こんにちは‼「オーケストラ・プロジェクト2018」の出品作曲家の山内雅弘です。
曲の完成まであと1日‼
本日は、昨日アップした活動報告の続きをお送りいたします。
私はスケッチを多く書くタイプです。作曲家によっては、いきなりスコアを書き始める方もいらっしゃるようですが、私にはそれができません。
どちらが良いということはなく、方法が違うだけのことなのですが、要は私の場合、全体の見通しがつかないとスコアに取り組めないタイプです。
また、ピアノスケッチを書いてから、編曲するようにオーケストレーションをする作曲家も多いのですが、私の場合はスケッチの段階で音色も決まっていることがほとんどなので、オーケストレーションの段階で音色について悩むことはあまりありません。
スコアに向かう時には、ほとんど完成品に近い音のイメージができているのですね。
作曲家にはそれぞれの作曲の仕方、流儀があるわけです。
オーケストラの場合は、スケッチからスコアに向かう際に更に慎重になって中間段階の楽譜まで作ってしまいます。
音やリズムは決まっていませんが、完成スコアと同じくらいの段数を使って書き込んでいます。ここまでの段階はまだ手書きです。
さあ、この段階を経過して、いよいよスコアを作成することに!
今回は今年の3月末くらいにその段階に突入しました。
最初の一音符を入力する時は、マラソンの最初の一歩を踏み出すような気持でドキドキしますし、少し覚悟も必要だったりします。
「この先長くて大変だなぁ」とか「いつか本当にゴールできるんだろうか」といった不安も混ざった複雑な気持にもなります。
そういった気持を乗り越え、動き出してしまえば、あとは音を確定し、細部を詰めていく作業を淡々と続けていくだけです。
細部を詰めるだけと言いましたが、それは音の高さ、リズム、強弱などいろいろな要素を無限に近い可能性から一つ一つ決めていくという気の遠くなるような作業です。
一日に数小節しか進まないこともありますし、時間をかけて埋めた部分を、あとで気が変わって全面的にカットする場合もあります。
大体埋まってくると、今度は仕上げに向かっての細部の修正や推敲が続きますが、今度はノーテーションソフトならではの問題も起きてきます。
私は20年くらい前から、ノーテーションソフトのFinaleを使用しています。
それ以前はもちろん手書きだったわけですが、自分で言うのもなんですが、なかなか綺麗に手書きしていました。
1990年に作曲した「交響詩シルクロード」の自筆楽譜。Bの鉛筆を使って書いています
綺麗に書くと、作曲コンクールの譜面審査で有利ということもありましたし、何よりも自分でも綺麗な方が気持ち良いので、手書きの丁寧さにはこだわっていました
ただ、手書きは大変疲れるので、途中でいやになってしまうこともしばしばでした。
コンピュータを使えるようになってノーテーションソフトも導入できた時は嬉しかったのですが、Finaleによって劇的に作業が効率よくなったかというと、そうでもありません。
手書きの場合は一発できまる強弱記号の位置など、Finaleの場合、記号同士が重なって見づらくなることが多く、それらを自分でいちいち修正しなくてはならないのです。
ご覧の通り、段数がとても多いので音符や記号が重なってしまっています
そんなわけで、完成までのプロセスにはいろいろな苦労があり、しかもオーケストラ・プロジェクトの場合は作曲家の自主公演のため、作曲だけしていれば良いわけではなく、作曲の合間にチラシ作成や招待状の作成、そして今回はこのクラウドファンディングの手続きなど、事務的なこともこなさなくてはなりません。
そして、何より、私を含め他の皆さんも大学で教えるなどの本業があり、そちらもかなり忙しかったりするのでなかなか大変です。
そのように膨大な時間をかけて作曲した作品も、本番ではたった10分から20分程度で終わってしまいます。
なんと効率の悪いことか、とも思いますが、これだけ時間をかけ苦労して作曲したからこそ、完成したときの喜び、音になった時の喜びはひとしおなのですね。
まずは、いよいよ明日、作曲のゴールに到達します‼
このようにしてできあがった作品を、是非ともお聴きにいらして下さい‼
そして、ご支援の方もどうかよろしくお願いいたします‼
完成直前のスコアのあるページ