演劇/微熱少年 vol.7 めいく みぃ すまいる、あげいん 読み合わせ会では、上演台本の読み合わせのほか、宣伝用写真の撮影や劇中に登場するダンスシーンの振付のキャストへの移しも行いました。
今回、振付を担当するのは川田夏実。普段はストレートプレイ・繊細な会話劇が中心の演劇/微熱少年作品ですが、今作では劇中で登場人物が「踊る」ことが必然のストーリー。栗原一美、田村菜穂、村山朋果、3人のフォーメーションダンスが物語の重要な鍵になります。
聴覚や視覚に困難を抱える方にも舞台を楽しんでいただくためのアプローチは様々な取り組みがあると思いますが、字幕表記や音声ガイドなど特別なツールを使わず、舞台に立つ俳優の表現だけでそれを埋められないか?という発想が今作の演出の根幹にあります。舞台上にあるものを100%届けようというのは表現者側のエゴではないか?と、ある方から指摘されたことがきっかけでした。正直、ハッとさせられました。「ポスト・トゥルース」なんて言葉を使わなくても、わたし達は自由に現実を解釈して、新しい事実を創り上げ続けているのだ気づいたからです。その答えの一つが「踊る」という演出につながったのです。
その演出や表現が上手くいくかは、まだ確信を持てていません。しかし、表現者が一つのメッセージだけを届けるために作品を創るのではなく、観る方が作品から多様な解釈を引き出すならば、その観方も多様であっていいのだと、そう考えています。
(加藤真史)