
最近、歯科の先生と「口腔機能低下症(オーラルフレイル)」の話をする機会がありました。
多くのトレーニング器具は、口唇閉鎖力・舌圧・表情筋など“鍛える”方向が中心です。
一方で、私が作った鼻呼吸リップピースは、発声・呼吸の現場感覚から 「まず力を抜いて、通り道の条件を取り戻す」 ことを優先して設計しています。
鍛えるための器具というより、短時間で“入口”を体感しやすくする練習用ツールです。
とくに夜(睡眠中)は、口呼吸や無呼吸が起こる方にとって「意識して整える」が難しい時間帯です。日中に練習で良い感覚が出ても、夜に戻ってしまう——この壁を、長年見てきました
(家族の経験も含みます)。
私のレッスンでは、60分ほどで顎まわり・表情・呼吸の通りが変わり、目が開くようにスッと覚醒する方が少なくありません。ただ、これを毎回“言葉の指示だけ”で再現し続けるのは、指導者側にも受け手側にも負担が大きい。
そこで「下顎をゆるめる」「舌位を整える」「吐きすぎない(微呼気)」といった条件を、短時間でも体感しやすい形にしたのがリップピースです。以前はコットンロール等で代用していましたが、安定性や誤嚥の心配も考え、形状として整理しました。
もちろん、就寝時など長時間・長期間の使用には注意が必要です。
現在の案内にも「痛み・違和感が出たら中止」「顎に症状がある方は歯科受診」などを書いていますが、さらにわかりやすく、「就寝時の連続使用は、まずは2週間程度を目安に(違和感・痛みが出た場合は中止)」といった“目安”も明記する方向で整えています。
また別のケースとして、肺気腫などで呼吸が苦しい方が、短時間の試用のあと「そのまま付けて帰ります」とおっしゃったことがありました。息苦しさの強い方は、酸素チューブを装着すると外出のハードルが上がることもありますが、練習用ツールであるリップピースは“身につけたまま動ける”と感じる方がいるようです。
(※もちろん個人差が大きく、病状や医療の指示が最優先です。見た目が気になる場合はマスクと併用するなど、無理のない形で。)
もう一つ、よく相談を受けるのが「5歳前後の口呼吸」です。小児歯科で「口呼吸を直してから治療を進めましょう」と言われたり、お受験前で鼻のかみ方・口の開き方が気になる、といったケースもあります。けれど幼い子ほど「口を閉じて」と言われるだけでは続きません。
そこで私が提案しているのは、“口を開けたままでも鼻呼吸ができる条件”を先に体で覚えることです。リップピースは、口を無理に閉じさせるのではなく、顎や口まわりの力みを減らしながら、鼻呼吸に入りやすい姿勢・舌位の入口を作る練習用ツールとして設計しています。
発達途上の子どもにとって、呼吸や口の使い方が整うことは、集中や睡眠などの土台にもつながる可能性があります(もちろん個人差があります)。
※子どもの使用は短時間・保護者の見守りのもとで。痛みや違和感があれば中止し、鼻づまり等で治療中の場合は医療者の指示を優先してください。
このプロジェクトは、何かを無理に鍛える道具ではありません。
呼吸と声の通り道が整うと、からだ全体の力みがほどけ、眠り・話す・飲み込むなどの土台が静かに変わることがあります。
(失語症のある方や介護現場の誤嚥、しゃっくり、流涎などの困りごとについても、今後「現場で何が起きているか」を丁寧に言語化していく予定です。)
※本品は医療機器ではなく、セルフケアの練習用ツールです。症状のある方は医療者に相談し、無理のない範囲でご利用ください。個人差があります。



