守っていけるのではと考えました。
そして始めたのは、実際に湿地を案内する探索会のほか、湿地落語や人形劇、湿地ソング♪、さらには湿地ラップ♫や湿地寸劇、湿地トークショーといったエンタメ、そして湿地の恵みを皆で体験する「(アイヌ文化の)ガマのゴザづくり」「(日本文化の)〆縄づくり」「エゾカンゾウの花と蕾を食べる」「ヒシの実を食べる」ワークショップでした。これについては、次回以降、紹介していこうと思います。