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2011年、上條貴子さんは一人の老舗納豆製造会社の社長と出会いました。その社長から耳にしたのは、天然稲わら納豆が急速に姿を消しつつある現状。便利で大量生産が可能なパック入り納豆が主流となり、無農薬の稲わらを使った納豆づくりは手間がかかるうえに、後継者も減り続けているという厳しい事実でした。
その話を聞いた瞬間、上條さんの心に「この伝統を残さなければ」という強い決意が芽生えたそうです。
上條さんの最初の挑戦は過酷なものでした。無農薬の田んぼに一人で入り、まむしにおびえながら一週間かけて稲わらを集めました。集めた藁は農家の倉庫に運び、脱穀機で丁寧に切り揃え、藁苞(わらづと)をつくる作業に没頭する日々。4か月にも及ぶ根気のいる作業でした。
やがて、その取り組みは一人だけのものではなくなりました。農家の方のハウスをお借りして、一般の方々と一緒に藁苞を作る活動へと発展。2013年には「天然稲わら納豆を守る会」を立ち上げ、仲間とともに天然稲わら納豆の火を守り続けてきました。
上條さんは常にこう語ります。「日本の伝統食は、米と豆の組み合わせです。ご飯とみそ汁、稲荷寿司やおはぎ…。味噌や醤油、みりんもすべて米や豆を原料にした発酵食品です。こうした文化を未来へ残すためには、地球環境を守ることが欠かせません。」
ただ製造法を伝えるだけでなく、原料そのものを守り抜く。大地と人とをつなぐ「天然稲わら納豆」は、上條さんにとって“環境保全型農業”の象徴でもあります。「いね納豆」を通じ、米と大豆の増産という未来への希望を描いているのです。
私たちネーブル・ジャパンも一昨年、上條さんの活動を知り、「この志をともに広げたい」と強く感じました。そしてこれまで、弊社オンラインショップにて「天然稲わら納豆・伊勢ひかり」を販売し、活動を応援してきました。
そうした活動の中のクラウドファンディング「天然稲わら納豆 神鈴」は、上條さんが歩んでこられたこの長い道のりの先にあります。伝統を受け継ぎ、未来へと繋ぐ挑戦。上條さんの物語に、ぜひ皆さまの力をお寄せいただければ幸いです。
松阪利貞堂店主 濱岡正己





