徹底的な対話を基本とする労働者協同組合が、市場という昔ながらの共同体の中でシェア型書店を運営するという。初めてその話を伺ったときはとてもワクワクした一方、実はモヤモヤした気持ちもぬぐえなかった。
「対話?」 SNSでも現実でも、目にするのは対立と分断ばかり。
「市場?」 どこもかしこも大型商業施設に押されて寂れていってるじゃないか。
「書店?」 本よりもインターネット上の言説が信じられてしまう今の時代に?
本と同じく紙媒体を中心とし、先行き厳しい新聞業界に身を置く私としては、ついつい悲観してしまう。
いや、しかし、だからこそ、だからこそ、期待したいのだ。
対話を重んじ、共同性を見直し、多角的に知と向き合う場所を。
対等な人間関係に基づく丁寧な議論によって切り開かれていく未来を。
正直、書いていてこそばゆくなるような理想だ。
そしておそらくは多くの人が効率や生産性の名の下に、諦めてしまった生き方なのではないだろうか。
日本において、沖縄ほど「対話」の必要性が叫ばれている土地はないだろう。
その一方で、「対話なんて無意味だ」という空気をこれほど強く感じる土地もない。
そんな沖縄にできるシェア型書店にはどんな人たちが集い、どんな本が並ぶのだろうか。
労働者協同組合の運営メンバーはこの店をどう育てていくのだろうか。
この場所は沖縄にどんな化学変化をもたらしてくれるのだろうか。
大きすぎるかもしれない期待を寄せて、応援していきたい。