
記者会見報告書
(記者会見日:令和7年3月27日)
※1時間枠の内容をまとめました)
1. はじめに — 発達障がい支援の現状と課題
一般社団法人アルデバランおよびリアン訪問看護ステーションは、発達障がい支援の現状と今後の展望に関する記者会見を厚生労働省にて開催いたしました。
代表理事の宮本より、「発達障がいに対する社会的理解は進みつつある一方で、早期診断や療育の遅れ、地域格差、成人期の支援不足など、依然として解決すべき課題が多く存在する」との指摘をいたしました。
現在、日本の発達障がい支援には以下のような課題が見受けられます:
- ⚫︎診断・療育の遅れ
発達障がいの診断に至るまでの期間が長く、早期の支援が受けにくい状況です。 - ⚫︎教育現場での専門職の不足
特別支援教育に携わる人材が不足しており、学校での個別対応が困難です。 - ⚫︎成人期の支援不足
児童期には一定の支援がありますが、成人以降は支援が途絶え、社会参加が難しくなる傾向にあります。 - ⚫︎地域間格差
自治体ごとに支援体制にばらつきがあり、住む場所によってサービス内容が大きく異なります。
これらの課題に対応すべく、当ステーションでは医療・福祉・教育の多職種が連携する支援モデルを構築し、地域全体での支援の実現を目指しております。
2. 海外における先進的な支援制度の事例
発達障がい支援においては、欧米諸国の取り組みに学ぶ点が多くあります。
- ⚫︎アメリカ
障がい者教育法(IDEA)に基づく個別教育計画(IEP)やABA療法の普及。 - ⚫︎イギリス
SENCO制度と教育・医療・福祉の連携を促進するEHCP制度。 - ⚫︎フランス
学業補助員(AESH)による学校内での個別支援と専門医療センターの連携。 - ⚫︎イタリア
通常学級にすべての子どもを含めるインクルーシブ教育と、特別支援教師の導入。
これらの制度は、日本の支援制度を強化する上での参考になるものと考えております。
3. リアン訪問看護ステーションの実践
当ステーションでは、日本ではまだ少ない「発達障がいに特化した訪問看護」を展開しております。
主な特徴は以下の通りです:
- ⚫︎発達障がい専門の支援体制
看護師、作業療法士(OT)、理学療法士(PT)、言語聴覚士(ST)などが連携し、個々の - ⚫︎特性に応じた支援を行っております。特に感覚統合療法を取り入れ、日常生活の困難を軽減する支援に力を入れております。
- ⚫︎地域との連携強化
子ども家庭支援センター、学校、福祉施設等と連携し、保護者向けの相談支援や教育プログラムも実施しております。 - ⚫︎就労支援の導入
発達障がいのある方々に向けた軽作業・事務作業等を通じた社会参加支援も行っており、リハビリや心理的フォローを併用しながら段階的な就労支援を進めております。
4. カリフォルニア州の感覚統合支援と絵本の導入
カリフォルニア州では、感覚統合療法が医療保険の適用対象となっており、子どもたちが継続的に支援を受けられる体制が整備されています。
その中で注目されているのが、作業療法士 Dr. Reema Naim 氏によるOTスタジオの取り組みです。彼女のアプローチは、感覚過敏や鈍麻といった特性に応じた個別支援を提供するものであり、日本の支援体制にとっても多くの示唆を与えるものです。
また、Dr. Naim 氏が制作した教育絵本『Sensokids』は、感覚の多様性を子どもたち自身が理解しやすい形で伝えるもので、当法人では現在、日本語版の導入・普及を進めております。
5. 今後の展望と政策的提案
持続可能な発達障がい支援体制の構築に向けて、以下の視点が重要と考えております:
- 支援者の育成と教育の充実
eラーニング教材の整備や支援者研修制度の強化。 - 感覚統合療法の制度化
保険適用やガイドラインの整備を含む政策的支援。 - 就労支援の拡充
企業・自治体と連携したインクルーシブな雇用体制の構築。
6. おわりに
今回の記者会見を通じ、日本における発達障がい支援の課題と未来像について、広く社会に発信することができました。
今後は、教育・医療・福祉・行政が一体となって、すべての発達障がい当事者が自分らしく生きられる社会の実現を目指してまいります。
貴職におかれましても、ぜひこの取り組みにご注目いただき、今後の政策検討の一助としていただけましたら幸いです。

取材お待ちしております。
一般社団法人アルデバラン 代表理事 宮本 芳恵
e-mail:yoshie@albara.or.jp
ホームページ:https://albara.or.jp




