第八弾は演劇/微熱少年の新作公演すべてを映像化してきたビデオグラファー/岡安賢一さん。まさにこの映像化プロジェクトの要となる方からメッセージをいただきました。
演劇は映像で残せるのか?
加藤真史さんは年代で言えば先輩にあたりますが、群馬で本気で演劇を作ってきた人間として、一方の僕は群馬で本気で映像を作ってきた人間として、いつも対等に創作を続けてきました。
演劇が、生のもの、一回限りのもの、観劇するその日の役者スタッフのみではなく、観客それぞれの体調や気持ちによっても印象が変わる<体験>だとすれば、映像にはその多くのものがこぼれ落ちてしまいます。
映像の特徴として、役者の表情にカメラが寄れる、カットとカットの繋ぎによって映像としてのドラマが生まれる等はありますが、それは下手をすると全てを崩してしまう可能性がある行為でもあります。
が、僕(やその撮り方を全て委ねてくれる加藤さん)が目指してきたものは、<映像として再構築した時に、観劇体験を追体験できる映像、そして観劇では得られない魅力のある何かを含ませること>でした。
今回で言えば、両演劇とも<不在>を描く劇ともいえる中で、カメラを向けても映らない不在や特別な視線を映像に残せないかと思い、編集を続けています。一人でも多くの方にこの映像を体験していただきたいです。
岡安さんには素晴らしい予告編ダイジェスト映像も作成していただきました。
是非、ご覧頂き、お知り合いにもご紹介いただけると嬉しいです。
【岡安賢一】
ビデオグラファー/岡安映像デザイン。群馬県中之条町生まれ、在住。日本映画学校(現日本映画大学)にて安岡卓治氏、原一男氏よりドキュメンタリー制作を学ぶ。山形国際ドキュメンタリー映画祭2003事務局スタッフ。現在は地元群馬で映像制作を行う。国際芸術祭中之条ビエンナーレでは、オープニング映像制作や全アート作品・全イベントの映像によるアーカイブを担当。ほか、アーツ前橋、太田市美術館・図書館、原美術館ARCの映像制作に関わる。現在、目が見えない彫刻家・三輪途道氏のドキュメンタリーを制作中。全国から映画シナリオを公募し映画化させる取り組みを行う「伊参スタジオ映画祭」実行委員長。