こんにちは。『漂流くん』影の編集担当である、ナンバーナインの小禄(@coroMonta)です。すでにプロジェクトも達成しており、追加のご支援までいただいている中ですが、とうとうできちゃいました。
そう、漫画の顔とも言える表紙ができちゃったのです。
そこで、今回は連載開始を前にひと足お先に表紙デザインのお披露目をすべく、活動報告を書いています。
僕が『漂流くん』を初めて読んだのは、まだこの作品が某出版社さんよりボツを食らったネームの状態でした。その頃はたしか、無人島に住む人の生活を覗き見るような漫画だったと記憶しています。(タイトルが確か『ラララ無人島』とかだったような…)
無人島で誰の目も気にせずストレスフリーに暮らす主人公の姿を見て、「あ、いいな」と素直に思いました。そして、ものすごく強引に行くと、もはや監視社会のような窮屈なこのご時世に、この主人公の存在は、読者に何か引っ掛かりを与えるのではないかと思ったのです。
そんなネームが、当初の『コ●ちゃん』や『かり●げクン』のような新聞に載ってそうなゆるふわギャグ漫画から、森もり子さんというブレーンがつき、ゆるさやギャグ要素を抑えつつ、20話完結でしっかりと起承転結のある物語に帰結したことは少し感慨深いものがあります。もう少しで届けられる……。
話を戻します。表紙ですね。先にお見せしちゃうと、こんな形になりました。ドーン!
この、漂流くんのなんとも言えない表情。ギトギトした色味はこの世の混沌を表しているのでしょうか。この不気味さがとても気に入っています。
ここで、少しだけ、表紙デザインができあがるまでのお話をさせていただきます。
誰に表紙のデザインをお願いしたのか。
今回表紙のデザインを依頼したのは、中屋辰平(@shinpui)くんというグラフィックデザイナー。コタさんと一緒に誰にお願いしたいかを相談する中で、いくつか候補があがった中の一人でした。
彼のデザインワークは、依頼主の要望やプロダクトに込めた世界観をちゃんと設計してデザインに落とし込んでいる佇まいがあり、個人的にいつか仕事をお願いしたいと思っていたデザイナーでした。ちょっと毒っぽい雰囲気がにじみ出ているのも好きです。興味のある方は彼のサイトを覗いてみてください。
どういう感じの依頼をしたのか。
お伝えした情報としては、
・『漂流くん』の概要
・一話目のネーム
・その後の展開イメージ
・コタさんの持っているデザインイメージ(『楳図かずお』っぽさ、『ドラえもん』っぽさなど具体的な作品を出しつつすり合わせ)
これくらいです。具体的に、『やる気まんまん』という漫画の表紙イメージを見せたりもしたのですが、抽象的な情報や世界観からデザイナーの力で具象化してもらう方が個人的に好きなプロセスなので、結構抽象的な依頼になったかと思います。その分、デザイナーさんの力を信頼している、という意味もあります。
その後、中屋くんが三つのロゴパターンをベースにデザイン案を上げてくれました。それがこちらです。
ロゴタイプA: 水や雲っぽさを感じるポップな書体を作成し、漂流して朽ちたイメージをフチのデコボコで表現
ロゴタイプB: 漂流する流木のようなイメージの線に。イラストのトーンに合わせて、少しかろやかな印象に。
ロゴタイプC: 楳●かずおっぽい昔のホラーマンガ的な書体に。
で、結論としてはAのロゴタイプをブラッシュアップして表紙デザインになりました。個人的にはBのようなモダンでスタイリッシュなデザインもいいかなと思ったのですが、ディテールのこだわりや世界観が上手く体現されているのがAじゃないかということで、わりとあっさり決まりました。素敵。
最後に、デザイナーの中屋くんから今回のデザインについて一言コメントをいただいたので共有します。
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こんにちは。グラフィックデザイナーの中屋辰平です。
『漂流くん』のタイトルのデザインは、ポップなトーンで水を感じさせる形の文字をまず作り、そのフチをボコボコにして朽ちたような処理を加えて、水の中を辿りついてできたようなロゴをイメージして作りました。
表紙デザインは、漂流くんの孤独なのにひょうひょうとしているキャラクターの感じが伝わるように、あえて人物のイラストはモノトーンにして、背景の色味を奇怪で派手な色使いにして、よくわからないところに一人でいる感じが伝わるようなデザインにしています。ロゴの文字は二行に崩して、あえて左右にズラして入れることで、漂う水の流れを感じさせるように配置しています。
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さて、長くなってしまいましたがクラウドファンディングも残すところあと9日。既に達成しちゃっていますが、追加支援も引き続きお待ちしております!