1.はじめに、ご挨拶
愛媛・松山で、約3000年の歴史を持つと言われる"⽇本最古の温泉地" 道後。その地で私たち水口酒造は、明治28年(1895年)から、唯一の酒蔵として共に歩んできました。
道後温泉本館とほとんど同じ時代に生まれ、道後の歴史と共に酒を醸してきた酒蔵です。2025年には創業130年を迎え、私、水口皓介 (みなくち こうすけ) が6代目の蔵元に就任しました。


2. 道後 唯一の銘酒を守るために、「道後から世界へ、世界から道後へ」。
観光地・道後に根ざす私たちの銘酒 "仁喜多津" は、これまで観光需要に支えられてきました。ですが、パンデミックをはじめとする環境の急変で来訪者が激減し、地域に特化していた私たちの蔵は大きな打撃を受けました。

人影のない街を前に、焦りと悔しさを噛みしめた日々を今でも忘れられません。
同時に、酒米・資材・エネルギーのコスト上昇が続きますが、日本酒は価格に転嫁しづらいため、経営環境は年々厳しくなっています。
それでも、私たちらしい ”素材のよさを活かし、伝統に学びながら挑戦する酒づくり” を決して諦めたくありません。
いま、道後の酒は岐路に立っています。それでも "仁喜多津" には、もっと遠くに届く力があるとも信じています。
観光に依存しない強い蔵へ。都心での認知拡大と、成長を続ける海外市場への展開に踏み出します。
3. 私たちの強み
道後という観光地に酒蔵を構えているため、県外・海外のお客さまと日々ふれあえる環境があります。そのひとときの触れ合いでも、華やかな香りや味わいで土地の恵みを感じられるお酒を目指しています。
遠くから来たお客様にも伝わるように、「日本の良いもの・愛媛の良いもの を一杯の中にぎゅっと閉じ込めて、届くように」という思いから、米・水・酵母など、愛媛産の素材を積極的に使用しています。


酒米の品質確保と価格安定化のため、地元・久万高原町の若手農家と協力し、山田錦の契約栽培に取り組んでいます。
この厳選された酒米が、私たちの日本酒を支えています。
また、近年は国内外のコンテストで評価をいただき、[ 仁喜多津 純米吟醸 さくらひめ酵母 ] が IWC(International Wine Challenge)でゴールドメダルを受賞。400点を超えるエントリーの中から選ばれた、わずか約10銘柄のひとつです。

様々な賞の受賞は伝統に甘えず挑み続けてきた結果であり、「道後から世界へ、世界から道後へ」を体現する一歩です。
5.このプロジェクトで実現したいこと
水口酒造の看板商品 "仁喜多津" を、 道後から世界へ届く酒へと磨き直す〈新章〉へ。

清酒 "仁喜多津" は、華やかな香りと甘い口あたりが人気を博し、既に高い評価をいただいております。それでも次の100年へ挑戦するには、道後から世界へ届く酒に "仁喜多津" を磨き直す必要があります。
一方で、磨き直しには目に見えない費用がかかります。
研究と最適化の検証、原料の質を守ること、要所の設備更新、言語の壁を超えて伝わる装い──ここには書ききれないほど、やるべきことがあります。
造りは勿論、装いも、素材も、設備も、そして体験も、どれか一つでも妥協すれば、香りと余韻は薄れてしまいます。その全てを磨き直すために、皆さまのお力をお借りさせてください。
6.リターンについて
今回のクラウドファンディングから生まれる 新章の仁喜多津を、皆さまと“共につくる証”としてお届けします。
私たちが造る酒は、単なる嗜好品ではありません。伝統と想いを継承し、お客様が「道後へ帰ってきたい」と思っていただくための、人や地域と文化を繋ぐ手段でありたいと願っています。
また、観光客だけに頼らない道後の街づくりを目指し、我々の醸すお酒の力で人と人を繋ぎ、「人がわいわい集う流れ」を作り出したいと考えています。
そんな思いから、お酒のリターンだけではなく、地元の飲食店様と共創する、地元食材を使用したペアリングイベントや、我々の酒造りへの想いを存分に感じていただくための酒蔵ツーリズムなど、さまざまな特別なリターンを企画させていただきました。

7. 最後に
時代は速い歩調で変わり続けています。
一方で変わらないもの、変わっては欲しくないものも確かにあり、その一つが愛媛県人にとって誇りとも言える道後温泉、そしてそこを訪れる皆様の笑顔だと思っております。

道後が「特別な場所」であり続けるように、私たちはこれからも酒を醸し、喜びと縁を結び直す一杯を届けていきます。
道後の変わらぬ思いを、一杯で。
どうか、ご一緒に。
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<こちらは掲示事項・注意点です>
※20歳未満の者による飲酒は法令で禁止されています。20歳未満の方はこのリターンを選択できません。
販売場の名称及び所在地 : 水口酒造(株) 愛媛県松山市道後喜多町3番23号
酒類販売管理者の氏名 :城下 雄一郎
酒類販売管理研修受講年月日 :令和5年12月6日
次回研修の受講期限 :令和8年12月5日
研修実施団体名:松山小売酒販売組合
最新の活動報告
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初夏の蔵より:味を”描いて”言葉にする取り組みをしました!
2025/12/29 11:30磨き直しを進めてきた過程を振り返る中で、改めて印象に残っている2025年初夏の蔵での取り組みを紹介します。磨き直しが決まった時点で、クリエイティブディレクター / デザイナーは何日も現地を歩き回り、水口酒造・仁喜多津について長時間のヒアリングを行ってきました。しかし、酒の魅力の中には言葉だけでは説明しきれない部分があります。そこでこの日は、仁喜多津らしさと、各酒が持つ味の違いについて、しっくりくるキーワードと感覚を徹底的に引き出すことを目的にワークを行いました。言葉中心ではなく感覚をそのまま出すため、描く前に必ずその酒を飲み、香り・口当たり・余韻などの感覚が残っているうちに手を動かしてもらいました。1)白黒+丸だけで表現する 2)一筆だけで表現する 3)カラーで表現する という3つのワークで表現していきます。描いて終わりではなく、筆の滲み、力の強弱、濃度、色の混ざり、色合いを一つずつ深掘りし、「なぜその表現になったのか」「どこがその酒らしいのか」を問い直しながら、杜氏・蔵元のイメージやこだわりを言語化しました。今振り返ると、「この酒をどう受け取ってほしいか」という造り手の意志を、飲み手の体験につながる形に整えていく工程だったように思います。得られたイメージは、味わいごとのボトルパターンや、仁喜多津全体のコンセプトを磨き上げる作業にも反映しています。今後も、こうした積み重ねを活動報告でお届けしていきます。どうぞ引き続き応援よろしくお願いいたします! もっと見る
体験リターンのご紹介_世界で1つの自分だけの酒を造ろう!酒造り体験ツアーにご招待!
2025/12/26 11:30皆様、熱い応援ありがとうございます。リターンの1つとしてご用意させていただいている、酒造り体験ツアーについてご紹介します!見学だけでなく、実際に室(むろ)に入ったり仕込み作業など貴重な体験ができます。夕食には道後の名店でのペアリングディナーもご堪能いただける、大満喫のツアー内容となっております。《詳細》・2026年初・年末の2日間で開催(いずれも平日・土日開催あり)【1日目】 ・8:00:オリエンテーション ・8:30~12:00 日本酒工場見学(室に入っての麹造り見学、仕込み作業体験等含む) ・12:00~13:30 昼食(道後麦酒館) ・13:30~15:00 道後温泉と道後の名称をめぐる道後散策 ・15:00~18:00 一旦解散、自由時間(道後温泉入浴等、思い思いの時間をお楽しみください) ・18:00~21:30 道後の名店でのペアリングディナー【2日目】 ・9:00~12:00 オリジナル日本酒作り(瓶詰め・ラベル作り体験) 作った蔵限定酒 はその場でお持ち帰りいただけます。※本リターンに宿泊は含まれません(1日目の昼食、夕食は含まれます)。みなさんのご参加お待ちしております! もっと見る
新章に向けた造り、順調に進んでます!
2025/12/24 11:30今回は、仕込みについてご紹介します。日本酒の製造過程において、酒母(酵母を増殖させるための日本酒のもと)に麹、蒸米、水を3回に分けて加えて発酵(三段仕込みといいます)させ、「醪(もろみ)」を造る工程が「仕込み」です。もろみは日本酒のもとになるため、日本酒の味を左右する大変重要な工程といえます。適切な温度に冷ました蒸米をかご車に乗せ、酒母や仕込み途中の醪が入っている発酵タンクに運び、人から人へ手渡しでタンク上部から投入していきます。全て投入し終わると櫂入れ(長い棒で発酵タンク内をかきまぜる作業)をし、タンク内の蒸米・醪の温度や酵素が均一になるようにします。櫂入れのタイミングと頻度は各蔵の杜氏の考え方により全く異なります。水口酒造も試行錯誤を繰り返しながら「自身の蔵の正解」を見つける努力を続けています。 設備・経費など限られた中で、試行錯誤を繰り返していますが、皆様のご支援が継続できる力になります。支援者の皆さまに、こうした「新章に向けた磨き上げの進捗」も知っていただけたら嬉しいです。これからも、水口酒造の日々を少しずつご紹介してまいります。どうぞ引き続き応援よろしくお願いいたします! もっと見る







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