キョンって結局なに?
キョンという動物をしっていますか?
近年、千葉県で増殖しているキョンのニュースがたびたび放映されているので、知っている人も多いかもしれません。
キョンは、もともと中国や台湾にいる柴犬くらいの大きさの小さいシカです。
もともと千葉県の観光施設が閉業する際に数十頭を逃がし、たった30年で現在7万頭にまで増えています。驚異的な繁殖力と在来生態系への影響から特定外来生物に指定され、年間5000頭~8000頭ほどが駆除されています。
ほかにも、害虫や疫病の運搬、田畑への被害、不気味な鳴き声への苦情…千葉県民にとって頭を悩ます「厄介者」となってしまっています。
しかし、キョンからしてみれば勝手にもといたところから異国へ連れてこられ、勝手に逃がされ、増えたから駆除される…という人間勝手もいいところです。
また、駆除された個体の9割9分はそのまま廃棄処分となっているのが現状ですので、せめて駆除された個体の肉活用と革活用を、と取り組んでいるところではありますが、キョンからしたら、これもたまったものではないかもしれません。
ただ、キョンを連れてきたのが人間である以上、その責任とけじめをつけなければならないのも人間です。私がキョンの革活用に取り組んでいる理由は、「命を無駄にしない」「もったいない」だけではなく、「キョンの革を資源として活用し、その資金の一部をキョンの生息調査と捕獲駆除の現場に還元してキョン問題の解決を目指す」ためです。
キョンのお肉や皮でビジネスをしたい、という人にキョン活用はおすすめできません。
なぜなら、キョンの小ささではどんなに質が良くてもコストの方が高くついてしまい、一般的な革や肉の10倍ほどの価格をつけなければビジネスにならず、キョンの知名度が低い以上その価格で飛ぶように売れる見通しはほとんどないからです。
それでも活用をしようというのはコスト度外視の環境オタクや自己犠牲バカだけです。(千葉県でキョン活用をしてくださっている皆様には言葉が悪くて申し訳ございません、最大限の賛辞ですのでどうかお気を悪くされないでください…)
そして、それでいいと思います。特定外来生物が単純に価値が高いだけですと、儲けたいからと繁殖をもくろむ人間が出てきてしまいます。
(※ちなみに特定外来生物は捕獲したあと逃がすこと、生きたまま運搬することは犯罪になりますのでくれぐれもご注意ください)
以上のように、キョンについては難しい話が山積しますが、革にするうえでとくに困難な点は下記の3つになります。
①特定外来生物であること
②大きさが小さいこと
③気性が荒いためケンカ傷が多いこと
この3点については長くなりますので、それぞれ別の活動報告でお伝えします。
キョン活用について興味のある方はぜひご覧くださいませ。