
すべてを失った頑固者が気づいた、「しゅりの森」に込める覚悟と感謝
みなさん、おはようございます!
あたらしい農場の名前を公募し、みなさんと一緒に決定した大切な名前。
「しゅりの森自然農園」

2019年にすべてを失い、ふたたびジャングルのような開拓地を切り拓き、
再生へ向けて泥だらけになって進む日々の中で、
私の中にずっと色濃く残っている「想い」があります。
まず、すべての根幹にあるのが「守里(しゅり)」という言葉です。
かつて「しゅりの里」と呼ばれていた以前の農場は、
「高齢化や過疎化が進む、この愛する里を守りたい」
という想いから名付けたものでした。
しかし、7年にわたる開拓の中で、
一滴の水を求めて途方に暮れながら山を這いずり回り……
先人の方々が守り抜かれた森と、山の神さまに助けられた経験を経て、
その想いはさらに深く、確固たるものへと変わっていきました。

高齢化や過疎化が進む、この愛する「里」だけでなく、
命の源である「森」そのものも守りたい。
先人たちが途方もない労力をかけて築き上げてくれた石積みや、
豊かな自然の営みを、なんとかして未来へ繋いでいきたい。
私の覚悟そのものを、みなさんがつけてくれたこの名前に込めました。
しかし、大自然を相手にする道のりは、決して平坦なものではありません。
2019年に獣害や度重なる台風で前の農場を失ったときの、あの底知れない絶望。
旧芳井小学校の荒れ果てた跡地に立ち、ふたたびゼロから開拓を始めたときも、
幾度となく途方もない壁にぶつかりました。
それでも、「形になるまで、愚直にやり続ける」こと。
パラグアイの地で井戸を掘っていた若い頃から、
そして、総延長2kmを超える水道管を山の水源から引いている今も、
この精神だけが私を突き動かしてきました。

「形になるまで、愚直にやり続ける」そう言うと聞こえはいいかもしれません。
でも実際のところ、当時の私は、
人の話に耳を貸さないただの「頑固者」だったのだと思います。
自分の力だけで何とかできると意地を張り、もがきながら突き進んできました。
けれど……そんな不器用な歩みの中で立ち止まったとき、
はっきりと気づいたのです。
今の「私」という人間を、そしてこの農園を形作ってくれたもの。
それは間違いなく「人とのご縁」であり、「人という財産」でした。
すべてを失い、たった一人で山に入ったような気でいた私ですが、
決して孤独ではありませんでした。
どん底の時も、いつもそばで黙って支え続けてくれる妻。
「しゅりたま復活」のために集まり、常に私を支え、
背中を押してくれる実行委員会の仲間たち。
そして何よりも、日々温かいご支援やメッセージを送ってくださる
「みなさん」の存在。
決して私一人の力では、ここまで来ることはできませんでした。
本当に、本当にありがとうございます。
私が理想としているのは、幼い頃に胸を躍らせた
「大草原の小さな家」のような世界観です。
薪ストーブの暖かさに心から感謝し、時に牙をむく自然の猛威も受け入れながら、
その中にある「小さな幸せ」を周りの人たちと分かち合う。
ただ便利なだけではない、
「生命の根源」と真っ直ぐに向き合う暮らしが、ここにはあります。

そして今、これから私が挑むのは、世界でも2例目となる
「森林放し飼い養鶏法(フォレストレンジ)」での、自然との循環と共生です。
鶏さんたちが森を自由に駆け回り、その生命の営みが豊かな土へと還り、
また新たな森を育んでいく。
人間が一方的に搾取するのではなく、
森も、動物も、人も、すべてが一緒に豊かになっていく「仕組み」を作りたいのです。
この仕組みを支える上で欠かせないのが、
鶏さんたちに与える「食」を通じた地域との繋がりです。
近隣の農家さんが丹精込めて育てたお米。
地元の豆腐屋さんからのおから、漁港で得られる魚粉……。
この地域に眠る豊かな恵みを、大切な鶏さんたちへの飼料として届ける。
そんな「顔の見える範囲」での循環を自らの手で形にすることが、
巡り巡って、どんな嵐が吹いても揺るがない強い基盤になると信じています。
ただ、この美しい自然や地域との循環「だけ」では、
この里や森を本当の意味で守り抜くことはできません。
高齢化と過疎化が進むこの地域を存続させるためには、
もう一つの「循環」が必要不可欠です。
それは、私たちの生み出す価値で外からしっかりと「外貨」を稼ぎ、
その稼いだお金を地域の中で循環させていくこと。
それが新たな「雇用の創出」へと繋がり、
若い世代がこの里で力強く生きていける基盤になるのだと確信しています。
これらすべての想いは、「未来をになう子供たちに、本当に安全で、
生命の力が詰まったものを届けたい」というたった一つの願いに繋がっています。

5月には、いよいよ300羽の新しい命たちを迎えます。
彼らがこの森を元気に走り回る姿を思い描きながら。
そして、私のかけがえのない財産である、
温かい支援を送ってくださるみなさんの顔を思い浮かべながら。
今日も私は、感謝とともに、愚直に「一歩一歩」進んでいきます。
これからも、「しゅりの森」の歩みを一緒に見守っていただけたら嬉しいです!



