デジタル結アプリNetroで都市と地域をつなぐ、“新しい豊かさ"を育てたい

現在の支援総額

666,505

55%

目標金額は1,200,000円

支援者数

46

募集終了まで残り

終了

このプロジェクトは、2025/06/27に募集を開始し、 46人の支援により 666,505円の資金を集め、 2025/07/27に募集を終了しました

デジタル結アプリNetroで都市と地域をつなぐ、“新しい豊かさ"を育てたい

現在の支援総額

666,505

55%達成

終了

目標金額1,200,000

支援者数46

このプロジェクトは、2025/06/27に募集を開始し、 46人の支援により 666,505円の資金を集め、 2025/07/27に募集を終了しました

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この記事はNetroで農業体験のホストを提供されている椎野滉平さんのインタビューを形式にまとめたものです。ラジオ形式で下記のリンクより聞くこともできます!
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タイトル:「機械メーカーから畑へ」
それまで安定した職を得ていた椎野さんが、あえて農家になって、自然栽培をやることになったのか、インタビュー形式で生き方に触れていきます。

田中: 自然栽培との出会いはいつだったのでしょうか?その前は何をやられていたか教えてください。

椎野: もともとは機械メーカーで営業をしていました。大学卒業後、愛知県周辺の三重県を担当し、名古屋から伊勢、松阪まで一日300キロ運転してお客さんを巡っていました。

自動車工場から小さなお豆腐屋さんまで多業種でしたが、私は食品関係を多く担当していました。大量生産する工場もあれば、一個のお饅頭、一個の豆腐に魂をかけているような職人さんもいて、いろんな作り方があると感じていました。

田中: そこから自然栽培にはどのように?

椎野: 当時付き合っていた妻の影響です。妻は小さな頃から自然栽培のお米を食べて育ち、「こういうお米もあるよ」と教えてくれました。

私は安くてコスパの良いものばかり食べてきましたが、同じ形のお米なのになぜ味わいが違うのか、何かが違うと気づいたんです。自然の力を信じて栽培する方法に強く興味を惹かれました。メーカー勤務だったので、物の作り方や仕組みに興味があり、自分が食べているものがどう作られているのか知りたかったんです。

田中: 実際に自然栽培に関わるようになったきっかけは?

椎野: 愛媛の本社に戻った時、機械メーカーでは安定したキャリアが見込めましたが、「どうやったら健やかに生きることができるか」を深く考えるようになりました。

週末に愛媛県内の畑を巡るようになったんです。農家さんに直接連絡して畑を見せてもらう土日が楽しみで、平日の仕事を頑張る原動力になっていました。

半年ほど続けた頃、佐伯さんという自然栽培農家を知りました。連絡すると「いいよ、おいで」と快く迎えてくださり、土日に一緒に作業するようになりました。

そこで「自然体という組織がスタートするから仲間を探している」と聞き、「ぜひ一緒にやりたい」とお答しました。それが機械メーカーから自然栽培への転機となり、今年で5年目になります。

田中: 佐伯さんから何を学ばれましたか?

椎野: 佐伯さんは観察眼がすごく、私を見て「椎野はこういう作物が向いてそうだよ」とおっしゃってくださいました。

作物を育てた経験もなく、土日のスポット作業だけだった私に、「栽培技術も大事だけど、それ以前に観察が重要。畑そのものの観察、作物の観察、命の観察」と教えてくれました。

「自然界がお前を育ててくれるから、もちろん俺も教えるけど、きっと大丈夫だよ」と後押ししてくれて、とても安心できました。

田中: メーカー時代と自然栽培、ものづくりに対する感覚の違いはありますか?

椎野: メーカーでも、一個のネジを組み立てて機械ができた時、「生きているなあ」という感覚がありました。思い入れのある機械は回転数が良く、大事にされている機械は誇らしげで、雑に扱われている機械は物悲しげに見えました。

作物の場合は実際に土に根を張って現在進行形で生きている。人が想像している以上にセンシティブな命だと感じます。

種をまく時に「頑張ってね」と声をかけ、芽が出てきたら撫でます。そうすると自分も嬉しいし、作物も喜んでくれているような気がします。

田中: 椎野さんにとって自然や作物はどういう存在ですか?

椎野: 最初は「育てる」と思っていましたが、今は「育つお手伝いをしている」と感じています。

佐伯さんの教えで印象的だったのは、「この畑にこれを植えたいから植えるのではなく、この畑なら何が育てやすいかを考える。作物に寄り添う考え方が大事」ということでした。

目で見て「この子は水が欲しいのか、日当たりが強すぎるのか」を判断し、手で触って乾き具合や土の様子、香りも感じることができます。五感で会話ができるのはとても面白く、いつも対話があるような感じです。

田中: 自然の厳しさや困難はいかがですか?

椎野: 自然は偉大で優しさもあれば厳しさもあります。指先から足先まで凍るような日もあれば、40℃近い炎天下の日もあります。

夏は早朝から作業し、8時半頃までなら涼しく作業できます。暑い時間は車で田んぼを回る水管理に切り替えます。田んぼの水が火傷するほど熱くなるので、水を入れ替えてお米を冷やしてあげることもあります。

冬は防寒して暖かい時間に短期集中で作業します。玉ねぎの収穫時期は梅雨前に終わらせないと雨で傷んでしまいます。

佐伯さんから「この作物の命を守れるのは現場にいる畑に立つお前だけだ」と言われています。見守って育ってくれた命たちを美味しい形でお客さんに届けたいと思うと、力が湧いてきて、作物からもエールをもらっているような気がします。

田中: 今後、自然栽培とどう関わっていきたいですか?

椎野: 人に伝えることが好きで、特に畑に子どもたちが来た時は良い経験をさせてもらっています。

収穫体験や植え付け体験で地域の子どもたちやママさんコミュニティが来ると、子どもたちの目がキラキラして「なんでこんな形してるの?」「根っこって短いのにこんなに広がってるね」と不思議そうに見ています。

自然の仕組みに触れる子どもたちや大人たちを見て、良い経験をしてもらっているなと思います。そういう場づくりや機会を自然栽培を通して作っていきたいです。

田中: 次世代への想いはいかがですか?

椎野: 自然の力だけで育つのを目の当たりにして、偉大な自然の一部である自分の命にも自然の力が宿っていると感じ、生きる力が湧いてきます。

私たちは耕作放棄地の再生にも取り組んでいます。再生1年目の土と、佐伯さんが何十年育ててきた素晴らしい土、両方を経験しました。草の生え方、種類、勢いが全然違い、ステージが変わってきます。

良い土を後世に残していくのは尊いことです。これからの方たちにも体験してほしいし、良いコンディションの土がいっぱい増えてほしい。そういう体験を後世の人にしてもらいたいと思っています。

田中: 自然栽培に興味のある方へのメッセージをお願いします。

椎野: 今、自然栽培に興味のある方は全国に広まっていて、自然体の農学校もできています。

自然栽培も農業もやったことがない方は、自然体の農学校もありますし、私のように機械メーカーから自然栽培の畑に転身して、今も活動できています。

やったことがないから難しいという考えもあるでしょうが、踏み出してみて、そういう団体に関わっていただければ、自分に合った生き方ややり方が見つけられると思います。

田中: 椎野さん、本日はありがとうございました。

椎野: ありがとうございます。


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