『金曜日の朝、どうかシッポを振らないでくれ ～保健所の現場から』

私は、金曜日の朝が辛いです。
数日間なれど、飼い主からの連絡を待ちながら、飼い主の代わりに世話をしています。
飼い主を捜したり、餌を与え、便の後片付けをし、
日光浴をさせ、頭をなでてやり、
限られた時間で出来るだけの情を注いでいます。
情を注げば可愛く思えてきます。
金曜日は殺処分（一部譲渡）するために大分へ犬を運びます。
情をかけた子（犬）を送り出すときの、我々職員の心境を考えてみて下さい。金曜日の朝、私の心は、こうです。
　シッポを振りながら私を見ないでくれ！
「餌の時間かな？」 、と疑いのない目で見ないでくれ！
遊ぼうってすり寄らないでくれ！
子（犬）は、殺処分したくない。
憎しみで牙をむいて吠えてくれ。……その方が、私の心は痛まずにすむから。
今から殺処分されるのに……親しそうな目で見ないでくれ！
最後の最後まで人間を信じている……「俺たちは、お前達を殺処分するんだぞ！」
……シッポを振らないでくれ。私達職員は、胸が締め付けられます。
その時が金曜日です。
「憎しみで吠えられた方が気分が楽になる」
この心境、分かりますか？
保健所に殺処分をゆだねる前に、愛犬との楽しかった時期を思い出して下さい。
愛犬は、最後の最後まであなたを信じているはずです。
愛犬が粗相したとしても、多くの場合、飼い主がしつけを怠ったケースが多く、責任を愛犬になすりつけないで下さい。
犬についての正しい勉強を怠った自分（飼い主）を見つめ直して下さい。

手記の作者で大分県の殺処分を減らすため尽力されている
獣医師　　渡邊徹さまより温かいメッセージをいただきました。

笠井さん、臼田さんへ
私の手記をきっかけに知り合い、
その誠実で真摯な姿勢、そして動物たちへの深い愛情に
何度も胸を打たれました。
山口の「わんにゃんランド」を創設された平山ガンマンさんの揺るぎない志をしっかりと受け継ぎ、
東京を拠点に地元の団体を支えながら日々懸命に活動されている御二人の姿は、私にとって尊敬そのものです。
平山さんが残した温かな想いとその足跡を、今もなお繋ぎ、守り続けていることの重みと責任を感じます。
それは決して容易いことではないはずですが、御二人の熱意と献身は多くの命にとってかけがえのない光となっていると信じています。
どうか、その大切な想いを胸に、ご自身のペースを大切にしながら歩みを続けてください。
遠く大分からですが、変わらぬ敬意と応援の気持ちを込めて、
心よりエールを送ります。
渡辺

3/８ガンマンさんのお墓参りへ
いらしてくださいました

渡邊さま、臼田、笠井の３人で
インスタライブをあげました

笠井より
ガンマンさんが亡くなった際、冒頭の手記を書かれた渡邊獣医師より連絡をいただきました。
ガンマンさんが渡邊獣医師の手記を取り上げた事で生前のガンマンさんとメッセージでのやり取りがあったそうです。
15年ほど前よりガンマンさん、臼田さんと共に「犬猫の殺処分を廃止」を求める署名を集めていた私でしたので、この手記を読んだ時に胸が締め付けられる思いでした。
現場の方たちも辛い思いをしていらっしゃることへ初めて思いを馳せたものでした。
渡邊獣医師より連絡をいただき、今年3月８日にガンマンさんのお墓詣りにご一緒させていただきました。その時、インスタライブで渡辺獣医師ご本人が手記を読んでくださいました。
私たちは殺処分に心を傷め、集めた署名約12万人分を他団体と一緒に環境省へ提案書と一緒に持参しました。そして野犬が多く、捕獲されると1週間の内に声がかからないと殺処分器のあるセンターへ移動されてしまうという山口県に「わんにゃんランド」を作りました。でも今のわんにゃんランドの存続は難しくなってしまいました。環境の良い新シェルターを作り移転できれば、
今保護している子たちだけでなく、これからも「命のバトン」を繋げることができるのです。どうか皆さまの力をお貸しください