【多様性を描く赤ちゃん絵本】応援コメント エンブックス 西川俊充さん
[2024/05/03] 子ども向け絵本の出版社エンブックスの西川俊充さんより応援コメントをいただきましたのでご紹介します。
「多様性」をテーマに絵本づくりをしたいと今福先生から相談を受けた時は、難しいテーマを選択したものだなあ、と密かに思っていました。子どもの楽しみはもっと身近にあるもので、社会問題を扱うことは子どもの楽しみから遠ざかってしまうだろうと想像したからです。
このテーマでの絵本づくりに挑戦したいという当時学生だった石井さんと福田さんは、当初は3歳以上の子どもを対象に向けた絵本を考えていたようですが、僕が普段取り組んでいるのは赤ちゃん向けの絵本です。
まだ言葉を獲得していない、社会に出ていない、赤ちゃんはむしろ「多様性」について一番寛容なんじゃないか、というのもあったので、絵本づくりをご一緒するにしても「好奇心むきだしで受け入れる器が一番大きいのがむしろ赤ちゃんなのでは」と事前にお伝えし、やんわりテーマを変えてみてはと促すつもりでした(笑)
それでも二人はテーマを変えなかった。そうしてやりとりしているうちに、「大人が子どもに読んであげる」絵本というのは、大人から子どもへの一方通行ではなく、子どもの反応を見て大人が気づき、学ぶこともある相互のコミュニケーション・ツールだと僕自身も新しい考えに至るようになりました。これはとても大切な視点だと思います。
多様性を楽しんで受け入れる赤ちゃん。それを見て学ぶ大人。そんなシーンがイメージできた時、これは絵本になるかもしれないと思いました。
学生の「やってみたい」を受け入れることもまた「多様性」だと考えれば、この取り組み自体に価値があったと振り返っています。そんな二人のアイデアで仕上げた絵本を、ぜひご覧になっていただけたらうれしいです。
エンブックス 西川 俊充
※絵本制作は西川さんともご相談しながら進めました。絵本制作の過程でどのように絵本が変化していったのかについては写真をご覧ください。