自己紹介

【宮古島に移住した理由】
初めまして。2022年6月に結婚を機に宮古島へ来ました。県外から宮古島へ嫁いできた人のことを宮古島の人たちは「宮古嫁」と言います。
【経歴】
病院での勤務時は、妊娠期や出産に立ち会えることがとても「神秘的」で「ママと赤ちゃんの2つの命を預かる責任がある」とやり甲斐がある仕事でした。しかし、退院後、2週間検診や1ヶ月検診で再開するママたちが笑顔の時もあれば固い表情の時もあり、疲労感や産後うつのリスクが高いお母さんたちの支援ができないことに心苦しさを感じていました。「出産」は「ゴール」ではなく「育児」のスタートです。
病院にいると退院後のママたちの支援が途切れてしまう、退院後の育児しているママたちの支援に携わったり、育児支援の事業内容を学びたいと福岡県内の市役所で勤務しました。市役所では「新生児赤ちゃん訪問」で2ヶ月〜4ヶ月未満の赤ちゃんを持つママたちの育児相談に乗ったり、乳幼児検診で発達が気になるママたちの支援などを行いました。私が市役所にいた際はちょうど「コロナ禍」の真っ最中で、立ち会い分娩ができなかったり外出できないことで「孤立化」するママたちがとても多かったです。
どこの地域も「核家族化」が急速に進んでいます。産後のホルモンの変化だけでなく周りに不安な時や疲れた時に頼れる支援者がいないと育児不安が強くなります。SNSの時代、コミュニケーションツールが増えることで便利になりました。しかし実際に人と関わることが苦手なママたちも増えてきた印象です。昔は兄弟や親戚が多く、地域全体で子育てする風潮がありました。しかし今はそのつながりが希薄化しています。
産後ママたちの育児の現状
パパたちや男性に知って欲しいのは、授乳が安定するまで24時間、3時間おきの授乳とオムツ交換と多忙なスケジュールが待っています。(完全母乳の赤ちゃんは母乳分泌が安定するまで1〜2時間と授乳間隔が短くなったりします)またママの体は妊娠を維持するためのホルモンから、出産後は育てるための体へ切り替わるために、ホルモン分泌量が急激に変わります。生理前後のホルモン分泌量の増減を5階建てのマンションのに例えると、出産前後はエべレスト級に分泌量の増減があると言われています。この急激なホルモンの変化や慣れない育児、生活リズムの変化で心と身体の不調をきたすリスクがあることをもっと知って欲しいと思います。
宮古嫁となり、沖縄は多子世帯や若年妊婦が多いことなどを初めて知りました。また、私のような「宮古嫁」や「内地嫁(夫の転勤や移住して支援者が身近にいないママ)」がとても多いです。子育て支援センターなどで知り合うママたちは6〜7割は宮古嫁・内地嫁です。ママたちの中にはきっと子育て支援センターでママ友を作ったり、情報交換したりなど「行動的」なママだと思います。しかし、お産や産後の経過が大変だったり、支援者の有無などにより、疲労感で外出するのが苦痛な場合もあります。また性格的に自分から声をかけて友達を作ったり、大人数やグループ苦手なママもいたりします。宮古島出身でも、実母との不仲や高齢出産によって頼れる親も高齢などで支援が得にくい環境のママたちもいます。
そんなママたちも個別的に育児相談ができる場所だったり、同じ月齢の赤ちゃんを持つ「ママ友」を作りたいと思っている交流の場所となる助産院を作りたいと思っています。
産後ケアとは?
産後ケアとは母子保健法に基づき、市町村が実施主体となります。市町村から委託を受け助産師等が中心となり、ママと1歳未満の赤ちゃんに対して、体の回復や心の安定を促進すると共に、ママのセルフケア能力を育み、愛着形成を促します。ママと赤ちゃん、その周りの家族が健やかな育児ができるよう支援する事を目的としています。

宮古島の産後ケア事業の課題
現在、通所型と宿泊型を行っているのは産婦人科クリニックの1箇所のみです。訪問型の(主に自宅へ助産師が訪問して3時間のあいだに、育児相談だったり休息できるようにお手伝いする)産後ケアを行なっているのは2箇所の助産院です。2022年にNPO法人の「もりあね助産院」があり通所型の産後ケアを行なっていたのですが収益化が難しいなどの理由で2024年の3月末に閉業しています。
また自治体によっても産後ケア事業の充実に格差が出てきているのも現状です。医療機関、お店、仕事、子育てに関するあらゆる「選択肢」が沖縄本島や県外に比べて圧倒的に少ないです。
私は2023年に第1子を出産しています。既往や年齢的なリスクもあり、医療資源が限られている宮古島よりは病院の選択肢が多い出身地の福岡で出産しようと思い、里帰り分娩を行いました。出産すると、1ヶ月検診まではその出産した病院で検診を行うことが主流となっています。私も1ヶ月検診を福岡の病院で受診し宮古島へ帰る準備をしていると、あっという間に2ヶ月すぎました。
助産師として知識はあったので育児不安はあまり大きくなかったのですが、お産が緊急帝王切開で出血量も多く3日間輸血をしたこともあって、産後の疲労がとても強かったです。また実母も70代後半と高齢であり「産後は私がいるから大丈夫だよ」「料理や洗濯など家事は任せて」と言ってくれていましたが体がついてこず、結局は私自身で買い物、料理、洗濯、夜間の授乳全て行いました。「手伝うって言ったから帰ってきたのに」と実母に当たりたくなる時もありました。実母が「役に立たなくてごめん」と言っていた時は、体がついてこない高齢の母親にこんなことを言わせてしまった自分自身を責める時もありました。
現在通所化型と宿泊型を行なっている産婦人科クリニックは母子ともに利用できる月齢を2ヶ月まで、2ヶ月〜1歳未満まではママのみなら利用可としています。安全上仕方がないことだと思います。私自身も福岡で、お産を取り扱うクリニックで産後ケア利用のママの支援を行っていました。お産を経験された方はわかると思いますが、お産はママと赤ちゃん共に命に関わる大事な場面。赤ちゃんの呼吸が安定しなかったり、ママの出血が止まらなかったりなど生命に関わるトラブルがたくさん起こる可能性があります。「お産」に関わるということは緊張もするし責任感も大きいです。お産が重なったりすると「産後ケア」を利用しているママより「お産」の方が処置やケアの優先順位が上がります。特に夜間だとスタッフの数が限られています。私も福岡の個人クリニックでお産が重なったりすると「産後ケア」を利用のママたちのケアや十分な支援ができなかったことがたくさんありました。いつも申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
産婦人科クリニックを利用したくても月齢的に利用できないママたちがいます。医療資源や、選択肢が限られているママたちに「離島だから」「僻地だから」仕方がないと大切なかけがえのない育児の時期を「我慢しなきゃ」「自分一人で頑張んなきゃ」と無理してほしくないと思っています。
「休息したい」「自分の時間を持ちたい」「誰かと話したい・相談したい」そのニーズに応えられるような「ママたちにゆっくり関われる助産院を開業したい」と思ったのがきっかけです。
また離島での産後ケア事業が増えない理由に
①家賃の高騰や物価の上昇で収益化が難しい
また産後ケアの申請の割に利用者が少ないのは産後ケア事業施設が少ないだけでなく
③申請はするものの、ママが活用方法がわからない
④親や祖父母世代は親戚や地域全体での子育てを経験しているため「産後ケア」の必要性が認識しずらい
⑤実施主体が市町村であるため、市町村は産前産後サポーターや病院からママやベビーの情報共有はできているが産前産後サポーターと病院間の連携やフィードバッグが不足している
③④に関しては情報誌の掲載やSNSなどの広報活動で「産後ケア」の周知を行なって行きたいと思っています。
⑤に関しては病院、産前産後サポーターの間で、もっと連携を密に取ってママたちが利用したい時にすぐ産後ケアを活用できるよう、協議を行って切れ目ない支援をしていきたいと思っています。

このプロジェクトで実現したいこと
通所型の産後ケア事業のための資金調達
今回募集する170万円は設備投資(家具、家電、べビー用品など)に使用し、余った額はCAMP FIREのの手数料17%とリターン仕入れ費、運用資金、人件費に回します。

開業に向けて、背中を押してくれたのは実母でした。母は自営業である父を一緒に支えた経験があります。「自営業は(経営的にも)良い時もあれば悪い時もある。でも宮古島のために努力しづつければ、きっとみんなに認められたやってよかったと思える日が来るかもしれない。思ってた以上に事業自体を継続できないかもしれないけど経験は残る。だからやってみてもいいじゃない?」と言われ決心できました。夫や義両親も開業に向けて協力して手伝ってくれています。感謝です。
しかし個人事業として全て自分で初期費用の調達や人件費など準備しなければいけないものがたくさんあります。そのためご協力をお願いしたいと思っています。
リターン






プロジェクト立ち上げの背景

【宮古島の光と影】
宮古島といったら県外の方達は「綺麗なエメラルドグリーンの海」「珊瑚が綺麗」「ゆったりしている」など煌びやかなイメージが最初に思いつく方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし島は生活しずらい状況が進んでいます。
①「不動産バブル」で家賃の高騰。ホテルの建設ラッシュなど観光化が急速に進んだため、建設会社やリゾートバイト関係の業者が社員のためにアパートやマンションを賃貸オーナー何部屋も契約しています。その影響などで島の人たちは市営団地を抽選で待つような状況が何年の続いています。現在の土地の価格は13〜20万/坪 建築費用は120〜130万/坪と東京並みに高いです。
②日本全体で食料などの物価高が問題になっていますが、離島で船の運送費などさらに上乗せさせるため生活に大きな影響を及ぼしています。例で言うと、「お値段以上」が売りの宮古島の「ニトリ」も定価の10%高いです。
③宮古島の人口は約5万人に対し、2023年度の観光客数は93万8000人で前年度比から20万増加しています。毎月、海路でのクルーズ船寄港も影響もあります。オーバーツーリズムで恩恵を受けているかと思われるかもしれませんが、民間の企業は賃金は低いままです。
④宮古島は高校まではありますが専門学校や大学へ進学し、そのまま県外で就職したまま島へ戻ってこない「若年層の流出」も問題になっています。
⑤出生数も年々、減少傾向です。また2020年の出生数は517人でしたが2024年の上半期で179人と過去最低です。2年間で100人以上減少し少子化に歯止めが効かない状況です。
宮古島の子育てのいいところ
私が宮古島に来て最初に感じたこと。それは「心が温かい優しい人が多い」ということです。私がスーパーから1歳のこどもを連れて出ると雨が降っていました。車を少し遠いところへ停めていたので走ろうと思っていた時「小さい赤ちゃんいるから抱っこしててあげるから車をこっちまで持ってきていいよ」と知らないおばあが声をかけてくれました。別の日にも子どもを連れながらたくさん買い物をしていると車まで荷物を運んでくれた店員さんがいました。公園で子どもと一緒に遊んでいると保育園児〜高校生までの幅広い年齢の子どもたちが「かわいい」と言って一緒に遊んでくれます。今の福岡は子ども同士でも親が顔見知りや知り合いでなければ子供たちは、話しかけてこようともしません。そんな風景を見て「宮古島は地域の人や親戚など周りの人が一緒に子育てしていたんだ」「その名残がまだ残っているなんて素晴らしい島なんだ」と思うことがたくさんあります。
そんな昔の宮古島のように地域全体で子育てをしてママたちを「孤立化」させない取り組みが大切だと思います。
ママが笑顔だと赤ちゃんも笑顔になるし、ママが不安だと赤ちゃんも不安そうな表情をしたり機嫌が悪かったりします。赤ちゃんはとてもママの表情や感情に敏感です。子どもたちの未来が明るくなるように子育ての支援体制を整えていくことが目標です。
スケジュール
3月1日 助産院開業届提出
3月3日 宮古島市と委託協定の話し合い
3月11日 賃貸契約
3月25日 クラウドファンディング開始
4月初旬 開業スタート
6月中旬 支援者様へのリターン開始

最後に
宮古島はとっても綺麗な海、珊瑚、広い公園、天然の砂場(ビーチ)など子育てにはもってこいの自然や環境がたくさんあります。そして何より心が温かい優しい人が多い。「宮古島で子育てしてよかった」「またこの島に戻って子育てしたい」と思えるママたちが増えることを願っています。
またパパの転勤などで一時的で宮古島に来ているママたちにとっても「とっても辛かった。宮古島での子育て期間が早く終わればいいのにと思っていた」ではなく「この短い期間でも宮古島で子育てできてよかった」と思ってもらえるように頑張って行きたいと思っています。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
最新の活動報告
もっと見る2025年4月、無事に開業することができました。
2025/06/30 11:23LaLuna助産院の河村(下地)春奈です。 2025年4月に無事に開業することができました。皆さんの支援のおかげです。誠にありがとうございます。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。 宮古島市はまだ「産後ケア事業」の認知や周知が低い状況です。市町村をはじめ、病院などの関係機関や助産院同士で周知の拡大に努めている状況です。 「母親なのに子育てできないと思われたくない、恥ずかしい」「人に頼らずに一人で育てることが立派だ」「何か問題がないと産後ケア使えないの?」「私なんかが利用していいのだろうか?」そんな概念を取っ払って欲しくて産後ケア事業を始めました。「産後1年未満なら誰でも使っていい」「育児は人の力を借りて、頼って当たり前」「気分転換やリフレッシュや休息、ただのおしゃべりでも利用してOK」ママの身近な存在の助産院を目指していきたいと思っています。5月から集団産後ケアのワークショップも始めました。ママ友の交流・情報交換の場だけではなく気分転換やリフレッシュ目的で利用してもらえればなと思っています。 また、それぞれのベビベビの月齢に合わせた育児不安や悩みの解消・軽減ができるように講座や研修の参加など自己研鑽に努めていきたいと思っています。今後ともLaLuna助産院をよろしくお願いします。2025年6月30日 河村(下地)春奈 もっと見る







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