2024/05/05 08:58

2023年12月1日、東京で、ユーキャン新語・流行語大賞の授賞式があり、僕横山拓也が、

「地球沸騰化」

という言葉で受賞しました。

ちなみに、選ばれる10語に順位があると思われている方が多いのですが、実はどれも横並びで大賞なのです。その中で一つだけ特別大賞が選ばれ、昨年は阪神岡田監督の「アレ」だったわけです

なぜ僕が受賞したかについて...

10月某日、突然ユーキャンの新語・流行語大賞事務局の方からお電話があり、「国連のグテーレス事務総長が演説の中でおっしゃった「もはや地球沸騰化」という言葉で、横山さん、賞を受けていただけませんか?」というお申し出をいただきました。

最初、なんで僕なん?と、??????だったのですが、「国立環境研究所の研究者なども候補に挙がっていたのですが、高い海水温でサバがたくさん死んだことをテレビなどでも発信されている横山さんが一番わかりやすいと考えまして」とのことで、納得。

実は僕や小浜よっぱらいサバだけではなく、多くの養殖事業者がたいへんな想いをなさっているのですが、そのことをなかなか表立って表明できない現実があります。
というのも、市場のほうが優位にあるため、魚が死んだことが悪評に繋がり取引を切られてしまうことがあるからです。

ただ、せめて僕だけは叫んでもええんちゃうやろかと思い、叫んでいたら、選ばれてしまったという次第でした。
ですので、僕は、僭越ながら、地球温暖化の中で苦闘している第一次産業の生産者を代表させていただくつもりで、受賞しました。

地球温暖化の議論の中で、人の手によらずとも地球ではたびたび温度の急激な変化があったと言われ、だから大丈夫(むしろ人が何をやっても無駄)というふうに結び付けられることがあります。

研究者の末席にいる者(全然畑違いの生物工学ですが)としては、

「いやそれはその通りなんだけど、46億年の地球の歴史の中で「急激な変化」というのは、地球のどこかで火山の大爆発とか隕石の衝突でもない限りは、超絶最短でも数百年(縄文海進とか)、だいたいは数千年〜数万年とかいう単位で・・・」

というのをわかりやすく説明したいのですが、できずにもどかしさを感じていました。
自然現象で言えば、地球はその昔、表面の全部が凍ってしまう「全球凍結」なんてのもありましたが、そういうのと、産業革命以降約300年間で私たちが直面してる状況とは、全く異なります。

なんとなく大丈夫と思いたい、あるいはしゃあないやんという諦観を抱きたいというのは、僕らの社会全体が抱える心情かとは思いますが、魚を育て、そして皆さんにずっと召し上がっていていただきたいと願う漁師としては、そういうわけにはいかない。

人の営みの結果であるなら、人がそれを打開することもできるはず。
心の中に住む安西先生が「諦めたらそこで試合終了ですよ」と語りかけてくれています。
漁業というフィールドで、皆さんと共に、地球沸騰化を乗り越えていきたいと思います。

※写真は、新語・流行語大賞の審査員を務められたパックン(パトリック・ハーランさん)と。福井と縁の深いパックンは、ずっと応援してくださっています。