
【毎日更新】第20回『LOVE IS [NOT] DEAD.〜おやじパンクス、恋をする〜』
しばらくしたらチリンチリンつって扉が開いた音がして振り返ると、水色の作業服来た四人組が入ってきたところだった。慣れた感じで、入り口脇にある棚から新聞やら雑誌やらを手にとって、こっちに近づいてくる。
そのうち先頭にいた若い兄ちゃんが俺たちに気づいて、ギョッとした顔つきになった。
まあ無理もねえ。きったねえ革ジャン着たおっさんパンクスに対する反応としては、しごくまっとうだ。だいたい、俺らはこういう態度には慣れてるもんで、別に嫌な気になったりしねえ。むしろなんつうか、驚かせちまってゴメンな兄ちゃん、てな感じでさ。
まあ、じゃあ行くかつって、相変わらずダンマリ決め込んでる涼介の方を見ると、その顔のニヤニヤがさらにすごいことになっていて、さすがの俺もゾッとした。
「お前、快楽殺人者の役とかやったら、なかなかいいんじゃねえかなあ」ボンが真面目な口調でそう言って、タカも「ああ、快楽殺人者の役とか合ってるかもなあ」と同意する。
「バカなこと言ってねえで行くぞ」って俺は席を立った。
こういう社会不適合者は、用事がすんだら早々に立ち去るべきだ。ボンとタカが先に出口に向かっていって、俺もその後をついていこうとした。だけど、涼介がまだ立たねえわけだ。いい加減頭に来たんだけど、ふと、涼介がニヤつきながら見ているその視線の先が気になった。
つまりはあれだ、窓の外。
俺はあの部屋——かつて「友達」になったあの女の子が住んでいた部屋——に自然と焦点をロックしたんだが、驚いたよ。
さっきまで閉まってたはずの赤いカーテンが、ちょっとだけ開いてるんだ。
最初見たときは隙間が全くなくて、左右のカーテンが完全に重なっていたはずだから、これはつまり、あの部屋の「住人」が中から開けたって以外、考えられない。
そのとき俺の頭の中に、さっきの涼介とおばちゃんの会話が浮かんだ。
「あのマンションって、分譲?」「たぶんそうよ」ってやつだ。
俺はハッとして、視線を戻したが、そこにもう涼介はいなかった。
いつの間に移動したんだろう、既に涼介はレジのとこにいて、おばちゃんからお釣りを受け取っているところだった。ボンとタカはその隣で、本棚にあった雑誌のエロページを開いて満面の笑みを浮かべている。店員はおばちゃん一人なんだろう、さっき入ってきた四人組に対応しなきゃいけないのに、いつまでも席でグズグズしてる俺を不安そうな表情で見ている。
俺は慌てて、ほとんど小走りってくらいの急ぎっぷりでレジに向かった。いやそれは、おばちゃんを待たせて悪いなっていう意味でもあったんだけど、それよりさ、涼介が考えてるかもしれない「恐ろしい計画」について、今すぐに問いたださなきゃいけねえって思ったからだよ。
〜第21回に続く〜
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本日はここまでです。
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それでは、また明日。
児玉ロウ



