(吉備文化財修復所にて、平成24年度建穂寺阿弥陀如来坐像修復打合せ、
左が建穂神社観音堂評議委員会の佐藤四郎氏、右が牧野隆夫氏)
株式会社文化財マネージメントの宮本です。
今回のプロジェクトで、仏像の修復を担当していただく吉備文化財修復所・代表の牧野隆夫先生から、コメントをいただきましたので掲載します。
何回かに分けてupしていきたいと思いますので、お楽しみに!
①自己紹介と建穂寺との出会い
仏像の修復を中心として文化財の修復をしております吉備文化財修復所・代表の牧野隆夫です。
当修復所の活動は、ホームページや拙著『仏像再興』(「山と渓谷社」刊)、最新情報はFacebookでもご覧頂けます。
建穂寺との最初の出会いは、静岡市が仏像の保存修復に本格的に取り組もうとし始めた平成8〜9年頃、市の教育委員会の方から相談を受け、訪ねた2ヶ所の内のひとつが建穂寺観音堂でした。
それほど広くもない観音堂の中には、壁面のガラス戸棚にそれこそ折り重なるように仏像が安置されており、その数に驚かされたものです。
その時は、明治時代の売買裁判で有名になった入り口の両脇に立っている仁王像の調査が主体で、時代を判別するために安置した部屋の壁面と脚立によじ上り、3mもある仁王像から大きな頭を外したのが、懐かしい思い出です。
頭部の首枘部分に江戸時代も半ば以降の銘文が陰刻されており、意外と新しいことに驚かされました。
その後、興味をもたれた各方面からの調査も進み、市や県の指定文化財になる像も出て来ました。
現在まで何体かの修復にたずさわって来ましたが、こちらから出掛けるだけでなく、その間地元の方々も修復の視察に工房まで何度も足を運ばれ、仏像修復をきっかけとして「幻の寺 建穂寺」の将来について、少しずつ考える機運も出て来ました。
今回のクラウドファンディングによる新たな試みが、地蔵菩薩像の修復に止まらず、観音堂の仏像保存のための新しい動きになることを強く望んでいます。