
~私が「森の放し飼い」にこだわる理由⑥~
みなさん、おはようございます!
鶏は本来、群れで生活する生き物ですが、人間と同じように
一羽一羽の「相性」があり、「社会的順位(序列)」が存在します。
養鶏の世界には、時に「カンニバリズム(共食い)」と呼ばれる痛ましい現象が起こります。
金網のケージはもちろん、見渡す限り隠れる場所のない平らな運動場では、
常に他の鶏と視線が合い、気の休まらない緊張感が生まれてしまうからです。
順位の低い子が追いかけられ、突っつかれて一度でも傷ついて血がにじむと、
鶏はその赤い色に本能的に激しく反応し、最悪の場合、仲間をつつき殺してしまいます。
これを防ぐため、一般的な養鶏場の83.7%では、ヒナのうちにくちばしを切る
「デビーク」という処置が行われています。

また、1900年代初頭のアメリカなどでは、血の赤色を認識させないために
「鶏に赤いメガネ(サングラス)をかけさせる」という発明まで実在しました。

人間の都合で、痛々しい処置をしたり、無理やり本能をねじ伏せようとする歴史。
でも、くちばしは彼女たちにとって、人間の「手」や「唇」と同じです。
ふかふかの土を掘り起こして大好きな虫を見つけたり、柔らかな草の葉を器用にちぎって食べたり……
世界を感じるための最も大切な器官です。

それを切り落とすことは、鶏が持つ「本来の喜び」を奪ってしまうということ。
生命を育む生産者として、これほど胸が締め付けられることはありません。
奪うのではなく、鶏本来の幸せな姿を守り抜くにはどうすればいいのか?
そう自問自答を繰り返してたどり着いたのが、いま娘たちが住む「大自然のシェルター」です。
おうち(鶏舎)は、1羽あたり0.6㎡。一般的な平飼いが推奨する広さ(約0.33㎡)の倍近い広さ。
けれども、ただ「平面的に広い」だけでは、強い子から完全に逃げ隠れる「死角」は生まれません。
だからこそ、私が切り拓いたこの1500㎡の森の「遊び場」が必要だったのです。
「1羽あたり5㎡」という圧倒的な広さに加え、何本もの立ち木が影を落とし、
身を隠せる倒木や切り株があり、高低差のある斜面が無数に存在します。
この「広大な立体空間」があることで、
娘たちは自分にとって心地よい「社会的距離(パーソナルスペース)」を自然に保てます。
少し気の強い子が近づいてきても、サッと木立の裏に回ったり、ピョンと一段高い倒木の上に登ったりするだけで視線が遮られ、
無用な争いなど、まったく起こりません。
さらに、森とおうちを自由に行き来できる環境では、こんな微笑ましい光景も見られます。
序列の強い元気な子たちが、お外の森で夢中になって遊んでいる隙に……
順位の低い少し気弱な子たちが、こっそりとおうちに戻って、誰にも邪魔されずに自分のペースで
ゆっくりとご飯を食べているのです(笑)
逃げ場があり、隠れ家があり、お気に入りの居場所を自由に選べる環境。
人間の都合で、生命のあり方を捻じ曲げない!
娘たちが「鶏らしく」生きられるあたりまえの幸せを私が守り抜く!
くちばしを切ることも、メガネをかけさせる必要さえありません。
この森の立体的な構造がもたらす安心感が、すべてを優しく解決してくれます。
森で過ごす娘たちを観察していると、殺伐とした争いは影を潜め、
一般的な養鶏場のような騒々しい鳴き声はまったくありません。
そこには、本当に穏やかでリラックスした時間が流れています。
ストレスのない平和な群れ社会が築かれているからこそ、娘たちは心身ともに健やかに育ち、
生命のエネルギーを「たまご作り」に全集中させることができるのだと感じています。
大自然の中で穏やかに、たくましく育まれた生命の恵み。
「しゅりたま」をこれからも、親としての誇りを持ってお届けしていきます。
それではみなさん、今日も良い1日をお過ごしください。
#しゅりの森自然農園 #しゅりたま #アグロフォレストリー#森林放し飼い養鶏#アニマルウェルフェア #カンニバリズム#社会的距離 #高知県 #三原村#生産者 #デビーク反対



