種子島の名産・安納芋。ねっとりとした甘さとスイーツのような食感で、世界中のファンを魅了してきました。しかし近年(特に2024年)、種子島の畑に危機が訪れました。
●基腐病(もとぐされびょう)
土の中に潜む菌が根を蝕み、芋を腐らせてしまう病気。決定的な治療法はなく、唯一の方法は“畑を休ませる”こと。つまり、来季の作付けを止め、菌を飢えさせるしかありません。

●異常気象による高温障害
安納芋の甘さは、掘ったあとにでんぷんが糖へ変わることで生まれます。そのためには「夜の気温が15℃を下回る日が3日以上」必要ですが、2024年は11月になっても夜が暑いまま。芋が甘くならず、本来の味にたどり着けませんでした。
畑は病に侵され、気候も味方してくれない。出荷できる芋はほとんどなく、生産者・花木さんは“作付けを減らす”という苦渋の決断を下しました。
それでも、花木さんは畑に立ち続けました。
「このまま終わらせたくない」――その強い想いを聞いたのが私、水本です。鹿児島で8年間プレーし、引退後は農業に携わってきました。
土地への恩を感じていた私は、花木さんの畑の現状を聞いて「何かできることはないか」と仲間を集め、再生への挑戦を決意しました。
この想いから生まれたのが、新しい挑戦の名――
「芋宙(いもちゅう)」
“地に根ざし、空へ挑む”という意味を込めています。安納芋を通じて、島の人・自然・食卓をもう一度つなげたい。それが「芋宙プロジェクト」のはじまりです。





