食事をするときのあいさつ食事を始める前に「いただきます」、食後に「ごちそうさま」というあいさつをすることは、我々、現代の日本人にとっては、ひとつの習慣のようなことと感じられます。しかし、この、食事の前後どちらもあいさつをするという文化は、外国には無く、日本独特の文化なのだそうです。このあいさつが、いつから定着したのかについては諸説あるようですが、その前段階として、江戸時代前期の国学者、本居宣長が詠んだ和歌があります。食前感謝の和歌「たなつもの 百の木草も 天照す 日の大神の 恵えてこそ」(たなつもの もものきぐさも あまてらす ひのおおかみの めぐみえてこそ)食後感謝の和歌「朝宵に もの食うごとに 豊受けの 神の恵みを 思え世の人」(あさよいに ものくうごとに とようけの かみのめぐみを おもえよのひと)この和歌を唱える文化は廃れてしまいましたが、現在でも神道関係には残っているそうです。おそらくは、後から登場した「いただきます」「ごちそうさま」のほうが短く唱えやすいので、一般的にはそちらが残ったのかもしれません。それぞれの言葉の意味の詳しい解説はここではしませんが、簡単に言いますと、どの言葉も、食材やその食事に携わる人々への感謝の念を表す言葉ということになります。我々は、植物や動物のいのちを、食事という形でいただき、自分のいのちをつないでいます。現代は便利な時代となり、とても手軽に簡単に食事をすることができるようになったため、そうしたことが忘れられがちなような気がします。しかし、本来の食事というものは、単なる栄養補給だけではないと思います。動植物のいのちをいただいているということや、食事ができるようになるまでに関係している何人もの人々のはたらきがあって自分が生かされているということに感謝しなければならないのではないでしょうか。私の作る餅は、製造の工程で機械を一切使いません。道具である臼や杵、せいろも、元々はいのちのある木です。なので、この製法だと、食材である米のいのちも我々の体に伝わりやすいかもしれません。自分が作る餅を食された皆さまが、そのようなことを感じ、考えられるきっかけとなることができればと考えています。「いただきます」「ごちそうさま」について、農林水産省の出している資料「いただきますのむこうがわ」というものがありますので、参考まで貼っておきます。今日は、なぜか「いただきます」「ごちそうさま」という言葉が頭から離れなかったので、文章にしてみました。※冒頭の画像は、「農村の暮らし体験」の際の、囲炉裏での調理風景です。






