こんにちは!甲府STピアノ実行委員会代表のれんです!
いつも甲府STピアノをご愛顧いただきありがとうございます。
いろんなところでぼくのピアノに対する想いは語っている気がしているので、ここでは、どの場所でもまだ語っていないであろうストリートピアノとのエピソード、出会いをひとつ、紹介させてください。
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ぼくは高校1年の秋に、ニュージーランドに2ヶ月間留学に行っていました。留学先で知り合った現地の学校の人たちやホームステイ先でお世話になったホストファミリーの方々と2ヶ月間一緒に過ごし大変仲良くさせていただき、毎日が非常に充実し、これが終わるころには、今の場所を離れる、日本に帰ることが非常に名残惜しくなっていました。
そんな長いようで非常に短かった2ヶ月間の最終日、空港で熱いお別れをし出国審査を通過して制限エリアに入り、あとは本当に日本に帰国するだけというところで、ぼくはストリートピアノによって、今までにないほどに精神を乱されることになります。
制限エリアに入って出発する飛行機を待つ空き時間でエリア内をふらふらしていたところ、突然ふと、どこからともなく、なぜか心を締め付けられるような、虚しく儚く、そんな気持ちをふつふつと込み上げさせるような音色が、耳に入ってきたんです。
それがまさしくストリートピアノに強く心を打たれた、初めての経験でした。
それは今まで聞いたことのない音色、感じたことのない気持ちにさせられる音色で、グッと心に訴えかけてくるような厚み深みのある音。
非常に音の響く場所でピアノから放たれた音色が波紋のように広がり続け、フロアのステンドグラスに当たっては砕ける。脆さ儚さが音に表れていると感じられるほどに音自体に感情移入ができる不思議な感覚。そこに、2ヶ月間あったことが順番に思い出されては音に乗せて流れていく切なさが乗っている、なんとも言えない哀しさを直感的に感じました。
(これが言語化できているのは本当にここ最近で、それまではただただ感情を動かされたという認識でしかなかったですが。)
何より、2ヶ月間慣れてきたとはいえ言語も文化も環境も違う場所でぴりぴりしながら毎日を過ごしてきた、その緊張の糸が、この瞬間にぷっつりと切れたかのような、そんな感覚がしました。
そしてふと気付いた時には涙を流していました。
目から水滴が溢れていた、の方が表現的には適切かもしれません。
その時に演奏されていた曲がなんだったか、演奏していた人がどんな人だったかはあまり覚えていないのですが、そんなことを記憶に留めておくストックが全て埋め尽くされるほどに、ひたすらに心を打たれた、胸いっぱいになる音だった、体験だったということだけが、今でも深く心に刻まれています。
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音楽に感情を揺れ動かされる経験は誰しも起こりうることで、ぼくのような経験は決して特別なことではありません。
音楽に勇気づけられた経験、音楽で励まされた日々、音楽で乗り越えた壁、音楽で涙した思い出...
誰しも音楽を通した様々な経験を、してきたと思います。
しかし、そんな心打たれる経験を、ぼくはストリートピアノでできたからこそ、今こうしてストリートピアノを設置する側となりストリートピアノを通したまちの盛り上げに携われているのだなと思います。
今回のような素敵な思いを、みなさんにしてほしいとまではいかないけれど、少しでもささやかでも心動かされるような出来事が、経験が、思い出が、我々のストリートピアノを通してつくれたらと強く願っています。
これからも、ただ置かれているだけではないストリートピアノを目指して。
サブスクでゆっくり聴く音楽もいいけど、フェスで盛り上がるライブサウンドもいいけど、
突発的に出会った音楽もまた、魅力的なんだよってことを、これからも証明してまいります。
今後も甲府STピアノをよろしくお願いいたします。
ここまでお読みいただきありがとうございました。





