三輪代表から、昨日の上映会・トークについてのメッセージが届きました。
2月11日 「手でふれてみる世界」
こんにちは三輪です。昨日岡野晃子さんの映画上映が群馬県立館林美術館でありました。岡野さんの映画「手でふれてみる世界」は今の時代に作らされた映画だと思います。この映画は全国20か所以上で上映されているようです。群馬県では初めての上映でした。お客様も思いのほかたくさんいらしていただきました。皆さん本当にありがとうございました。
私が去年から取り組んでいる文化庁、障碍者等による芸術文化活動推進事業の取り組みとしてインクルシブアートコーディネーター育成事業があるのですが、簡単にいいますと障害者の方が美術館に行って鑑賞するためのサポートの養成事業なのです。サポートをするためには言葉で作品の内容を伝えるほかに「触察」という鑑賞方法があります。美術館では触れることが出来ない作品を鑑賞するための手段も研究していかなければならないのですが、この話を論述してもそうそう実感として伝えきれないことが多いのです。岡野さんの映画を見ることで見えない人が展覧会を鑑賞する必要性と具体的な取り組みを皆さんに実感として頂けると思います。
面白いものでこの映画はオメロ触覚美術館の館長夫妻のお話しなのですが、不思議に岡野さんの人格がにじみ出ているように感じます。私は画面が見えないのでユニバーサル対応の音で映画を楽しむしかないのですが、それでも岡野さんの謙虚な性格を感じることが出来ます。見せ所を強調するのではなく、より自然さを大事にして撮影している岡野さんの姿が見えるようです。
これは怖いことだと思います。私が館林美術館で出品している過去の木彫の作品は人を寄せ付けない空気がみなぎっているようです。最近の作品は鑑賞者との距離が30cmくらい縮んだと人に言われます。確かにその通りなのです。木彫を彫っていたころの私は一匹狼の自己完結型でした。最近は見えないがゆえに団体戦になりつつあります。それが30cmという感想になったのだと思います。
岡野さんは今後も肩に力を入れず、大声で叫ばず、優しく人に寄り添って生きていくのだろうと思います。素晴らしいです。