
2月23日、両国・回向院念仏堂にて『民謡こども食堂・ふれあい寺子屋存続のためのチャリティーコンサート』を無事に開催することができました。ご来場いただいた皆様、クラウドファンディングを通して応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。お越しいただいた方もいらっしゃると思いますが、写真を添えてレポートさせていただきます。
コンサートの幕開けは、澤田響紀さんによる津軽じょんから節の独奏。三味線の一音が念仏堂に響き渡った瞬間、いよいよはじまるという高揚感に包まれました。

開会に先駆け、墨田区の岸川紀子副区長より挨拶を賜りました。回向院には江戸時代の大泥棒として知られた「ねずみ小僧」の墓があり、厳しい警備をかいくぐって大名屋敷に忍び込み、長年捕まらなかったことから、「運がついた」「捕まらない(落ちない)」という縁起にあやかり、受験生の「合格祈願」としても非常に人気があるとお話し下さりました。
また、院内には三味線塚もあり、芸事上達の象徴として親しまれています。芸事のコンサートを開催するにあたってはまたとないこの場所で素敵なご縁をいただき、幕を切る瞬間、改めて感激しました。
第一部(前半)子どもたちのステージ
まずは、ふれあい寺子屋の子どもたちが日頃の練習の成果を披露しました。ドンパン節、東京音頭、炭坑節——どれも、難しい顔をして「お稽古する」ものではなく、笑いながら体で覚えてきた曲たちです。緊張しながらも懸命に歌い、踊る姿に、客席からは自然と笑顔と拍手が生まれました。
なかでも東京音頭は、この日ならではの場面になりました。「月はすみだの屋形船」という歌詞が出てくるこの曲で、子どもたちが開会の挨拶をしてくださった岸川副区長を舞台に誘い込み、一緒に唄ったのです。副区長も笑顔で応じてくださり、会場がひとつになった瞬間でした。子どもたちはきっと、大人になってもこの日のことを覚えていてくれることでしょう。

子ども達の顔にはかわいいペインティングが。コンサートの応援に来てくれたメイク講座の講師、変化師オリ先生の粋なはからいでした。「民謡教室」ではなく「遊びの場所に民謡があった」場所で育ってきた子どもたちが、こうして晴れの舞台に立てたこと——それ自体が、この活動が積み上げてきたものの証でした。
第一部(後半)講師のパフォーマンス
後半は、ふれあい寺子屋で子どもたちを直接指導してくださっている小山みつな先生が子ども達の呼びかけで登場!日本武道館での全国大会優勝・内閣総理大臣賞受賞歴を持つみつな先生、そして津軽三味線全国大会四冠、みつな先生の次男坊の小学6年生・真宙(ひろくん)も登場し、子ども達と一緒におめでたい民謡・南部俵積み唄で客席を魅了しました。

PRタイム
第二部のはじめに、クラウドファンディングで特に手厚いご支援を賜りました浅見太郎さまのPRタイムを設けさせていただきました。古典をわかりやすく解説されている学びYah!TVから、祇園精舎の鐘の音についてクイズがありました。

金の音はどんなの?①ゴーン ②チリーン ③キンコンカンコン
ご来場の皆さんは正解がわかりますよね!?
第二部「名もなき先人の息吹」
第二部のテーマは「名もなき先人の息吹」。庶民の文化として生まれた民謡と、無縁仏をも分け隔てなく弔ってきた回向院の歴史が、静かに、しかし確かに響き合うステージでした。
幕開けは土生みさおさんの津軽三味線の音色から。一音鳴った瞬間、念仏堂の空気がすっと変わりました。そこに吉田昌紀子さんの津軽じょんから節(新節)の歌声が重なり、客席が自然と前のめりになりました。

佐渡おけさ、会津磐梯山〜北海盆唄〜相馬盆唄のメドレーでは、お客様も一緒に声を出す場面も。伊勢音頭、秋田酒屋唄と続いたのち、土生みさおさんによる津軽三味線曲弾きソロは圧巻で、会場が息をのみました。誰もが一度は耳にしたことのある、国境も時代も超えた曲が民謡の楽器で奏でられると、不思議と「名もなき先人」たちへの祈りのように聴こえてきました。
第二部の後半は、第一部で子どもたちと笑顔でパフォーマンスを披露してくださった小山みつな先生が、艶やかなお着物に召し変えて登場。東日本大震災から15年。先生のご縁のある「相馬流れ山」は、福島へのエールを込めた一曲でもあります。厳かに、そして大切に唄い上げられたその声は、念仏堂の空気ごと震わせるようでした。続く澤田響紀さんとの津軽よされ節は、NHK総合「民謡魂」の唄バトルを彷彿とさせる大迫力のステージ。客席からは大きな拍手と声援が飛び交いました。

それぞれの個性が光る演目が続いたのち、牛深ハイヤ節でひとつの頂点を迎えました。牛深ハイヤ節は、北前船とともに全国へ広まり、数多くの民謡の原曲となったと言われる曲です。佐渡おけさも、ソーラン節も、そのルーツをたどればこの曲に行き着くとも言われています。今日演奏してきた民謡たちの「はじまり」の曲で最高潮を迎える——それが、このコンサートに込めた私の願いでした。演奏家の皆さんが客席へと行脚し、間近で三味線・尺八・太鼓の音色が響き渡ると、お客様の目が輝き、会場全体が大きな手拍子に包まれました。

フィナーレはソーラン節。このステージには、特別な参加者がいました。夏から三味線の練習を続けてきた女の子が、プロの演奏家たちと肩を並べて三味線を弾いたのです。その小さな手で弾く三味線の音は、確かに舞台の上で鳴っていました。子どもたちも舞台に加わり、出演者・客席・スタッフ全員が一体となった、忘れられない幕切れとなりました。

クラウドファンディング・ご支援への感謝
今回、44名の皆様からお寄せいただいたご支援(317,000円)は、目標額を超えるものとなりました。この舞台を実現できたのは、皆様のお力添えがあってこそです。集まったご支援は、4月から夏ごろまでの民謡こども食堂・ふれあい寺子屋の活動資金として、大切に使わせていただきます。
今後への展望
満員のお客様に見守られながらコンサートを終えたとき、「続けてきてよかった」という安堵とともに、「続けなければ」という思いが改めて胸に湧き上がりました。
かつて民謡は、田植えの畦道で、漁の舟の上で、祭りの夜に——暮らしの中に当たり前にありました。歌うことは、自然と繋がり、地域の人々と繋がることでした。民謡こども食堂・ふれあい寺子屋は、その「当たり前」をもう一度、子どもたちの日常に取り戻したいという場所です。
ご先祖様たちが、ほんの少し心豊かに生きるために生み出してくれたギフトを、次の未来へ。これからも応援よろしくお願いいたします。
民謡の灯を、ともに未来へ。
#子ども達の日常に民謡を

※活動報告での子ども達の写真は、掲載許可をいただき使用させていただいております




