神戸・北野坂のカフェ文化:歴史と今を巡る旅
神戸の北野坂といえば、異人館への入り口として有名ですが、もうひとつの楽しみ方としてカフェがあります。北野坂のカフェは、異国情緒と神戸独自の文化が融合した特別な空間。今回は、このエリアのカフェ文化の歴史と、訪れるべき特徴的な喫茶店を2つご紹介します。
北野坂のカフェ文化の歴史
北野坂のカフェ文化は、明治時代の神戸港開港とともに始まりました。当時、多くの外国人が神戸に移り住み、北野エリアに異人館を建設。その結果、西洋の食文化や喫茶文化がこの地に根付くことになります。
昭和に入ると、神戸は輸入食材の拠点として栄え、コーヒー豆や洋菓子が広く普及しました。この影響を受けて、北野坂にもヨーロッパ風のカフェが次々とオープン。特に高度経済成長期には、個性あふれる喫茶店が多く誕生し、地元の人々や観光客に親しまれるようになりました。
現在では、歴史ある喫茶店と新しいスタイルのカフェが混在し、北野坂ならではのユニークなカフェ文化が形成されています。
にしむら珈琲店は、神戸を代表する老舗の喫茶店です。灘の酒造りに使われる「見や水」を使い、オリジナルのカップ&ソーサーで提供されるコーヒーは、神戸でしか味わえません。北野坂にしむら珈琲店は、1974年(昭和49)に日本初の会員制喫茶店としてオープン。会員には文化人も多く、例えば、俳優の山田五十鈴や杉村春子、美輪明宏、大竹しのぶ、小説家の田辺聖子、さらには神戸出身の映画評論家である淀川長治などが名前を連ねていました。
現在は一般にも開放しているこの店舗は、昭和初期の洋館をリノベーションしているためクラシックな雰囲気に包まれており、まるでタイムスリップしたかのような感覚を味わえますよ。
神戸オリジナルの洋菓子など、スイーツメニューも充実しています。
2024年に新たにオープンした「パンとエスプレッソと異人館」は、歴史とモダンが交錯する新しいカフェです。旧ディスレフセン邸という本物の洋館全体がカフェなので、まさに大正時代で珈琲をいただいているかのような雰囲気を楽しめます。とはいえ、メニューにはとってもかわいいケーキあり、焼きたてのパンと香り高いエスプレッソありで、時代のギャップが楽しめます。特に異人館のテーブルにしつらえられたアフタヌーンティ スタンドは、どこのカフェでも再現できない存在感と美しさがあります。
もともとイギリス人によって設計された西洋風の邸宅ですが、最後のオーナーである門兆鴻氏のインテリアを引き継いでいるため、オリエンタルな雰囲気が残っています。この外観と内装のアンバランスがこの邸宅の魅力を際立たせています。お庭にはテラス席もあり、爽やかな風を感じながらゆったりと過ごせますよ。
北野坂で特別なひとときを
北野坂のカフェ文化は、歴史ある喫茶店と新しいスタイルのカフェが共存する特別な魅力を持っています。クラシックなにしむら珈琲店で昔ながらの喫茶文化を体験するもよし、パンとエスプレッソと異人館でモダンなひとときを楽しむもよし。それぞれのカフェで、異なる神戸の表情を感じてみてくださいね!