今回のリターン品である「一夜干し」と「お刺身用」の生産について取材しましたのでお知らせします。
水揚げ
いかは漁で釣った後、できるだけ早く水揚げしています。
生け簀に長時間泳がせておくとすぐ弱って死んでしまうそうです。
以下はクチ(くちばしとかトンビとか言いますね)から水をジェットのように吹いて大変高速に泳ぐため生け簀の壁などにぶつかって死んでしまうとのこと。
そうなると状態は一気に悪くなって風味が損なわれるので帰漁したらできるだけ素早く水揚げしています。
イカは温度に敏感で、温度が25度を超えるとすぐ弱ってしまいます。だからと言って寒くてもダメ。繊細な生き物です。
そのため、海水温の変化をどう読み取るかが漁師の腕の見せ所だそうです。
水揚げしたイカはできるだけ早く「生きたまま」業務用冷凍庫で冷凍します。
冷凍庫の温度は-20℃で調整されています。
これは一夜干し用も刺身用も関係なくすべてのイカを生きたまま冷凍しています。
水揚げ後に生きたまま冷凍する理由
水揚げ後に冷凍するのには理由があります。
まずはやはり「アニキサス」などの処理です。
ヤリイカには内臓部分にアニキサスが寄生していることがあります。
(参考:厚生労働省「アニキサスによる食中毒を予防しましょう」)
上記リンクにも記載されている通り、-20℃で24時間冷凍することで駆除できます。
船長は24時間以上冷凍しています。
また、生きたまま冷凍することでイカの防衛反応を利用して身を引き締め、うまみ成分を全体にいきわたらせるそうです。
船長自身が試行錯誤しながらこの方法に行きついたとのことでした。
ぷりぷりな触感、イカのうま味を楽しめる作品に仕上がっていると思います。
現在商品化に向けて試作を続けている内臓部分を使った「たまご+しらこ料理」「くちばし」「スルメイカの塩辛」などもこの冷凍の工程で美味しく、安全にご提供できるのではないかと言っていました。
(スルメは漁期が冬なのですが、船長の塩辛は実はすでに予約が入っており。。。)
なお、「生きたまま冷凍」することにより新鮮な状態で2年間の保存ができたとのことでした。
※実際はすぐ製品にして出荷しているので保管は1週間から長くても1か月くらいだそうです。)
「一夜干し」は一晩干さない
一夜干しというと長時間干すというイメージですが、実際は2~3時間程度の干し時間です。
干すのはあくまでも「余計な水気のみ」を取るためで、長時間干し続けるとうま味が溶け込んだ水分まで飛ばしてしまうことになり、味も食感も落ちてしまうようです。
干し方はイカをくるくる回す方式が見た目にも有名ですが、船長は竿干しにこだわっています。
これも先ほどの「必要な水分を飛ばさない」ようにするためだそうです。
※現在は長雨で出漁できていないので写真はありません。。
調理とパッキング
冷凍保管されていたイカの調理は一夜干し用と刺身用で若干行程が違います。
調理直前にイカの大きさカタチ、肉の厚さなどで刺身用と一夜干し用で仕分けをしています。
一夜干し、刺身用ともに内臓・目玉・くちばしを取り除いたあと、本体に対して縦に切れ目を入れておきます。
お刺身用はすぐ真空パック機で真空パックにし再度業務用冷凍機で再冷凍します。
ます。
一夜干し製品は2~3時間の干し工程の後、真空パックにして冷凍します。
生きたままでの冷凍だと2年間の保管が可能ですが、調理のため一旦解凍することで美味しく食べられる期限が2か月程度に短くなります。
そのため、調理はできるだけ注文が入って発送する直前に行っています。
なお、水揚げ後の冷凍庫と製品保管用の冷凍庫は別々になっています。
それぞれがお互いに影響しあわないようにするための措置です。
製品保管庫も業務用冷凍庫で温度は-20℃で設定されています。
機材は中古でそろえているため古いですが、毎回の保健所審査は問題なく通っています。
漁師と同じく冷凍庫も老いても働き者です。
一日も早く天候が回復し、皆様のお手元へ確実に商品をお届けできる日を首を長くして待っています。