
みなさん、おはようございます!
「鎮守の雫」と名付けられた、その水を導くあらたな挑戦が始まりました。
舞台は標高167メートルに位置する「奇跡の湧水貯水槽」
この貴重な恵みを、17メートル下(標高150メートル)にある
「六根清浄の中継貯水槽」まで、地形の勾配のみを利用して届ける作業です。
先日、待望の本格的な雨が降りました。
しかし、それだけで水源の水が完全に回復したとは言えません。
もしこのまま梅雨の時期まで雨が少なければ、
再び深刻な「渇水」に見舞われる可能性があります。
杞憂で終われば幸いなことですが、今回発見したこの湧水を、
何としても「開拓地」まで引き込まなければならない!
その切実な使命感を胸に、昨日、黒パイプの敷設作業に取り掛かりました。
数字で見れば、わずか17メートルの高低差。
しかし、自然の中でこの落差に挑む現実は、決して単純なものではありません。
この高低差をいかに「手懐けるか」が、成否を分ける生命線となります。

◆ 理論と現実のあいだで:算数との格闘
実を言うと、私は算数があまり得意ではありません。
しかし、相手はごまかしの利かない大自然。
勘だけに頼るわけにはいきません!
「計算を間違えれば、水は一滴も届かない」
その厳然たる事実を前に、私は重い腰を上げて計算機を叩くことにしました。
ここで鍵となるのは、単なる標高差ではありません。
行く手を阻む巨岩や樹木を迂回するため、
パイプの「総延長」は直線距離より遥かに長くなります。
水がパイプを通る際、内壁との摩擦が生じます。
距離が伸びるほどその摩擦は抵抗となり、
水のエネルギーをじわじわと奪っていくのです。
水理計算の式を用いてシミュレーションを行うと、
ルートが少し伸びるだけで、到達する水の量が劇的に減ることが分かりました。
まさに「算数が現実を支配している」瞬間です。

◆ 山の現場が突きつける「計算外」の壁
しかし、現場はいつも教科書通りにはいきません。
作業を進めるうちに、机の上では見えなかった落とし穴が
次々と浮かび上がってきました。
◆「外径」と「内径」の罠
市販の25mm黒パイプは、あくまで外側の直径が25mm。
実際に水が通る内径は20mm程度しかありません。
「たった5mmの差」と思うなかれ。
この差が流量を「4〜5割も減少させる」大きな障壁となります。
◆見えない敵「エアロック」
最も恐ろしいのは、パイプ内の「空気溜まり」です。
地形に合わせて這わせる際、ほんのわずかでも「上り勾配」ができてしまうと、そこに空気が溜まり、水の流れを完全に遮断してしまいます。
◆微細な抵抗の積み重ね
落ち葉を防ぐフィルターの抵抗、急な曲がり角でのエネルギーロス。
1つ1つは小さくても、積み重なれば致命的なブレーキです。
ここで私は、ある真理に気づきました。
人間が編み出した数字は素晴らしい。けれど、
八百万の神が作った大自然には、数字だけでは太刀打ちできない領域があると。

◆ 丁寧な手仕事が、水を動かす
計算機を置いた私は、「地面と対話する」ことに決めました。
敷設したパイプを一つひとつ手で触れ、わずかな波打ちも見逃さないよう、
地面の起伏に合わせて丁寧に敷き直していきます。
◆いかに地形に逆らわず、スムーズな勾配を保てるか?
緻密な計算による「理論」と、泥臭いまでの「現場作業」。
その両方がピタリと噛み合ったとき、初めて水は命を持って流れ出します。
すべての接続を終え、最後の一節を繋ぎ込んだとき、私は心の中で問いかけました。
「さあ、これでどうだ!」
私の情熱は、17メートルの落差を超えて、無事に中継貯水槽へと届くのでしょうか?
その答えは、間もなく静寂を破って響き出す「水の音」が教えてくれるはずです。



