
【毎日更新】第18回『LOVE IS [NOT] DEAD.〜おやじパンクス、恋をする〜』
——っていうような話を、俺は皆にかいつまんで話した。
彼女の「友達になってくれないかな」という言葉の場面で、ゴクリ、と誰かが生唾を飲む音が聞こえた。
「そ、それで、どうなったんだよ」タカが真剣な表情で聞く。
「なんともまあ、青臭え話だなおい」ボンがタバコに火をつける。
「言ってやるな、モテねえ奴はこういう妄想を楽しむしかねえんだ」涼介の無慈悲なツッコミ。
「妄想じゃねえよ」と俺は笑いながら言う。よくわかんねえけど、照れ笑いだ。なに照れてんだバカ。
「でも実際、どうなったんだ」とボン。
「なったよ、友達に」俺は答える。
「おお、やったな」タカが嬉しそうに言う。
「いや友達にはなったんだけどよ、じゃあどっか遊びに行こうか、みてえにはならねえわけよ。学校で見かけることもときどきあったけど、彼女の方がひとつ上だったし、俺はビビリのチキン野郎だったし、別にどうこうなるわけでもねえ。まあレストランには変わらず行ってて、彼女は俺に手を振ったりしてくれたけど、こっちとしちゃ振り返すわけにもいかねえだろ。親父やお袋に知られたくなかったし」
「なんで?」とタカ。
「なんでかなあ。よくわかんねえけど、そうだったんだよ。で、そうこうしてるうちに親父が異動になって、引っ越すことになりましたと。俺は転校して、レストランにも行けなくなって、彼女にも会えなくなって、はいおしまい。そういう切ねえ話さ」
「切ねえ話ねえ」涼介が言う。
「もったいねえなあ。可愛かったんだろ?」ボンがうまそうに煙を吐き出す。
「ああ、可愛かった。確かにもったいなかったなあ。あのまま関係が発展してたら、俺は彼女と結婚して、そんで離婚なんかせずに、幸せな家庭を築いてたかもしれねえ」
「ねえよ」ボンが笑う。
その時おばちゃんが料理を運んできて、俺たちそれぞれの前に置いた。お待たせしちゃて、ごめんなさいね、そう言って伝票を丸めて、頭を下げる。
で、また厨房の方に戻ろうとしたとき、何を思ったか涼介が「ねえおばちゃん」と声を掛けたんだ。
〜第19回に続く〜
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本日はここまでです。
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それでは、また明日。
児玉ロウ




