本日も引き続き、『地球を翔けた異風者 古賀武夫伝』より、いのちのまつりについて書かれた部分を抜粋してご紹介いたします。
第十八章 いのちのまつり
商業出版へ
応接間に通され、社長と編集長の前に三人で座った。武夫は、挨拶後、ほとんど何の前置きもなく、「発行部数はどれくらいになっとですか」と訊いた。
「五万冊はいけるでしょ」
「そがんですか。じゃ、わしらは帰らせていただきます。ほかの出版社からもオファーがありますけん」
まあ、まあ、まあ。武夫が腰を浮かすのを先方は慌てて制した。
「いのちのまつりですばい。私は、二百万冊はいく思うちょります」
真顔で言い、この絵本がベストセラーにならない世の中はおかしいと言葉をつけ足した。主張は通らなかったが、信念は伝わったようだ。
原作・草場一壽、絵・平安座資尚、監修・古賀武夫。『ヌチヌグスージ~いのちのまつり』は、初版五万部からスタートし、十年で三十九万部を売るロングセラーになった。一壽は、同社からいのちのまつりシリーズ五作を立て続けに出し、そのうち三作が小学校の道徳や生活科の副読本に採用された。これらの採択数も含めれば、累計二百万冊を優に超え、武夫の言ったことが本当になった。
『地球を翔けた異風者 古賀武夫伝』p280-281
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