はじめまして。朝倉景樹と申します。
私は、フリースクールを運営するNPOでスタッフとして活動した後、そこで出会った18歳以上の若者たちと、自分にあった生き方を創る学び場としてオルタナティブ大学「TDU・雫穿(てきせん)大学」を立ち上げました。それから現在まで25年間、不登校やひきこもりを経験した若者が自分の人生をつくることに寄り添う活動を続けています。また、雫穿大学のスタッフをする傍ら、世界と日本の教育や若者の困難についての研究も行ってきました。
そんな中で、近年、非常に深刻であるにも関わらず、まだあまり注目されていない若者たちの困難があると感じています。それは「大学の不登校」という問題です。
現在、大学で不登校をしている学生が大勢います。2008年の調査での大学の長期欠席者数などをもとに計算すると、単純計算で約8万人、近年の大学進学率上昇で大学生人数が増えている現状を加味すると約12万人の不登校の大学生がいると考えられます。
「大学を不登校している」というと、「甘え」「怠けているだけ」などと捉えられ、「頑張って大学に通えるようになれば解決」とされがちです。しかし、「大学の不登校」は「甘え」や「怠け」などではありません。「再登校」では問題は解決しないのです。
2023年に国立精神・神経医療研究センター 松本俊彦医師らが発表した「小中高の不登校経験者のその後」に関する研究が、そのことを端的に表しています。
この研究の結果、小中高で不登校を経験した後に自殺してしまった人の実に75%が「再登校者」だったということが明らかになりました。不登校になった人を無理にでも再登校させることは解決でもなんでもなく、実際は「命に関わる」問題なのです。
では、なぜ、大学で不登校になる若者たちが増加しているのでしょうか。
その背景には、子ども・若者たちの「自己否定感/生きづらさ」があると、私は考えています。
雫穿大学は2019年に主に不登校経験者を対象に「生きづらさ」の実態を探るオンライン調査を行い、非常に深刻な状況があることを発見しました。
回答者の実に約92%が、何らかの自己否定感を持っていると答えたのです。
この「自己否定感」の中身は人によって多様ですが、オンライン調査では次のような感覚を多くの人が「自分にも当てはまる」と回答しました。
近年、大学に進学する不登校経験者が増えていますが、彼らは不登校時に抱いた存在そのものが否定されるような感覚や、圧倒的な欠落感をどうにかする機会も持てないまま、必死に「普通」になろうと頑張って、ついに限界を迎えて大学で不登校になるのです。
そんな「大学の不登校」を経験する若者たちへの支援は全く十分とは言えません。本人にしっかり寄り添う、適切な支援が少なすぎるのです。大学への無理な「再登校」を目指すものはもちろん、就労指導なども「今の自分には合わない」と本人には感じられ、場合によっては無理な就労が本人をさらに追い込むことにも繋がりかねません。
また、そもそも「大学の不登校」増加の背景にある「自己否定感」や「生きづらさ」に関する問題意識や情報が、十分に認識されていません。それによって子ども・若者たちに「自己否定感」を抱かせるような現在の教育の問題が議論さえされていないことも大きな問題です。
こうした困難な状況を変えていくために、私は2つのアクションを行おうと決意しました。
まずメインのアクションとして、「大学の不登校」で悩む若者たちに「生きづらさを解きほぐす実践」の情報を届けます。
大学の不登校を経験する人の根底にある「自己否定感」や「生きづらさ」は非常に切実で、だからこそ必要なのはそれらを人の力も借りながら丁寧に解きほぐすことです。そして、その人自身の関心から始まる学びで、自分なりの生き方を創ることです。
NPO法人TDU・雫穿(てきせん)大学では、設立から25年になる積み重ねの中で、その試みが形になってきています。例えば、雫穿大学の「生き方創造講座」や「研究ゼミ」では、当事者研究的な手法も活用して、自身の苦しさを言葉にし、仲間の学生やスタッフに一緒に考えてもらうことで「生きづらさ」を解きほぐしています。
映像、演劇、語学、歴史、社会学など、学生たちの関心から始まった多種多様な講座で学ぶことも「生きづらさ」を変える助けになります。「何歳までにしなければならない」というプレッシャーからではなく、「ちょっとおもしろそう」から始まる学びが、本人の関心を呼び起こし、「やりたいこと」との出会いになることがあります。
しかし、こうした「生きづらさ」の解きほぐしの情報を、大学の不登校で苦しむ人たちには十分に届けられていません。そこで、私は彼らに情報を届けるアウトリーチを行いたいのです。
アウトリーチとは具体的には、何の情報もない中で苦しむ大学の不登校の若者たちに、こうした「自己否定感」と「生きづらさ」を変えていく方法があることを伝えていくことです。
●一般大学の相談室と連携して、情報を今困っている若者たちに直接届けます。この試みは実績があり、既に一般大学の相談室を通して繋がってくれた学生もいます。
●現在も公開中の大学の不登校で悩む人に向けた特設サイトをさらに充実させ、SNSや広告等による宣伝で情報を広げます。既に「大学の不登校」で悩んだ末にサイトへアクセスしてくれた人も多くいます。
●「生きづらさ」を変えたいと願う人が無料で参加できる雫穿大学のオープンキャンパスを開催します。
もう一つのアクションは、「自己否定感」「生きづらさ」と教育の問題に関する情報と議論を少しずつ共有し広げる下地をつくることです。
現在雫穿大学には、若者たちの「生きづらさ」の実態を知ることができる統計データや不登校に関する資料、また教育・学びのあり方を深く考える助けになる国内外のオルタナティブ教育の実践についての貴重な資料があります。
それら「生きづらさ」「不登校」「オルタナティブ教育」に関する資料を利用しやすいようにまとめたデータベースサイトを制作公開します。また、SNS等でも随時情報を発信していくことで、「生きづらさ」や「教育・学び」についての議論を広げる土台づくりを少しずつ進めていきます。
この2つのアクションで、「大学の不登校」と教育をめぐる閉塞状況を打開する試みを進めていきます!
●2024年11月 大学相談室への情報提供連携開始
●2025年1月 大学の不登校の人に向けた特設サイトをリニューアルオープン&SNS広報・情報拡散開始
●2025年2月 無料オープンキャンパス開催
●大学へのアウトリーチ事業:150万円
●データベースサイトの制作:50万円
合計:200万
既に雫穿大学ではここ数年、大学や大学院の不登校をきっかけに入ってくれる学生たちが増えています。彼らは今まさに、自身の「自己否定感」や「生きづらさ」を変えて自分の生き方を見つようと生き生きと活動しています。
今回のアクションでより多くの「大学の不登校」で苦しむ若者たちと繋がることができれば、「生きづらさ」を変えていく試みをもっと多くの人に広げていけます。
今、世間からの「大学の不登校」に対する理解はあまりに不十分です。不登校の問題は「大学に行ってしまえば解決」で、大学での不登校に至っては「甘えている」「弱い」などと言われ、真剣に注目されてきませんでした。
しかし、もう一度言いますが、「大学の不登校」は「甘え」でもなければ、その人が「弱い」ということでもありません。
大学で不登校せざるを得ないのは、それまでの学校や社会の中で抱えてしまった「自己否定感」などの「生きづらさ」があるからです。それは本人の命に関わる非常に深刻な問題です。
本当に苦しく大変なのは、周囲の理解を得られず、情報もなく、自分を責めながら途方にくれる「大学の不登校」を経験している若者たち自身なのです。
彼ら・彼女らに必要なのは、本人の意思や気持ち、状況を無視したお仕着せの「支援」ではなく、人の力を借りながら「生きづらさ」を解きほぐす試みができる場とその情報だと、私は考えます。
今まさに「大学の不登校」で苦しむ若者たちに、本人に寄り添った形で情報を届ける私たちのアクションを応援してください!
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。
最新の活動報告
もっと見るクラウドファンディング終了しました!ありがとうございました!
2024/10/19 00:12目標を達成しました!ありがとうございます!こんばんは。クラウドファンディングプロジェクトチームです!8月19日から開始したクラウドファンディング「大学の「不登校」を知っていますか?苦しむ12万人に選択肢を届けたい」は、先ほど終了し、無事目標を達成することができました!総支援額は「2,030,000円」、達成率は101%となりました。ご支援くださった皆さま、さらに最後まで応援メッセージやシェア等様々な方法で支えてくださった皆さま、本当にありがとうございます!開始した当初は、この「大学の不登校」はあまり知られていない問題だったこともあり、目標達成できるのか、不安な気持ちもありました。しかし、皆様のご協力もあり、少しずついろんな方に知っていただくことができて、予想以上にたくさんの方からの反響をいただきました。「今まで知らなかった」という方からは共感と大変暖かい応援を、あるいはご自身も「大学の不登校」を経験し苦労したという方からは貴重なご支援と応援の言葉をいただきました。様々な形でいただいた皆さまからの想いに、胸がいっぱいです。この皆さまからの貴重なご支援と想いを胸に、一層の決意をもって、今も大学を不登校して「生きづらさ」に苦しむ人々に選択肢を届け、さらには不登校・ひきこもり・教育の在り方についての議論を深めるため、アクションを実施していきます!これからも私たち雫穿大学の試みにご関心を寄せていただければ幸いです。改めて、皆様のご支援とご協力に、心からのお礼を申し上げます。本当にありがとうございました! もっと見る
【終了まで3日】ラストシェア祭りを開催します!
2024/10/15 22:03皆さん、こんにちは!TDU・雫穿大学のクラウドファンディング学生サポートチームです!現在、挑戦中の「大学の不登校」の問題に取り組むクラウドファンディングも、あと3日となりました。前回のシェア祭りに多くの方にご協力いただいたことで、続々と応援・ご支援をいただいています!現在30%を突破しました!ありがとうございます!でが、目標にはまだ道のりがあります。ラスト3日間で目標を達成し、深刻な「生きづらさ」を抱えて苦しむ「大学の不登校」の若者たちに「生きづらさ」を解きほぐす選択肢を届けるには、さらにもう一息、この問題への共感の輪を広げる必要があります。そこで、本日18:00〜10月18日23:59(クラウドファンディング終了時間)の期間で、ラストスパートシェア祭り「#大学の不登校に選択肢を」を開催します!またのお願いで大変恐縮ですが、「大学の不登校」の問題についてさらに多くの方に知っていただき、その苦しさを解きほぐすために、皆さまの最後のご協力をお願いします!【参加方法は前回と同じで簡単!】先ほどTDU・雫穿大学のFacebookで「ラストシェア祭り開催!」と題した投稿をしました。今回もその投稿をご自身のFacebookでシェアして頂くだけです!→Facebookの投稿はこちらその際は、よろしければ応援のコメントや「#大学の不登校に選択肢を」のハッシュタグを添えてシェアしていただけると嬉しいです!ラストシェア祭り期間は、本日10月15日(火)18:00〜10月18日(金)23:59です!皆さんのシェアを通して、このプロジェクトと「大学の不登校」問題への関心をいま一度盛り上げ、多くの方に知っていただく機会にしたいと思います。どうぞ皆さまのご協力をよろしくお願いいたします!TDU・雫穿大学 クラウドファンディング学生サポートチーム もっと見る
【活動報告】ライフスタイル研究会で望む生き方を研究!
2024/10/14 19:00こんばんは。雫穿大学クラウドファンディング学生サポートチームです。今日は、先日行われた、雫穿大学での「ライフスタイル研究会」についてご紹介します!雫穿大学には、ご存知のように不登校・ひきこもりをはじめとした、それぞれの生きづらさを抱えつつ、自分の生き方を探したいと思っている学生たちが集っています。最近では、「大学の不登校」を経験した若者たちが入ってくれることも増えているわけですが、そんな私たち学生にとって、まず最初の関心は、自分の「自己否定感」とか「人への怖さ」とか言えるような、「生きづらさ」をどうにかこうにか解体していくことである場合が多いです。ですが、それだけで全て解決というわけでもありません。自分研究(当事者研究)やその他の講座で、自分の苦しさを少しずつ楽にしていくことはできますが、そこから問題になるのは、「じゃあ、この先、どう生きたらいいのだろう」ということです。世の中には、やはり「小中高大就職」という人生のレールのようなものがあって、もちろんその生き方の全てが悪いわけではないけれど、自分がそれで生きていける、生きていきたいかというとそうとも思えない。でも、そのレールから外れると、どう生きたらいいか全くイメージがつかない…。そんな中でも、少しでも学生それぞれが自分の生き方を考えやすくしたいと始まったのが、ライフスタイル研究会です。国内外の様々な生き方・働き方の事例に触れ、どう生きたいかに関わるテーマについて調べ、ディスカッションして、生き方を模索をしています。ワーカーズコープ・センター事業団の尾添良師さんにお話を聞く①研究会では、年に2回ほどゲストを呼んでお話を聞いていますが、先日は、労働者協同組合ワーカーズコープ・センター事業団の尾添良師さんに来ていただきました!ご自身の生い立ちや、ワーカーズコープに出会うまでのお仕事の経験、労協への思いを語ってくださいました。「自分の未来は自分で決めること」が大事だということや、ワーカーズコープでなければ働けなかったというお話などが心に残る、とても素敵なお話でした。私たち学生にとって、今までイメージしていたのとは違う、でもいきいきした生き方のお話で、とても刺激的でした。ワーカーズコープ・センター事業団の尾添良師さんのお話を聞く②これからも自分たちにあった、望む生き方を考えていきたいと思います。そして、ここに「大学の不登校」を経験し、今まさに将来のことも不安になっている新しい仲間たちが加わってくれることを心待ちにしています!ぜひ一緒に「こうすべき」だけじゃなく「こうしたい」から始まる生き方を考えましょう! もっと見る
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