
【毎日更新】第21回『LOVE IS [NOT] DEAD.〜おやじパンクス、恋をする〜』
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俺の予想は的中した。
涼介の野郎、ビルを出ると早々に、道路を横断して向かい側にズカズカ歩いて行きやがった。その先にあるのはもちろん、例のマンションだ。「あいつ、どこ行くんだ?」というタカの言葉を背中に聞きながら、俺は涼介を追った。
だが、そういう時に限って車が来るんだよな。まるで恋愛ドラマ。近づきかけた二人の気持ちをトラックが引き裂いた。はは、なんだそら。細い二車線のクソみてえな道路じゃねえか、さっきまで全然車通りもなかったくせに。だいたいこんなつまらねえ町に何の用事があんだよアホンダラ、と理不尽な怒りを感じながら何台かの車をやり過ごし、やっとマンションの下に到着した時には既に涼介の姿はなかった。
古いマンションならではの、よく言えば重厚、悪く言えば陰気なエントランスが口を開けていた。
昔の建物だからエレベーターなんかねえんだろう。いや、そもそも五階建てには付かないんだっけ、なんてどうでもいいことを考えながら、薄暗いエントランスを睨んだ。奥には階段が見えている。
頭の中で、マンションをレントゲン撮影したみたいに透明にして、階段を上っていく涼介の姿を想像してみる。
想像上の涼介が五階に差し掛かる前にボンとタカが到着して、「涼介は?」と聞いた。
「こん中だ」
「こん中?」タカが聞く。
俺は苛立ちながら答える。
「だから、このマンションの中だよ。あいつ、五階に行ったんだ」
「五階?」タカ必殺のオウム返し。ああもうこのバカ、いい加減にしやがれ。
「ああ、分譲かどうかって、そういうことか」ボンがタバコに火をつけながら独りごちる。
「なんだよ、どういうことだよ」一人事情の分かっていないタカが、駄々をこねるガキのように言う。
「だから」俺は説明した。
要するに涼介は、俺の話の中に出てきた「彼女」がまだあの部屋に住んでいるかもしれないと考えたわけだ。三十年も経っているから普通は引っ越したと考えるもんだが、分譲マンションだったら移動していない可能性はあると踏んだ。で、おばちゃんに聞いたらやっぱり分譲だと言う。
「カーテン赤かったしなあ」ボンが何気なく言う。
「どういうこと?」とタカ。
「こいつの話の中でも、あの部屋のカーテンは赤かっただろ。同じ部屋で同じ色のカーテンとくりゃ、同じ人間が住んでるような気がしないでもない」
〜第22回に続く〜
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本日はここまでです。
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それでは、また明日。
児玉ロウ



