【目標達成のご報告とネクストゴール設定のお知らせ】
探偵小説新刊4冊の出版を目指すクラウドファンディングは、皆さまからの温かいご支援と応援のおかげで、当初の目標金額を無事達成することができました。
心より感謝申し上げます。
この達成は、埋もれたミステリの名作を再び世に送り出すという本プロジェクトの意義に、多くの方が共感してくださった結果だと感じております。
そこで次のステップとして、 ネクストゴールを300万円に設定いたしました。
さらなるご支援をいただくことで、制作・宣伝の幅を広げ、一人でも多くの方にこの貴重な作品群をお届けできるよう尽力してまいります。
引き続き、皆さまのお力添えを賜れましたら幸いです。どうぞよろしくお願い申し上げます。

「春陽文庫・探偵小説篇」第一期完成プロジェクトの事務局、株式会社春陽堂書店でございます。
当社は1878年(明治11年)の創業以来、激動の時代とともに日本の文学界を支え続けてきました。
1889年には後に尾崎紅葉、幸田露伴、泉鏡花らが中心となった文芸誌『新小説』を刊行し、当時の文壇を牽引するようになります。

森鷗外、夏目漱石、芥川龍之介といった文豪の作品、そして江戸川乱歩や横溝正史といった名だたるミステリ作家の作品を世に送り出してまいりました。
この146年の歩みの中で、私たちは「本づくり」を超えた、文化の継承という使命の一端を担ってきたと自負しております。
これも読者の皆様はじめ著者、編集関係者、印刷製本、一冊一冊の本に関わるすべての方々のお力添えによるものと感謝しております。

特に「春陽文庫」は、明治時代から続く当社を支えるシリーズであり、岩波文庫、新潮文庫とともに昭和の文庫ブームを作り上げたレーベルのひとつとして、多くの読者に愛され続け今に至ります。
クラウドファンディングでは、荒俣宏先生の翻訳集成出版プロジェクトで900万円、多賀新先生の画集出版プロジェクトで400万円、それぞれ予想をはるかに超えるご支援をいただき、心より感謝申し上げます。
文芸を愛し出版文化を支える読者の皆様の熱意に、改めて出版社としての役割を実感いたしました。


春陽文庫の歴史は、1897年(明治30年)の福地桜痴『大策士』に始まります。
歌舞伎座を創設した明治演劇界の功労者による記念すべき第1作目でした。
福地は、現代を舞台に文豪たちが繰り広げる人気アニメ「文豪ストレイドッグス」(KADOKAWA)にも登場しています。
1930年代には、ゲーテやチェーホフなどによる「世界名作文庫」、森鷗外や夏目漱石、芥川龍之介、泉鏡花など文豪作品を中心とした「春陽堂文庫」を刊行。
戦後1950年代からは時代小説、とりわけ捕物帳と探偵小説で人気を博します。
野村胡堂『銭形平次捕物控』、江戸川乱歩『人間椅子』、横溝正史『本陣殺人事件』など、1951年の一年間だけで文庫約50冊を出版しました。
1956年には「江戸川乱歩文庫」がスタートし、2015年からの新装版では全30冊を刊行。現在まで乱歩ワールドを支える定番シリーズとして愛され続けています。

2022年から始まった「春陽文庫・時代小説篇」では、名作を甦らせる復刊企画として49冊を刊行しました。
そして2024年、満を持して「春陽文庫・探偵小説篇」をスタートしました。
この新シリーズの最大の特徴は、ミステリ・SF評論家として第一線で活躍される日下三蔵氏による全面監修という点です。
戦前から現代に至るまでの日本ミステリ史を網羅する知見をお持ちの日下氏によって選ばれた作品をお届けしています。


日下三蔵氏は、ミステリ・SF研究家、アンソロジスト、フリー編集者として、
日本推理作家協会、本格ミステリ作家クラブ、日本SF作家クラブの各会員を務められる、この分野における第一人者です。

日下氏は小社の本を大量に蒐集しており、2021年に「合作探偵小説コレクション」の企画を持ち込んでいただいたことでお付き合いが始まりました。
今回の春陽文庫復刊にあたり、その豊富な知識と経験を活かした作品選定をお願いすることができました。

日下氏が重視されるのは、「今読んでも面白い」「なかなか手に入らない希少性」という二つの基準を兼ね備えた作品が多くの読者の手に渡ることです。
特に、書籍の歴史は何百年もあるにもかかわらず、近年出版された作品は電子書籍化されることが多い一方で、文豪が書いた昔の作品、名作ほど電子書籍化されず埋もれてしまいがちなのが現状です。
日本ミステリ界の変遷を知り尽くしている日下氏ですが、その秘密はご自宅に。
ご自身の蔵書の山をラヴクラフトにちなんで「狂気山脈」と呼ぶほどの膨大なコレクションをお持ちなのです。
©写真提供:本の雑誌社、撮影:中村規
その規模たるや、もともと13万冊というもはや図書館レベルの数字でした。
さすがにこれでは大変ということで、ご自身で『断捨離血風録』(本の雑誌社、2025年5月)という本まで執筆するほどの大作業を敢行、2万5千冊を手放されました。
ところが、それでもなお10万冊が残っているという驚異的な状況です。
しかも日下邸にはミステリとSFを中心に、漫画も同人誌も、さらにはビデオテープやCDまで、エンターテインメントに関するあらゆるジャンルのメディアが所蔵されているそうです。
この途方もないコレクションと、それらすべてを把握されている造詣に基づく選書こそが、「春陽文庫・探偵小説篇」の魅力です。
日下氏は多くの作家やご遺族との親しい関係を築いてこられました。
横溝正史氏のご息女や海野十三夫人から直接お話を伺い、作品の背景や創作秘話を解説に盛り込むなどされてきました。

本シリーズのもうひとつの大きな魅力が、美術家・横尾忠則氏による肖像画で飾る装丁です。
横尾氏独特のタッチで描かれた作家の肖像が、書店でもひときわ目を引き春陽文庫の人気を支えています。

既刊8冊のうち甲賀三郎と蘭郁二郎、新刊4冊のうち大下宇陀児と角田喜久雄については、横尾氏がシリーズのために特別に描き下ろしてくださいます。



2024年の横溝正史『死仮面〔オリジナル版〕』を皮切りに刊行した既刊8冊は、ミステリファンの皆様から高い評価をいただいております。
谷崎潤一郎『金と銀』は、文豪・谷崎が手がけた希少な探偵小説作品集です。
佐藤春夫『更生記』は、 文庫になるのが70年ぶりのまさに「発掘」作品。日下氏のセレクトにより、埋もれていた傑作が現代に甦りました。
インターネット上の感想やブログでは、約8〜9割の読者から「読めてよかった」「よくぞ復刊してくれた」という喜びの声や、現代の作品と比べて「日本語の歴史も感じられる」という反響をいただいております。

作家の原稿は現在でこそデータ管理されますが、かつては当然原稿用紙のまま自宅や出版社に保管されていました。
作品が雑誌や新聞の連載小説として掲載されたり本が出来てからは、家族や文学館へ受け継がれ、その過程で原稿の一部が散逸することがあります。
それらが発見されると世間を賑わすニュースにも。

「春陽文庫 探偵小説篇」では散逸した原稿を収録しファン待望の「完全版」を刊行することができました。
横溝正史『死仮面』と今回新刊として出版する国枝史郎『犯罪列車』です。
いずれも作家のご遺族、原稿発見者、研究者、出版元など、たくさんの方々のご理解があっての「完全版」出版です。
ご協力に感謝申し上げます。

2025年12月に刊行予定の新刊4冊は、いずれも大正から昭和にかけて活躍した文豪による代表作です。

大下宇陀児『奇蹟の扉』※代表作
プロフィール
1896年長野県生まれ。
九州帝国大学工学部応用化学科卒業後、農商務省臨時窒素研究所勤務。
同僚の甲賀三郎に触発されて探偵小説を書き始め、1925年「新青年」に「金口の巻煙草」を発表してデビュー。
サスペンス長篇『蛭川博士』で人気作家となり、戦後は『石の下の記録』で1951年第四回探偵作家クラブ長編賞を受賞。
SFにも興味を示し、星新一のデビューの後押しをしたことでも知られる。
あらすじ
画家の江崎良造は、異母妹の淑子が自分を愛していることも知らず、銀座裏の酒場で見つけたモデル・久美子のあやしい美しさに魅せられて結婚してしまった。
しかし久美子の過去には何か秘密があるらしい。
江崎の知人・伊豆原浩との関係は?
久美子をめぐる男たちの謎が次第にあばかれていく!
木々高太郎『彼の求める影』※初文庫化
プロフィール
1897年山梨県生まれ。慶応義塾大学医学部卒、同大学で助教授を務める。
1932年留学生としてソ連でパブロフに師事。
1934年海野十三の勧めで探偵小説の筆を執り、「新青年」に「網膜脈視症」を発表してデビュー。
1936年『人生の阿呆』で第四回直木賞、1948年「新月」で第一回探偵作家クラブ賞短編賞を受賞。
「推理小説」という用語を提唱し、松本清張を強く推薦するなど文学派の重鎮として活躍。
あらすじ
大学助教授の相生浅男は異母妹・夏子の婚約者がかつての教え子・柿岡初雄であると知る。
しかし初雄の想いは実は高校時代の恋人・芳川比叡にあると判る。
その比叡は浅男の生き別れた実の妹で既に病死していたのだが……。
二年後、精神医学の教授・大心池章次の臨床講義が開かれると、その患者が初雄であった。
大心池先生による名推理の顚末は?
角田喜久雄『歪んだ顔』※初文庫化

プロフィール
1906年神奈川県生まれ。
東京府立第三中学在学中の1921年、「新趣味」の懸賞に投じた「毛皮の外套を着た男」が入選してデビュー。
東京高等工芸学校在学中の1926年には早くも探偵小説集『発狂』を刊行。
探偵小説と時代小説を書き続け、『妖棋伝』『髑髏銭』『風雲将棋谷』といった時代伝奇小説で第一線の人気作家となる。
戦後は『高木家の惨劇』などの本格ミステリで人気を博し、1958年「笛吹けば人が死ぬ」で第十一回日本探偵作家クラブ賞を受賞。
あらすじ
京都の喫茶マロニエに、帽子と白マスクで顔の大半が隠れ、古い軍服を着こんだ無気味な男があらわれる。
同僚の明石良輔からこの人物を尾行するよう指示された夕刊紙記者・鳥飼美々は、この白マスクの男が紳士と無言で鞄を交換するのを目撃。
美々は茶色の鞄を手に東京へ向かう男を追うが、追跡しているのは自分だけではなかった。
鞄の中身、そして白マスクの男の正体は?
国枝史郎『犯罪列車』※初文庫化

プロフィール
1887年長野県生まれ。
早稲田大学中退後、大阪朝日新聞記者、松竹座座付き作者を経て大衆小説家として活躍。
伝奇小説『蔦葛木曽桟』で人気作家となり、時代小説『八ヶ嶽の魔神』『神州纐纈城』『血煙天明陣』、探偵小説『沙漠の古都』『犯罪列車』など多数の作品を発表。
1927年小酒井不木とともに合作組合「耽綺社」を設立。
あらすじ
東京駅午後九時四十分発の熱海行き急行列車は「花嫁列車」と呼ばれ、新婚夫婦で賑わっていた。
新聞記者の隠岐健次は親友の浅田と共に、友人の深井正彦と新妻まり子を見送りに来ていた。
翌朝、健次のもとに衝撃の電話が入る。
深井が新婚旅行先の熱海で殺害されたというのだ。
現場に急行する健次は、昨年から世間を賑わす噂の怪盗「影なき男」との関係を疑い捜査が動く!

今回のプロジェクトでは、春陽文庫を愛してくださる皆様に、様々なかたちでお楽しみいただけるリターンをご用意いたしました。
■非売品『春陽堂書店 歴代ミステリ作品目録』
約100年の間に春陽堂書店から刊行された千数百冊に及ぶミステリ作品を可能な限りリストアップした目録になります。
ミステリ評論家・日下三蔵氏による特別編集、コラム付き!
■新刊4冊
ミステリ評論家・日下三蔵氏が厳選した「春陽文庫・探偵小説篇」の新刊4冊。
大正・昭和の傑作ミステリを、横尾忠則氏による装画と柳川貴代氏による装丁でお楽しみいただけます。
・『奇蹟の扉』大下宇陀児(定価1,200円+税)
・『彼の求める影』木々高太郎(定価1,200円+税)
・『歪んだ顔』角田喜久雄(定価1,200円+税)
・『犯罪列車』国枝史郎(定価1,200円+税)
■既刊8冊
ミステリ評論家・日下三蔵氏が厳選した「春陽文庫・探偵小説篇」の既刊8冊。
大正・昭和の傑作ミステリを、横尾忠則氏による装画と柳川貴代氏による装丁でお楽しみいただけます。
・『死仮面〔オリジナル版〕』横溝正史(定価1,000円+税)
・『盲目の目撃者』甲賀三郎(定価950円+税)
・『金と銀』谷崎潤一郎(定価1,200円+税)
・『更生記』佐藤春夫(定価1,100円+税)
・『暗黒公使(ダーク・ミニスター)』夢野久作(定価1,200円+税)
・『女人果』小栗虫太郎(定価1,150円+税)
・『白日鬼』蘭郁二郎(定価1,250円+税)
・『地球盗難』海野十三(定価1,250円+税)
*詳細はこちらからご確認ください(春陽堂書店メディアサイト)。
https://www.shunyodo.co.jp/blog/2024/09/info_shunyobunko_tanteishousetsuhen/
■時代小説篇49冊
ミステリ評論家・日下三蔵氏による選書を含む「春陽文庫・時代小説篇」の既刊49冊。
大正・昭和の傑作時代小説をお楽しみいただけます。
*時代小説篇49冊のラインナップはこちらをご確認ください (春陽堂書店メディアサイト) 。
https://www.shunyodo.co.jp/blog/2023/02/info_shunyobunko/
■文庫手帳
日々の読書記録や、心に残った文章、読んだ本の感想を書き留めるのに最適な文庫手帳。
通常の文庫本と同じつくりで、中身は白紙なので、ノートのように自由に使うことができます。
■謎解き
「春陽文庫・探偵小説篇」の世界観をテーマにした、このクラウドファンディング限定のオリジナル謎解き。
体験型のミステリをぜひお楽しみください。
■革製ブックカバー
春陽文庫オリジナルの革製ブックカバー。
文庫本サイズに合わせたデザインで、日々の読書時間をより豊かにしてくれます。
細部までこだわった上品な一品です。
■『完本 人形佐七捕物帳 全十巻』
「五大捕物帳」とも称される、横溝正史が残した時代劇調ミステリシリーズ。
江戸を舞台に、人形のような色男、佐七が繰り広げる推理劇をお楽しみいただけます。
*A5判・並製本・函入・平均540ページ
*定価4,950円×10巻=49,500円の全10巻セット
*全巻情報はこちらをご確認ください(春陽堂書店メディアサイト)。
https://www.shunyodo.co.jp/blog/2021/09/info_ningyousashichi_torimonocho/
■『合作探偵小説コレクション 全八巻』
1990年代春陽文庫で反響を巻き起こし復刊が望まれていたリレー式ミステリ・合作探偵小説のリニューアル版。
複数の作者によってひとつの作品を成す探偵小説のコレクション。
*四六判・地券紙製本・平均450ページ
*定価4,180円×8巻=33,440円の全8巻セット
*全巻情報はこちらをご確認ください(春陽堂書店メディアサイト)。
https://www.shunyodo.co.jp/blog/2024/11/info_gassaku_tantei_shousetsu_collection/
■春陽堂書店ネットショップ プラチナ会員権(3年間25%OFF)
春陽堂書店ネットショップのプラチナ会員権。
発行より3年間、春陽堂書店ネットショップでのご利用に限り、25%OFF(一部商品を除く)でご購入いただけます。
*春陽堂書店ネットショップはこちら
■横尾忠則氏による絵画作品の複製画
美術家・横尾忠則氏が描く作家たちの肖像。複製画をお届けします。
春陽文庫を彩るお気に入りの絵画作品を、ぜひご自宅の書斎やリビングに飾ってみませんか?ご用意したのは、以下の6点です。

・複製画 A: 横溝正史
・複製画 B: 谷崎潤一郎
・複製画 C: 夢野久作
・複製画 D: 小栗虫太郎
・複製画 E: 木々高太郎
・複製画 F: 国枝史郎

今回のクラウドファンディングでは、一般販売では決して手に入らない特別な資料集として、「春陽堂書店 歴代ミステリ作品目録 日下三蔵・編」をご用意いたします。
1925年(大正14年)に江戸川乱歩の最初の著書『心理試験』を刊行して以来、春陽堂書店の歴史は日本ミステリの歴史と、ほぼ軌を一にしてきました。
戦前にデビューした探偵作家に限れば、春陽堂から著作を刊行していない作家の方が少ないくらいです。
今回のプロジェクトを支援していただいた方々への返礼品として、過去100年の間に春陽堂書店から刊行された千数百冊に及ぶミステリ作品を、可能な限りリストアップした目録を作成いたします。

横溝正史『死仮面〔オリジナル版〕』
1982年のカドカワノベルズ版刊行時に未発見だった第4回を掲載誌から補完。
ファン待望の復刊!
あらすじ
「八つ墓村」事件を解決した金田一耕助は、岡山県警の磯川警部から駅前のマーケットで起きた奇妙な事件の話を聞く。
殺人容疑者の女が腐乱死体で発見され、現場には石膏のデス・マスクが残されていたというのだ。
やがて舞台を東京に移した「死仮面」事件の謎に、金田一耕助が挑む!
甲賀三郎『盲目の目撃者』
国産本格ミステリの黎明期を支えた巨匠による代表的中篇3本を収録。
あらすじ
嵐で沈没した客船ブラジル丸から奇跡的に救出された船医の井田は、帰国後、酒浸りの無為な日々を送っていた。
彼はカフェで出会った謎の青年の依頼で、もう一人の生存者である富豪の相続人・民谷清子を訪ね、殺人事件に巻き込まれてしまう……。
二転三転する事件の意外な結末とは?
夢野久作『暗黒公使(ダーク・ミニスター)』
奇書『ドグラ・マグラ』著者の最たる異色作!
あらすじ
大正九年のある日、警視庁で鬼課長と言われた狭山九郎太の元を、蝋人形のように真っ白な美少年・呉井嬢次が訪れた。
ニューヨークからやって来た呉井は、狭山の助手希望で、以前はバード・ストーン曲馬団に属していたという。
だが、その曲馬団は、帝都を震撼させた「暗黒公使事件」に関わっていたのである……。
小栗虫太郎『女人果』
『黒死館殺人事件』著者の隠れた傑作!
あらすじ
二百数十名の乗客とともに欧州に向かう汽船・穂高丸に某国のスパイが乗り込んでいるとの報せが無電で届いた。
二等運転士の西塔靖吉は洋上でその正体を探る中、社長令嬢・三藤弓子の世話係・吹江伸子が船室で自殺を図っているのを発見する。
伸子の手記には、恐ろしい陰謀に翻弄された彼女の半生が綴られていた!恋と復讐の物語。
谷崎潤一郎『金と銀』
文豪・谷崎潤一郎が手がけた珠玉の探偵小説作品集。
あらすじ
「……けれども僕だっても道徳家であるよりは芸術家でありたいのだ。たとい君のような人間になっても、いい芸術が作れるならば作って見たいのだ」
天才的な素質の画家・青野を殺すことによって、「銀」から「金」の存在となろうとする大川の姿を描く。
佐藤春夫『更生記』
天才作家・島田清次郎をモデルに描く、傑作推理。
70年ぶりの文庫化!
あらすじ
医学生の大場は、ある晩、自殺を図ろうとしている女性を保護し、姉と共に暮らす自宅へと連れ帰った。
だが彼女は頑なに事情を語らず、警察へ行くことはおろか、名前を明かすことも拒み続けた。
大場に相談を受けた猪俣助教授は、彼女が心因性ヒステリーであることを見抜き、精神分析を用いて少しずつその病因を解き明かしていく――。
海野十三『地球盗難』
日本SFの父とも呼ばれる海野十三による科学探偵小説の代表作。
あらすじ
矢追村で魔の森と呼ばれている櫟林で巨大な甲虫を見つけた武夫少年は、草むらに飛び込んだまま姿を消した。
休暇で村を訪れていた大隅理学士は武夫の行方を捜し始めるが、森の中で奇怪な青い閃光を見る……。
洋館に住む老紳士・辻川博士の研究室に隠された怪物の正体とは?
蘭郁二郎『白日鬼』
昭和初期〜戦時中に活躍した才人・蘭郁二郎の代表的スリラー長篇。
あらすじ
晩秋のある日、久しぶりに原稿が売れた文士の河村は、銀座裏の喫茶店ルージュで同席した美少女にひと目惚れする。
その夜、銃声を聞いた河村が警官と現場に駆け付けると、伊豆の兜島開発で世間を賑わせている兜島新興株式会社の海老澤社長が怪死していた!
奇怪な連続殺人の舞台は、やがて孤島へと移って……。

春陽堂書店は明治から146年の歴史を重ね、読者の皆様に支えられながら、春陽文庫というブランドを大切に育ててまいりました。
時代のニーズに沿って変遷を重ね、昭和の文庫ブームを作り出したレーベルのひとつとして愛され続けております。
ミステリという分野は、娯楽性と芸術性を兼ね備えたエンターテインメントであり、埋もれた傑作・名作を正しく後世に伝えることは、私たちに課せられた責務だと考えています。
日下三蔵氏からは、
「とにかく面白いので読んでください!既刊8冊を買ってくださった方は続刊を期待していると思いますが、『こんなの出てたんだ!』という方にも広く届くと嬉しいです」
とあたたかなお言葉をいただいています。
昭和40年代の横溝ブームは国民的なブームでしたが、当時の熱気を肌で感じられた年配の方々にも、現代の新作を楽しんでいる若い読者の方々にも、
このような良質なミステリ作品が存在することを知って読書をより楽しんでいただけたらと願います。
昨今の出版業界を取り巻く環境は決して楽観できるものではありませんが、文化芸術を守り広く求める皆様が確実に存在することを、荒俣宏先生、多賀新先生のプロジェクトで確信いたしました。
今回も、より多くの方々にご支援いただくことで、「春陽文庫・探偵小説篇」の完成という目標を達成し、さらには第二期としての新シリーズ展開への道筋をつけたいと考えております。
皆様からの温かいご支援が、ミステリ文化の継承と発展に繋がります。
何卒、お力添えを賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
株式会社春陽堂書店 一同

皆様からご支援いただいた資金は、書籍の制作費に加え、より多くの方に本を届けるための広告宣伝費、そして返礼品の仕入れや制作費などに充てさせていただきます。
いただいたご支援を一つひとつ大切に活かし、プロジェクトの実現と成功につなげてまいります。

2025年
・09月22日 クラウドファンディング開始
・10月31日 クラウドファンディング終了
・12月上旬 書籍完成(予定)
・12月上旬 リターン発送開始(予定)
・12月中旬 書籍一般販売(予定)
※諸事情により日程が変更となる場合があります。

















支援者の皆様へのリターンは、2025年12月頃のお届けを目標に準備を進めております。
進行状況に応じて整ったものから順次発送を行い、少しでも早く皆様のお手元にお届けできるよう努めてまいります。
皆様にご満足いただける仕上がりとなるよう、制作から発送まで心を込めて進めておりますので、楽しみにお待ちいただければ幸いです。
最新の活動報告
もっと見る【新規プロジェクト】名著『芸づくし忠臣蔵』復刊のためのクラウドファンディング実施のお知らせ
2025/11/17 17:35いつも温かい応援とご支援をいただきまして、誠にありがとうございます。本日、新規プロジェクトである、名著『芸づくし忠臣蔵』復刊に向けたクラウドファンディングがスタートしましたのでお知らせいたします。https://camp-fire.jp/projects/889126/関容子氏が10年以上をかけて執筆し、読売文学賞および芸術選奨文部大臣賞を受賞した本作は、現在も歌舞伎役者が楽屋に置いて読み継ぐ名著として知られています。入手困難となっている本書を、あらためて多くの方に届けるべく、復刊を目指すこのプロジェクト。開始からわずか5時間で、全体の総合ランキング3位に入るなど、大変多くの方からご支援・ご関心をお寄せいただいております。引き続き、皆さまのお力添えを賜れましたら幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。春陽堂書店 もっと見る春陽堂ならではの特別リターンを追加!
2025/10/23 11:36【追加リターン登場】春陽堂書店の歴史を記した記録書『春陽堂物語』を、数量限定でお届けします!1969年に非売品として刊行された、山崎安雄著『春陽堂物語―春陽堂をめぐる明治文壇の作家たち』。本書は、明治の出版界を舞台に、尾崎紅葉、森鴎外、坪内逍遥、夏目漱石、田山花袋、島崎藤村、永井荷風など、そうそうたる文豪たちの姿を活写した記録です。印税や発行部数、装丁、雑誌創刊の裏側など、出版文化が息づく現場を生き生きと描いた貴重なドキュメント。作家たちの肖像写真や書影も多数収録されています。▶1969年5月 春陽堂書店発行(非売品)/360ページ/口絵・資料付/B6判上製本(カバー・グラシン付)※古本ではありませんが、経年によるヤケ・イタミがあります。すでに新刊4冊にご支援くださった皆さまも、ぜひこちらの特別リターンをご検討いただけますと幸いです。最後まで温かいご支援と応援を、どうぞよろしくお願いいたします。 もっと見る
木々高太郎『彼の求める影』編集作業進行中!
2025/10/20 15:58【クラウドファンディング募集終了まで残り11日】皆さまの温かいご支援により、目標金額を無事達成し、現在はネクストゴールに向け挑戦を続けております。たくさんの応援、本当にありがとうございます。ただいま木々高太郎『彼の求める影』の編集作業を進めており、写真は校正ゲラの一部です。編集部では、丁寧に誤字脱字やレイアウトを確認し、完成に向けた最終調整を行っています。刊行に向けて全力で取り組んでまいります。引き続き、どうぞ温かいご支援をよろしくお願いいたします。 もっと見る





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