「防災BOOK」をお待ちいただいている皆さまへ
避難所運営訓練はいらない ―
私はそう思っています。
このたびは、私のクラウドファンディングを応援してくださり、
本当にありがとうございます。
ご支援いただいた 「防災BOOK」 は、ただいま編集作業を進めています。
お届けは 10月31日まで を予定していますので、もう少しだけお待ちください。
今回のクラウドファンディングでは、一般のご家庭だけでなく、
行政の関係者の方々からも「自分の学びのために購入しました」という声を
いただきました。
防災の取り組みについて
「今のやり方で本当に良いのか?」
「ありきたりな防災本やイベントだけで十分なのか?」と
疑問をもっている方もおられます。
今日は、
「避難訓練」について
私が抱いている違和感をお話ししたいと思います。
私は「避難所運営訓練」に意味を感じていません
またやっている・・・と思うだけです。
避難所運営訓練や炊き出し訓練について
もう役割を終えているのではないかと思っています。
もちろん、大災害の時に避難所は必要です。
そして行政だけでは運営できないから、
市民の協力が必要なことも理解しています。
でも、現実を見てください。
避難所に入れるのは人口の 2〜3割、多くても3割程度
ほとんどが入れないことが前提です。
国も行政も「自宅が安全なら在宅避難をしてください」と、
すでに明確に呼びかけている・・・
にもかかわらず、いまの訓練の中心は、
いまだに「避難所をどう回すか」「炊き出しをどうするか」 のままです。
現場で何度も聞く “ちょっと怖い誤解”
私は防災講演会などで、
「毎年避難所運営訓練に出て体育館の備蓄も知っているから、
だからうちは自宅の備蓄はいらないでしょ?」
「自治会役員が災害時に豚汁を作ってくれるはず。
だから住民はそれを食べられるから安心なのです。」「毎回訓練に参加しているし、町内会の役員もしているから、
いざという時は避難所に優先的に入れてもらえるよね?」
と質問などいただきます。
……どう思われますか?
大きな誤解ですよね。
訓練を重ねた結果、かえって「自分の家では備えなくても、
誰かがなんとかしてくれる」という安心感が広がってしまっているのです。
そしてこの誤解は、一部の方でしょうが、
災害時に命を危険にさらす原因になります。
「想定と現実のズレ」が、最も危ないのです。
ぜひみなさんお考えいただきたい。
避難所運営訓練が「見せるための防災」になってないか?
いまの避難所運営訓練や炊き出し訓練は、
行政や政治家たちの“見せ場づくり”“やっている感”を出すための場に
なってしまっている部分が大きいと私は感じています。
写真に残るイベントや、
活動報告の数字、年度末の実績づくりには便利かもしれません。
でも――
それで本当に市民を守れるのでしょうか?
大災害のとき、最初の数日は物資が届きません。
行政もすぐには動けません。
命を守れるのは、結局 「家庭の力」と「現実的な備え」 です。
きれいな写真や報告書に載る活動実績では、
いざという時に人の命は救えません。
「やっている感」のある防災イベントを重ねても、
実際の暮らしを守れる力は育たないのです。
国の方針はもう変わっています
2021年(令和3年)、災害救助法は改正されました。
これまでのように「行政がすべてを支援する」のではなく、
「行政だけでは限界がある。住民が主体的に備え、動くことが必要だ」という考え方が、
はっきり示されるようになっています。
それでも現場の訓練は、ほとんど変わっていません。
せいぜい在宅避難の備蓄展示や講座が加わった程度で、
根本的な方向転換にはなっていないのが現状です。
これは本当に残念ですし、危うさを感じます。
このままでは「見せる防災」に時間とお金を使い続けるだけに
なりかねません。
今、変えるべきだと思っています。
「避難所運営訓練」はもう自己満足と実績づくりの域にとどまっています。
これからは、家庭が主役の防災へと大きく舵を切るべきだと考えています。
「防災BOOK」がお手元に届くまでの間、
時々こうして活動報告を発信していきます。
ぜひお読みいただき、次の時代の防災について一緒に
考えていただけたら嬉しいです。
最後までお読みくださりありがとうございました。
防災アドバイザー岡部梨恵子




