
Desig-win 2026のカードデザインを担当されている方の、制作秘話、制作中のエピソードをインタビュー形式で随時ご紹介しております!
今回は、「タイポラプソディ」というカードのデザイン制作を担当した、やぶちゃん(以下敬称略)にインタビューしました。

ーーーマエデ。内でのお名前と、あと差し支えなければ、普段のお仕事の内容であったりとか、マエデ。以外でどんな活動されているかとかを教えてください。
やぶ:
マエデ。ネームは「やぶちゃん」です。今は親の介護をしていますが、以前はIT業界向け就労移行支援所で、Webデザインやコーディングを教えていました。
ーーー担当された「タイポラプソディ」のカードジャンルと、どんな技か教えてください。
やぶ:
カードジャンルは「タイポグラフィ」。「文字の配置をあえてランダムにずらす。視覚的なリズムを生み、自由な印象を出す。」技です。
断りたかった、その技
ーーーどんな経緯でこのカードをやることになったんですか?
やぶ:
自分はマエデ。歴も長いですし、やりたいものをやらずに振られたものは何でもやりますという人の真似をして、何でもいいと言ったんです。
そしたら、プロジェクトリーダーのえりちゃんが「タイポラプソディ」で、と指名されて。文字は難しいし怖いと思って、正直やりたくなかったんです。
ーーーそれで、どうされたんですか?
やぶ:
文字とオブジェクトをバラバラに配置する「ランダムブラスト」という技があるのですが、もうあれでええやんと思って。
▲チーフデザイナーぽてとさんが、前作Desig-winの技「ランダムマキビシ」を引き継いで、生み出された「ランダムブラスト」
ーーー「技として被るよね?はい、終了~。」と(笑)。
やぶ:
そうです。だからこのカードをボツにして、違う技にしてもらおうと思っていたんです。だから最初のラフ案はふざけていました。文字をバラバラにして、福笑いみたいな感じで。
ーーーボツを狙った、まさかの作戦ですね(笑)。
▲ボツを狙って、最初に出したラフ
やぶ:
ところが、チーフデザイナーのかなころさんが、すごく真摯に受け止めてくれはって。自分の中では「この笑いはもう違うな」と思っていたんですが、なぜダメなのかを丁寧にフィードバックとして返してくれたんですね。
それで、真面目に向き合うことになりました。
母の日の花からヒントを
ーーーそこからどう作っていったんですか?
やぶ:
文字だけだと寂しいので、何かの主題の周りに文字を置いたほうがいいんじゃないかとフィードバックをもらって。
ちょうどカーネーションを撮った写真があったので、「母の日に花を贈ろう」というイメージで作ってみました。そこからアートディレクター(以下AD)白旗くんがデザインの参考事例を集めてくれて、相談しながら、最終的にこのモチーフで決定しました。
ーーー素敵なアイデアですね。
やぶ:
ただ、カーネーションだと赤やピンクのイメージが強いので、フォトショのグラデーションマップで加工して、カーネーションとはわからないくらいアートっぽい色にしました。 グラフィックっぽくするためです。
▲「母の日」にちなんだカーネーションをモチーフに。よりグラフィックっぽい表現にするため、色を大幅変更。
デザインのものさし
ーーー方向性を決めるうえで、他に基準にしていたことはありますか?
やぶ:
その頃、Desig-win 2026には、前田さんがよく言う「デザインのものさし(アウトプットの基準となる、判断軸となる言葉)」みたいなものがまだあまり決まってなくて。「それってないの?」とずっと白旗くんに聞いていたんです。
マエデ。プロジェクトの、落書き生まれのアートブック、ピマズン(https://camp-fire.jp/projects/644537/view)だと「部屋に飾れるかどうか、額に入れられるかどうか」を基準にしていました。
そしたら、Desig-win 2026だと「Tシャツにできるか」「ポスターにできるか」という形で、白旗くんが作ってくれて。
▲Desig-win 2026でAD白旗さんが立てた、カードデザインのクオリティアップを図るためのデザイン制作方針
やぶ:
それを聞いてから、方向性がシュッと揃えやすくなった気がします。
ーーーそれを意識した会話の中で、配色も決まっていったとか?
やぶ:
「青山の書店に(ポスターとして)置いてありそうだな」というフィードバックをもらって。
色は最初グレーにしていて、配色が弱いと感じていたのですが、その言葉をきっかけに青にしたら、しっくりきました。
▲「青山の書店に置いてありそうだな」という言葉から、配色が青、オレンジに決定!
バラバラの中にあった「ルール」
ーーー配置で、印象に残っているやりとりはありますか?
やぶ:
前田さんからは「もっとバラバラ感が欲しい」「両端の文字が揃いすぎている」との指摘が。 自分では意図的に、1つ1つの文字間とか、文字の縦や横のラインでそろえてたのに、え、どうしようと思い、、、。
ーーーなるほど。カードコンセプトが「文字配置をランダムにずらして」だから、ということですね。
▲文字間に規則性を持たせるため、揃えて制作したものの、カードのコンセプト上「揃いすぎている」とご指摘が!?その後、文字を5%ずつ横にずらしていく、、。
やぶ:
で、しばらく放置しましたね(笑)。
ーーーいったんストップ、と(笑)。他のカードも並行して担当されていて、それがきっかけで戻ってきたとか?
やぶ:
そうなんです。「タイポスライダー」というカードも同時に進めていたんですが、これがなかなか完成が見えなくて。
最終納期も決まっていて、完成が見えないまま止まっていると、最終的に巻き取られてしまう(最終仕上げをチーフデザイナーが代わりにやる)可能性があると思って。どっちも巻き取りになるのは、絶対嫌だったので。それで一旦それを置いて、この「タイポラプソディ」を完成させることに集中しようと決めました。
そこから、前田さんからの「文字配置をもっとランダムに」というフィードバックに向き合うことに。
ーーー巻き取りをなんとしてでも阻止したかったのですね!
▲「文字配置をランダムに」に向き合ってさらに検証
意見をぶつけて見えた着地点
ーーー最後の文字配置の調整では、AD白旗さんとのやりとりが印象的だったそうですね。
やぶ:
「両端の文字の行だけ揃えないほうがいい」「揃えなかったときの文字の凹凸の形が気になる」といった、細かなやりとりが続きました。白旗くんも忙しくなってきて、フィードバックをテキストベースで返してくれたものの、自分の「これがいい」と思ったものと、白旗くんが「いい」と思っているものが中々合致せず、話が平行線状態で、納得のいく状態で制作が進みませんでした。
ーーー何が、進めるきっかけに?
やぶ:
他のベテランデザイナーさんが白旗くんと、「目指す意図/ゴールは一緒だけど、やり方(表現の仕方)は別でいいか」と刷り合わせている場面を見て。目指す方向性は一致していることを確認しはった上で、やり方の違いをすり合わせてお互い納得できる着地点を見つけていたのです。
自分も同じように、目指す意図は汲み取りつつ、完全に合わせるのではなく「ここが嫌なんです」「これがいいと思います」とはっきり伝えたんです。
ーーー意見をぶつけたんですね。
やぶ:
そうです。
▲端の凹凸の表現で、意見が不一致。表現の仕方は違えど、「文字のパラパラ感を出す」といった目指すゴールは一緒。
ーーー最後のフィニッシュの文字配置は、どうたどり着いたのですか?
やぶ:
最後はAD白旗くんとFigmaで画面を共有しながら、その場で一緒に画面をいじりながら配置を調整しました。話し合いながら、細かくピクセル単位で、左右上下文字の位置を調整し、最終的にはお互い納得し、一緒に落としどころを見つけていく形に落ち着きました。
目指すゴールは一緒。自分の意見も大切に!
ーーーその経験から、どんなことを学びましたか?
やぶ:
ADさんがこれがいいと思っていることに対し、自分の中で「本当は違う」と思っていても、黙っていて向き合わずに放置していると、あとで「やっぱりこっちが良かった」と後悔することになりかねません。
だから、遠慮せずにきちんと、自分の意見を言うことが大事だと感じました。同じような考え方でやり方が違うだけだと伝われば、ちゃんと納得してもらえるんだと分かったのは、大きな収穫でした。
▲最終的に完成したカードがこちら!
ーーー最初はボツにしたかったカードが、こうして完成にたどり着いたんですね。ありがとうございました!
次は、同時並行で制作されていた2枚目のカード「タイポスライダー」について伺います!お楽しみに!
※制作途中の画像を含むため、カードデザイン等は一部変更になる場合がございます。
・・・・・・・・・・
プロフィール
マエデ。ネーム:
やぶちゃん
プロフィール:
着物作家のもとでの企画営業やカバンメーカーでの商品企画を経て、ものづくりの面白さに惹かれ、デザインの世界へ。デジタルハリウッドでWebデザインとFlashを学び、Web・システム制作会社でUIデザインやWebサイト制作に携わる。あわせて同校でティーチングアシスタント(TA)を務め、IT業界向け就労移行支援事業所ではWebデザインやコーディングを指導。現在は親の介護の合間に前田デザイン室で活動し、Desig-win 2026ではカード制作や新ルール開発を担当。遊びながらものづくりをすることが好きです。
SNSアカウント:
・X:@yasu_dspro
担当カード:
タイポラプソディ
タイポスライダー



