
『スマホやめなさい!』は逆効果。子どもの学習意欲に火をつける「やりたい!」の見つけ方
「うちの子、スマホ依存かも」 「注意しても、動画やゲームがやめられない」
夜遅くまでスマホを手放さない我が子を見て、そう嘆く親御さんの声は後を絶ちません。しかし、その原因は本当にスマホの「中毒性」にあるのでしょうか?
もし、お子さんがスマホに没頭する本当の理由が、もっと別のところにあるとしたら?
今回は、多くの方が抱えるこの悩みの本質を解き明かし、子どもが自らスマホを手放し、学習意G欲に火をつけるための、新しい関わり方についてお話しします。
スマホ依存の正体は「現実がつまらない病」だった?
まず、大前提として、私たち大人もスマホを長時間使っています。私自身、自分のスクリーンタイムを見たら平均8時間半でした。問題は「スマホを使うこと」自体ではありません。
ではなぜ、子どもは勉強そっちのけでスマホに没頭してしまうのか。 私は、その根本的な原因は「現実世界が、スマホの世界よりも相対的につまらないから」だと考えています。
具体的には、3つのケースが考えられます。
【楽しみの優位性】
単純に、勉強よりもYouTubeやゲームの方が「楽しい」と感じている状態。【現実からの逃避】
現実世界で何をすればいいか分からず、成長も感じられず、希望も見えない。
そんな時、人は手軽で刺激的な面白さがあるスマホの世界に逃げ込みます。【頑張った後の反動】
「やりたくないけど、やらなきゃ」と自分に鞭を打って勉強した日ほど、そ
のストレスを解消するために、反動で長時間スマホを見てしまう。
これらに共通するのは、「スマホが魅力的すぎる」というより、
「現実世界の魅力や充実感が、相対的に低下している」という事実です。
子どもを縛る“呪いの言葉”、「やらなきゃ」を手放そう
特に、子どもの意欲を削ぎ、現実をつまらなくさせている最大の要因が、
「〜しなければならない」という義務感の“呪い”です。
「宿題をやらなきゃ」 「良い成績をとらなきゃ」 「言われたことをやらなきゃ」
この義務感に縛られて行動しているとき、私たちの心は大きなストレスを感じます。そのストレスから解放されたい一心で、手軽な快楽であるスマホに手を伸ばす。これが、多くの子どもたちが陥っている悪循環なのです。
「やりたい!」を引き出すための“環境デザイン”術
この悪循環を断ち切る鍵は、ただ一つ。 「やらなきゃ」を、いかにして「やりたい!」に転換するか、です。
そのために親ができるのは、直接「やりなさい」と命令することではありません。子どもが「やりたい!」と自然に思えるような“環境”をデザインしてあげることです。
① 空間をデザインする
私は、自分の仕事部屋に大好きなフィギュアを100体以上置き、常に整理整頓された居心地の良い空間にしています。なぜなら、「この空間にいたい」と思えることが、「ここで仕事がしたい」という意欲に直結するからです。 お子さんの勉強部屋を、ただの「勉強する場所」から、「いたくなる好きな場所」に変える工夫はできないでしょうか。
② 道具をデザインする
私は最近、GoogleのAI「Gemini」を使い始めたことで、苦手だった文章作成が驚くほど楽しくなりました。新しい便利なツールが、行動のハードルを劇的に下げてくれたのです。 お子さんが使っている文房具は、本当に使いやすいものでしょうか?勉強が楽しくなるような、かっこいいノートや面白いアプリを取り入れてみるのも一つの手です。
③ 目標をデザインする
「次のテストで100点を取る」というような大きな目標だけでは、道のりが遠すぎて心が折れてしまいます。大切なのは、「昨日より1ページ多く問題集が進んだ」「英単語を5個新しく覚えた」といった、日々の小さな成長を実感できる目標設定です。 この小さな成功体験の積み重ねが、「やればできる!」という自己有能感、すなわち「やりたい!」という気持ちを育てます。
最後に
子どもからスマホを取り上げ、躍起になって勉強をさせようとするのは、根本的な解決にはなりません。それは、子どもの「現実がつまらない」という心の叫びに、蓋をしてしまう行為だからです。
親の役割は、子どもの行動を監視する「管理者」ではありません。 子どもの現実世界を、ワクワクするような魅力的なものに変えていく「最高のゲームデザイナー」です。
「どうすれば、この勉強というゲームが楽しくなるだろう?」 そう視点を変えたとき、あなたの「〇〇しなさい!」という言葉は、きっと魔法のように消えていくはずです。
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