【和泉守兼定 写し 刀身制作】10月6日(火)、長野県にある刀匠・河内一平さんの鍛刀場を訪ね、「和泉守兼定 写し」の刀身制作の様子を拝見してまいりました。日本刀は大きく分けて、以下のような工程を経て制作されます。・原材料準備(玉鋼の製造)・鍛錬(たんれん)・造り込み・素延べ・火造り・焼入れ・鍛冶押し(荒研ぎ)・仕上げ研ぎ・銘切り今回は、この中でも「鍛錬」の工程を見学させていただきました。鋼を約1,300℃まで熱し、アク(藁灰)と泥水をかけて表面を保護しながら、鋼を芯まで沸かしていきます。河内さんは、炎の色や火花の具合を見極め、鞴(ふいご)で風を送りながら温度を細かく調整されていました。十分に熱した鋼をハンマーで打ち延ばし、半分に折り返して再び叩く——。最初の一撃はまるで爆発したかのような轟音とともに火花が飛び散り、圧巻の迫力でした。和泉守兼定の地肌は「柾目(まさめ)」。この「柾目」になるよう、折り返す方向を整えながら、約10回の折り返し鍛錬を行います。鋼は叩くたびに層が重なり、2の10乗、すなわち約1,000層もの金属組織が積み重なっていくのだそうです。玉鋼から刀剣が生まれるまでには、想像を超える量の素材と時間が費やされます。1振りの刀(約900g)を作るために、なんと約9kgの玉鋼を使用し、さらに赤松の炭を30俵も使うとのこと。近年は炭の生産者が減り、1俵あたりの価格も高騰しているそうで、刀鍛冶の世界の厳しさを改めて実感しました。今回の訪問を通して、刀剣は多くの工程と、職人の感覚の積み重ねによって生み出されていることを肌で感じました。今後、工程がさらに進みましたら、改めて進捗の様子をご報告させていただきます。引き続き、見守っていただけますと幸いです。







