
介護福祉士・ライターの白崎朝子さんより応援メッセージをいただきました。
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私は自身が虐待被害当事者であることから、死刑囚の永山さん、池田小事件の宅間さん、光市の少年A、京アニ事件の青葉さんらの幼少期の虐待被害に着目してきました。
そして、やまゆり園事件の植松さんの虐待は解明されてはいませんが、本人も気づけていない可視化しにくい虐待があったのではないか……と推察しています。
『永山則夫と再審請求』には、私も短い文章を寄稿していますが、巻末の永山さんの年譜を読み、幼少期に苛酷な虐待を受け、彼が何度も自殺未遂をしていることを知り、胸が潰れる思いがしました。
袴田巌さんの冤罪にも、もちろん心を寄せてきましたが、冤罪ではなく、その手を血に染めてしまった死刑囚の心の闇の深さが他人事には思えませんでした。
もちろん彼らの犯行は絶対に許されないし、ご遺族が極刑を望む気持ちを否定はできません。でも、やはり私はなぜ彼らが罪を犯したのか、そのことを考えてしまいます。
2023年、戦争トラウマの世代間連鎖を考える研究者や当事者の方々と出会いました。私は2002年くらいから、帰還兵の父親などからの虐待の影響が、戦後のDVや児童虐待に少なくない影響を与えているのでは…と考えていました。
虐待の連鎖の背景には、戦争がもたらしたトラウマがあり、そのもっとも悲惨な形が凶悪犯罪となっているのではないのだろうか……と考えています。
戦争でたくさん殺せば英雄という状況下、永山さんの父親は戦地で望まない殺人を強いられ、その暴力状況を生き延びて帰還するも、アルコール依存となり妻子に暴力を振るったのかもしれません。
そして、その暴力できょうだいたちもボロボロとなり、母も永山さんたちきょうだいを遺棄してしまう…。唯一の優しい姉は精神疾患となって入院。その姉に会いたくて、幼い永山さんが家出するというのも、あまりにも哀しいエピソードでした。
永山さんにあのような犯行をさせてしまった背景には、戦争という暴力が無関係ではないと思っています。
私は戦争トラウマのことを考えると、真っ先に永山さん、宅間さんのことを思い出します。
死刑囚の存在と戦争は密接な関係があり、だから国と司法は結託し、再審請求を棄却し、死刑にしてしまうのではないか…とも思っています。
でも、なぜ彼らは他者のいのちを奪ってしまったのか……。その解明なくしては、真の意味での平和はないと思っています。
10代から反戦、反核、反原発運動をしてきた人間として、私はそう確信しています。
本当に平和な世界を探求するため、永山則夫の人生の軌跡をきちんと研究、分析していき、彼の存在の意味を知る必要があると思っています。
このクラウドファンディングに、ひとりでも多くの方のご支援があることを祈ります。
(白崎朝子)
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白崎朝子
介護福祉士・ライター・重度訪問介護従事者研修講師。1962年生まれ。立教大学文学部キリスト教学科中退。東洋鍼灸専門学校卒業。19歳から反戦、反核、反原発、女性解放運動に関わる。介護現場で働きながら母子家庭の当事者運動、ホームレス支援活動、福島原発告訴団・関東事務局長などの運動を続ける。2018年から優生保護法強制不妊手術の訴訟にも伴走した。著書『介護労働を生きる』『Passion ケアという「しごと」』。共著『ベーシックインカムとジェンダー』(いずれも現代書館)他。2009年平和・協同ジャーナリスト基金 荒井なみ子賞受賞。




