
二十歳のアーティスト・佐藤凛心さんの作品に強い可能性を感じた高橋工房代表の高橋は、その作品を伝統木版画の技法で形にするプロジェクトに着手しました。彫師・摺師には若手職人を起用し、伝統技術の継承と職人育成も視野に入れています。江戸木版画の魅力を、若い世代の心に響く独創的なイラストレーションと融合させ、伝統技法を凝らした唯一無二の作品制作を目指すプロジェクトとなっています。
①佐藤凛心さんのプロフィール

山形県出身、20歳(2005年生まれ)。視神経低形成による弱視(左目手動弁、右目視力0.07)、眼振あり。理学療法士を目指して筑波大学附属視覚特別支援学校専攻科理学療法科に在学中。幼少期より独学で絵を描き、「目が見えにくくても、絵を描く人間がいることを知ってほしい」との強い思いを持つ。健常者・障害者問わず多くの人に作品を届け、視覚障害への理解促進や「誰でも何でもできる」というメッセージを発信している。作品は目を中心に感情や発想を即興的に広げるスタイルで、色彩豊かで力強い表現が特徴。ペンを使った一発描き、インクの飛ばしや垂らし、ぼかし技法などを用いる。
2021年「Art to You!障がい者芸術世界展」入選2024年「Bunkyo Brut〜つながりのひろがり展〜」出展

Bunkyo Brut〜つながりのひろがり展〜会場
●Bunkyo Brut既存の美術潮流に影響されない表現を「アール・ブリュット」と呼びます。文京区内の主に障害者就労支援施設などで創作された、まだ無名だけれど個性あふれる作品を集め、「Bunkyo Brut(ブンキョウ・ブリュット)」と名付けて鑑賞の機会を提供するプロジェクトです。2022年から2024年には、文京区社会福祉協議会「B チャレ(提案公募型協働事業)」の助成による提案型事業「街じゅうボーダーレスアートミュージアム構想」を展開し、文京シビックセンターで「Bunkyo Brut展」を開催しました。3年目に開催した「Bunkyo Brut〜つながりのひろがり展」では、区内に所在する筑波大学附属視覚特別支援学校や文京盲学校にも出展協力いただき、多くの来場者に楽しんでいただきました。
②阿部さん(彫師)のプロフィール

神奈川県鎌倉市出身。幼少期から神奈川県の伝統的工芸品 鎌倉彫に親しみがあり、ものづくり系の専門学校で木工・陶芸・ガラス・金属など様々な素材を学び、木を彫ることに最も興味を持ちました。そこで就職活動中に、荒川区の職人育成制度を利用している親方の弟子募集にて応募し、採用されました。荒川区日暮里の親方のもとで6年間修行し、現在は独立して江戸木版画の彫師として活動を行なっております。
③早田さん(摺師)のプロフィール

長崎県出身。美術大学で彫刻を学び、漆を使ったアート作品の制作にも取り組んでいました。卒業後は建造物の修復に関わる仕事に従事していましたが、東京で出会った浮世絵版画の歴史に魅了され、木版画の世界に足を踏み入れました。現在は江戸木版画の摺師として、日々制作活動を行っています。
所属団体・資格など:東京伝統木版画工芸協同組合 組合員浮世絵木版画彫摺技術保存協会 組合員経済産業大臣指定伝統的工芸品 江戸木版画 伝統工芸士(摺り部門)


本プロジェクトは、安政年間創業の江戸木版画「高橋工房」と、弱視という視覚障害を持ちながらも独創的なアートを生み出す20歳のアーティスト「佐藤凛心さん」との記念すべきコラボレーション企画です。
コラボレーションの経緯と目的:
高橋工房は「路地裏にある工房の目印になるショーウインドー」として開設した「道のギャラリー」で、通りすがりの街の人々にさまざまなジャンルのアートを楽しんでいただけるよう、工房の所蔵作品と月替わりでBunkyo Brutセレクト の作品展示を始めて4年が経ちます。
佐藤凛心さんの作品を知ったのは、2024年にギャラリーシビックで開催した「Bunkyo Brut〜つながりのひろがり展」の出展作品としてご紹介いただいたことがきっかけでした。
高橋工房代表の高橋は、佐藤凛心さんの作品に大きな可能性を感じ、伝統木版画の技法で彼の絵を版画化することを着手しました。これは、単に絵を複製するだけでなく、浮世絵復刻で培われた高度な彫り・摺りの技術を現代アートに応用し、新たな表現を追求する挑戦でもあります。佐藤凛心さん自身も、自身の絵が版画になることに驚きと喜びを感じ、この機会を通じて「障がいの有無にかかわらず誰もが何でもできる」というメッセージを伝えたいと願っています。
制作プロセスと技術の融合:
佐藤凛心さんの作品は、下描きなしの一発描き、黒一色の描写から始まった豊かな色彩表現、そして線からはみ出すことをあえて活かすなどの独自のアプローチが特徴です。この自由な表現を木版画で再現するため、高橋工房では若手の彫師や摺師を起用し、伝統技術と現代の感性を融合させています。今回の作品には、江戸木版画技法である「空摺り(からずり)」が施されています。
【江戸木版画技法】浮世絵版画は単なる平面的なものではなく、様々な工夫と技巧が凝らされているので、単に正面から眺めるだけでなく、斜から見たり(空摺り効果が見える)、手にとって表面の凹凸に注目したり、場合によっては浮世絵版画の顔料は裏まで浸透しているので裏から見たりして職人の技巧の妙を味わうことも浮世絵版画の醍醐味の一つである。
作品展示と社会的発信:
制作された木版画作品は、2025年10月9日(木)から10月12日(日)まで、文京区にある「Sun Gallery and Space(サンギャラリーアンドスペース)」で開催されることが決定しています。
Sun Gallery and Space(サンギャラリーアンドスペース)所在地:〒113-0033 東京都文京区本郷5-1-11 1Fアクセス:東京メトロ丸の内線・都営大江戸線 本郷三丁目駅から徒歩約4分
個展では、版画作品の他に、約20点の原画やイラストレーション、さらには版木や道具などの展示を通じて、木版画制作過程の一端もご覧いただけます。この展示は、佐藤凛心さんの作品と高橋工房の技術が織りなす「美」を鑑賞する場であると共に、アートが持つ社会的な力を発信する重要な機会となります。このプロジェクトは、伝統文化の継承、若手職人の育成、そして障害者アーティストの可能性を広げるという多角的な目標を掲げています。皆様のご支援が、この貴重な取り組みを成功させ、未来へ繋ぐ大きな力となります。


江戸木版画の職人は高齢化が進み、技術の継承が危ぶまれています。その中で、現代アートとの融合を通じ、若い世代や世界の人々に関心を持ってもらうべくこのプロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトは、単なるアート作品の制作を超え、二つの大切な夢の実現を目指しています。


一つは、視覚障害を持つアーティスト佐藤凛心さんの才能を世界に発信し、アートを通じて障害への理解を深め、誰もが能力を発揮できる社会の可能性を広げることです。佐藤凛心さんの絵は、彼の視覚に関する悩みから生まれた「目」のモチーフを中心に、直感と感情がダイレクトに表現された独創性溢れるの作品です。この作品を伝統木版画という形で世に送り出すことで、アートの多様性と、障害の有無にかかわらず誰もが創造性を発揮できる可能性を提示したいと強く願っています。
彫り作業の様子
摺り作業の様子
もう一つは、100年以上の歴史を持つ江戸木版画の伝統技術を未来へ繋ぎ、若き職人たちを育成することです。職人の高齢化が進む中、この貴重な手仕事の技術を次世代に残すことは、日本の文化遺産を守る上で喫緊の課題です。若手の彫師や摺師を積極的に起用し、独創的な現代アートとの融合を通じて、彼ら彼女らが高度な技術と知恵を習得し、新たな価値を創造できるよう支援します。
このコラボレーションは、伝統と革新、世代と世代、そして障害の有無を超えた「つながり」を象徴しています。私たちは、このプロジェクトを通じて、日本の伝統工芸が現代に息づき、社会に新たなメッセージを届けるモデルケースとなることを目指します。

①高橋工房六代⽬代表 ⾼橋由貴⼦ の紹介

伝統ある東京ブランドを世界に発信する「江⼾東京きらりプロジェクト」(東京都産業労働局主催)選出。 ⽇本各地での活動に留まらず、⼤英博物館をはじめ、世界の美術館などで展⽰・講演会・実演の実績多数。
浮世絵版画は、絵師・彫師・摺師という職人によって作成されるが、企画プロデュースを行う版元がいないと浮世絵版画は世に出ることはありません。高橋工房は元々摺師の家系ではあるが、先々代より版元も兼ねるようになりました。浮世絵版画は旬な題材を絵にすることを旨としており、最近では"隈研吾氏をはじめとするアーティストやデザイナーとのコラボチャレンジで新しい作品制作に取り組んできました。
また高橋工房が所在する文京区水道では、印刷博物館や数々のギャラリーが点在し、文京区のアートシーンを牽引するエリアとなっており、その中でも高橋工房は海外のキュレターや美術コレクターから常に熱い注目が集まる工房となっています。
2020年には工房裏手の通りに、窓先から作品を鑑賞できる「道のギャラリー」を開設。浮世絵をはじめとする高橋工房所有の美術品のほか、Bunkyo Brut*セレクト の作品群の展示を開設当時から継続しています。
②高橋工房の歩み

江⼾⽊版画・高橋工房: 安政年間(1855~1860年)創業し、現在まで江戸木版画の伝統技術を守り続け⽊版画摺師として、また版元として代々その技術を継承し、現在に⾄る。 2009(平成21)年より、六代⽬・⾼橋由貴⼦が代表取締役就任。
高橋工房の中核は浮世絵復刻にあり、これを通じて版画の高度な技術と知恵を次世代に継承しています。シルクスクリーン導入や現代アートとのコラボレーションも行い、時代の変化に適応してきました。
現在は浮世絵復刻だけでなく、デザイナーや現代アーティストとのコラボレーションにも取り組んでいます。高橋工房は若手職人や女性彫師の育成にも力を注いでおり、江戸木版画など高度な技術を次世代に残すことを大きなテーマとしています。また、知的障害者を含む多様な人材の雇用・活躍の場も作り、社会的包摂を意識した運営を行っています。また東京伝統木版画工芸協同組合の理事長としても、伝統技術の継承と若手職人の育成に尽力し、業界全体の発展に貢献しています。

本プロジェクトは、江戸木版画の伝統技術と現代アーティストの感性を融合させ、新たな価値を創造するために着実に進行しています。現在、主に以下の点に取り組んでいます。
1、個展開催に向けた準備
Sun Gallery and Space
〇会場の確定
佐藤凛心さんの初めての個展は、2025年10月9日(木)から10月12日(日)まで、文京区にある「Sun Gallery and Space(サンギャラリーアンドスペース)」で開催されることが決定しています。
〇展示内容の具体化
個展では、高橋工房とのコラボレーションによる木版画作品を中心に、佐藤凛心さんの原画やイラストレーション約20点も展示されます。また、木版画の制作過程を来場者に理解していただくため、版木や道具類の一部も展示される予定です。
〇会場運営の検討
個展の開催費用はクラウドファンディングとは別枠で対応する方針です。
これらの準備を通じて、日本の伝統工芸の魅力を再発見し、視覚障害を持つアーティストの無限の可能性を社会に伝えるための基盤を固めています。

①5,000 円 :【追加リターン】手紙+凛心さんオリジナルオリジナル絵葉書3枚+うちわ(竹+プリント紙)凛心さん応援セット
②5,000 円 :手紙+凛心さんオリジナル絵葉書3枚+木版画デザインの手ぬぐいセット
③10,000 円 :手紙+凛心さんオリジナル絵葉書3枚+木版画デザインの手ぬぐいセット+栞2枚(伝統的手摺木版画栞1枚+凛心さんオリジナル手摺木版画栞1枚)
④15,000 円 :【10名様限定】手紙+凛心さんオリジナル絵葉書3枚+木版画デザインのオリジナル前かけセット
⑤20,000円 :【10名様限定】佐藤凛心さん 応援セット
⑥30,000 円 :摺り体験+浮世絵版画持ち帰りプランin 高橋工房
⑦80,000 円 :【27名様限定】佐藤凛心さん限定木版画(佐藤凛心さんサイン・シリアルナンバー・高橋工房証明書印付き・特製額装付き)
⑧200,000 円 :企業名を刻んだ記念作品の浮世絵版画(額縁付き)
⑨500,000 円 :【1名様限定】特別オーダー制作版によるハガキサイズ20枚セット (CAMPFIRE限定制作)
⑩800,000 円:【1名様限定】佐藤凛心さんを囲み、若手職人との食事会 in 高橋工房

【プロジェクトスケジュール】
6⽉:彫り作業開始
7⽉:摺り作業開始
10月6日:クラファンページ公開開始
10⽉9⽇~10⽉12⽇:Sun Gallery and Spaceにて佐藤凛心さんの個展開催
11月25日:プロジェクト終了予定日
【高橋工房その他スケジュール】
9月:フランス出張(8日間)、国際展、国際フォーラムなどイベント多数
10月29日-30日:組合祭りへ出展
11月20日~11月24日:ワールド・ウッド・デイへ出展

本プロジェクトは、伝統技術と現代アートが出会い、斬新で新しい木版画の魅力を生み出す挑戦です。若い才能と職人の技が融合した、唯一無二の作品が誕生します。その一枚一枚が、日本の伝統技術を未来へつながる灯火となります。どうか皆さまの温かいご支援を、よろしくお願いいたします。
最新の活動報告
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佐藤凛心さんの個展を開催しました
2025/10/16 10:212025年10月9日(木)から10月12日(日)まで、20歳の現代アーティスト・佐藤凛心(さとう りん)さんの個展を開催しました。伝統技術と、若きアーティストの鮮やかな感性が交わる作品は、新しい生命を宿したように輝いています。来場された方からは、「伝統と現代の融合が見事」「木版画のイメージが変わった」といった声をたくさんいただきました。展示会場では、制作に使われた版木や下絵もあわせて展示し、“版画が生まれるまで”の過程を間近に感じていただける構成を取り入れました。今回のプロジェクトは、単なる作品発表ではなく、「伝統を未来へつなぐ」挑戦の第一歩です。しかし正直に申し上げると、クラウドファンディングの進捗はまだ十分とは言えません。ですが、私たちは最後までこの挑戦を諦めません。このプロジェクトをきっかけに、「木版画って、こんなに自由で、今の時代にも通じるんだ」と感じてもらえる人を、一人でも増やしたい。その想いで、職人と若手アーティストが力を合わせ、ひと彫りひと刷りに心を込めています。もしこの活動に少しでも共感いただけたら、ぜひご支援やSNSでのシェアという形で応援していただけたら幸いです。皆さまの一人ひとりの声が、この挑戦を未来へとつなぐ力になります。引き続き、活動報告を通して展示の様子や制作の裏側をお届けしていきます。どうぞこれからも温かく見守ってください。高橋工房 ⾼橋由貴⼦ もっと見る




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