去る4月1日、大阪での2枚の壁画制作が完了いたしました。
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HAGOROMOMURALS#2 IN OSAKA
2024.04.19-27
at 高師浜駅高架
H3m×W6m 5days
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HAGOROMOMURALS#2 IN OSAKA
2024.04.19-27
at 伽羅橋駅
H2.5m×W9m 6days
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たてつけについて
今回の制作においては、高石市役所の橋渡しのもと、南海電鉄の所有物である駅の高架2箇所へ行いました。制作においては南海電鉄系の建設会社にバックアップしていただき、駅のリニューアル開通に間に合わせる形での制作です。高石の六区自治会の皆様や小学生は毎日立ち寄ってくれました。
制作中の苦労について
振り返ると率直に、雨に翻弄された記憶で苦笑いです…制作期間11日間のうち5日間雨が降るという、まさに春の嵐とのバッティングでした。
いや〜雨は苦手ですね。
きっぱり作業を切りやめれば良いのですが、駅の開通という締切は守りたいし、やきもきしながらの制作はキツかったです。
そんな中でも制作アシスタントで入ってくれた同業のTHRREEやyuheiくんの面々、地域の方がかけてくれる声はリフレッシュになって心の支えでした。
絵の構想について
2枚の絵ともにコンセプトは同じで、以前の投稿をご参照ください。
「不在の中心」という考え方があります。これは物語や現実において、大きな影響を与える中心人物が、登場しない/存在しない形式を指していて、簡単に言うと「神様」とか、創作でいうと「ゴドーを待ちながら」「桐島部活やめるってよ」「市民ケーン」なんかが思い浮かびます。登場してこないからこそ、周囲の語りによってその輪郭をたどる作業が物語の求心力になっていきます。要するに「居ないアイツはミステリアス」って感じで周囲を翻弄するのです。
これが今回の2枚の絵で描きたかったことです。
この羽衣伝説は存在の怪しい天女という存在を巡って世界中で展開される物語です。物語の中心は明らかに天女でありながら、天女視点では語られないことで、明らかに意図的に彼女の魅力を引き上げています。このHAGOROMO MURALSでは、その天女の存在を近づけたり遠ざけたりしながら現代の視点から描き直す作業としての楽しさがあります。
大阪壁画①はすでに説明済みなので大阪壁画②の説明で具体的に触れますね。
[絵の情景]
横たわる女性/よく見ると2人いる/下側の女性は肌が見えずその輪郭のみ描かれている/よくよく見ると鏡を境とした1人の人物だと分かる/上下が反転している/姿が描かれた女性は鏡に映った虚像で、描かれない女性こそが実像/女性の薬指には指輪、周囲には割れた水差しが散らばっている/実像(実際の人物)が存在せず、虚像(物語上の人物)のみが存在する
さいごに
実現に漕ぎ着けさせてくれて、皆様本当にありがとうございました。企画に期待を持ってご支援くださった皆様のおかげで、今日も晴れ晴れとした気持ちです。
今回の大阪も、京都も、壁画を描かせてくれる土地の方々は土地への愛着が深い場所でもあります。だからこそ絵を描かせてくれるし、楽しんでくれる。それを改めて感じる大阪、高石市での制作でした。