雪浦の“循環”を、もう一度取り戻したい。
長崎市の北部にある西海市雪浦地区。人口1000人の小さな地域で、私たちはずっと、人の縁をつなぐ取り組みを続けてきてもうすぐ30年になろうとしています。地域活性化の取組として、イベントの開催、空き家を生かして、人が集まれる拠点づくり、耕作放棄地を開墾して野菜作りなど、私たちは、派手ではないけれど、暮らしの手触りを取り戻す小さな実践を続けてきました。かつて雪浦の森では、豊かな森林資源を活用した炭焼きが主産業でした。今度は私たちがアオモジを植樹することで、新たな循環を生み出したいのです。

近年、農業者が減り、人口減少社会となり、田畑が荒れ、耕作放棄地が目に見えて増えている状況です。そこで私たちは、荒れ果てた耕作放棄地に真剣に取組んでいきたいと考えます。私たちはここに自生しているアオモジに注目しました。アオモジは、クスノキ科の落葉小高木です。実や花は、レモングラスに似た甘い香りを放っています。 荒れた畑にアオモジを植える。 肥料も農薬もいらないこの樹は、落ち葉で土を育て、 森の循環をゆっくりと取り戻してくれる。そして枝葉や実は、精油や香辛料に姿を変えてくれる。 “森の恵みで暮らしを支える生業”になります。
耕作放棄地という地域が抱える「課題の場所」を、豊かな森と、仕事が生まれる「希望の場所」に変えていく。それが、私達の新しい挑戦です。
あなたの応援が、一本の苗を植え、一本の樹を育て、
雪浦の明日の生業と風景をつくります。
自己紹介
はじめまして!私たちは、長崎県西海市・雪浦地区で活動している 特定非営利活動法人「雪浦あんばんね」です。
「あんばんね」というのは、雪浦の方言で「遊んでいきませんか?」という意味。 その言葉のとおり、雪浦の海や山、川に囲まれた豊かな自然と、ここに暮らす人びとの日常を開き、訪れる人も迎える人も一緒に楽しめる場をつくってきました。
その象徴が「雪浦ウィーク」です。1999年から毎年5月に開催してきたされるこのイベントは、住民1000人の雪浦に1万人が集まる、特別な日。雪浦をこよなく愛し、ここに暮らし、またはここで活動する人々によって行われ、、訪れる人と迎える人がともに楽しめるイベントです。25年以上にわたって続くこの催しは、いまや雪浦の顔となりました。

2014年に整備したコミュニティカフェ「ゆきや」も大切な拠点です。海辺の静かな町の空き店舗を改修したゆきやは、シェアカフェとして、みんなが集まる場所となり、現在もスパイスカレーのお店として、雪浦の集いの場となっています。
2016年には、「雪浦にも宿泊施設が欲しい」との想いから、築90年の古民家を生かしたゲストハウスを整備し、2018年に「雪浦ゲストハウス森田屋」をオープン。 1階にはオープンカウンターのカフェがあり、旅人と地域の人がまじりあう交流の場になっています。ときには縁側が舞台になって音楽会が開かれ、町内外の人が集う場にもなることも。 2階には寝室個室とドミトリーがあり、川のせせらぎを聞きながら眠り、朝は鳥の声で目を覚ます。そんな太古から変わらぬ時間を、じっくり味わうことができます。

また、子どもたちが自然のフィールドで思いきり遊べる「森のようちえん あんばんね」や、月に1度皆が集まって食事を囲む「地域食堂 だんらん」など、地域を活性化する活動が次々に広がっています。
30 年前には、宿泊施設や飲食店などなかった地域ですが、皆で様々なことに取組んできて、音浴博物館の創設から、現在ゲストハウスが4軒、農家体験民泊が8軒、飲食店4軒、となりました。SUP、サーフィン体験、クルージング体験、カヤック体験等の受入れもできるようになっています。
どの取り組みも地道に地域の課題に立ち止まらず、一つずつ形にしてきました。
「小さいけれど持続可能な地域をつくる」――それが、雪浦あんばんねの歩んできた道です。
ほどけつつある、雪浦の自然
これまで、イベントや拠点を通じて、人と人をつなぐ仕組みは育ってきました。雪浦には、海、山、川、豊かな自然があるとはいうものの、長崎県西海市は、農業従事者の高齢化が進み、耕作放棄地率も県内で高い水準にあります。雪浦でも田畑が荒れ、森の手入れが行き届かなくなってきました。 その影響は目に見えないところから広がります。落ち葉が減れば土が痩せ、ミミズが減少し、川をのぼるウナギも減少。絶滅危惧種の美しい鳥、ヤイロチョウが訪れる森も、環境が損なわれればやがて姿を消してしまうかもしれません。

「自然と共にある暮らし」――それは、観光で訪れる人や移り住む人が雪浦に惹かれる大きな理由であり、地元の人びとの誇りでもあります。 けれど、その根幹を支える自然の循環が、静かにほどけはじめているのです。
このままでは、これまで築いてきた地域の魅力そのものが失われてしまう。
だからこそ、今、自然の循環に目を向けなければなりません。
雪浦に、いつまでも続く豊かな森と、生業をつくりたい
そこで私たちが始めるのが、「アオモジの森からの贈り物:持続可能な農業プロジェクト」です。
アオモジは、雪浦に自生しているクスノキ科の落葉の小高木。雪浦の気候にも合い、肥料なし・農薬なしで栽培ができる木です。かつて炭焼きや農業が人の営みと結びついて森を守っていたように、今度はアオモジを植えることで、荒れかけた畑や森に人の手を入れ続ける仕組みをつくろうとしています。
アオモジの実を蒸留すると、レモングラスに似た甘い香りの精油がとれます。私たちはすでにその精油を使ってクリームを試作してきました。使ってくださった方からは「香りに癒される」「肌がすべすべになる」と好評です。また実を焙煎するとスパイシーでさわやかな香辛料にもなります。地域の新しい特産品になり得る手応えを感じています。

つまり、アオモジは単なる樹木ではなく、雪浦の森の再生と新しい生業の両方を生み出す存在なのです。 放置されれば荒れてしまう耕作地を、アオモジの森としてよみがえらせる。そこで得られる恵みを商品化し、収益でまた森を手入れする。この循環が回れば、人と自然がともに息づく暮らしを続けていけるのです。
「森を育てることが、そのまま雪浦の未来を育てることにつながる」
そんな挑戦を、このプロジェクトで形にしたいのです。
今回のプロジェクトについて
今回のプロジェクトでは、雪浦の耕作放棄地を活用してアオモジを植え、森を育てていきます。農水省の最適土地利用交付金を活用して、耕作放棄地を開墾して、アオモジを植林していく活動に取組んでいきます。
アオモジは、森を豊かにするだけでなく、暮らしを支える仕事にもつながります。実葉や枝を収穫して精油をとり、クリームや石けんに加工する。実を乾燥させてスパイスにする。――育てるだけで終わらず、かたちにして届けるところまでを一つの流れとして手がけることで、森から生まれる恵みを仕事に変えていけます。こうして得られた収入は、また森の手入れや新しい苗木の植栽に回していきます。「森を守ることが、そのまま地域の生業になる」そんな循環を形にしていきます。
さらに、この取り組みは、人と自然の関わりを広げるきっかけにもなります。農作業を手伝いたい都市の人が訪れ、若者が土に触れる。雪浦を訪れるきっかけとなり、移住や子育てとも結びついていきます。実際に、子どもたちが自然の中で遊ぶ「森のようちえん」とも連動し、アオモジの森が学びや遊びの場として活かされていきます。
耕作放棄地を森にかえすことで、自然がよみがえる。そこから商品が生まれ、仕事が育ち、人が集う。
私たちは、そんなアオモジという小さな実からはじまる、大きな循環を夢見ています。
支援の使い道
みなさんからのご支援は、主に以下に活用させていただきます。
①機材の購入
アオモジの植栽や手入れ、加工に必要な機械や器具をそろえます。
② 土地や森を整えるための費用
今回の土地整備には、国の最適土地利用交付金という支援制度を活用する予定です。制度を使うことで大きな整備を進められますが、一部は費用を担う必要があります。みなさんのご支援は、その部分を支えていただくために活用させていただきます。
さいごに
かつて雪浦の森では、豊かな森林資源を活用した炭焼きが主産業でした。森を手入れし、恵みをいただき、また森に返す――そんな循環がここにはありました。
この取り組みは、自然を守るだけでなく、暮らしの仕事を生み、人のつながりを広げるものです。森を手入れすることがそのまま未来を育てることになる――そんな循環を、ここ雪浦からつくりたいと思っています。
その第一歩を踏み出すために、みなさんの力をお借りしたいのです。アオモジの香りを手にとって感じていただきながら、一緒に雪浦の新しい物語を紡いでいただけたら嬉しいです。






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