
繋がっていく、キタキューの絆
東京にいた頃、僕が板の上に立つ舞台を観に来てくださっていた北九州の大先輩、Sさん。
今日はそのSさんに導かれ、街のあちこちへ挨拶回りに伺いました。
「北九州で映画を撮るそうなんです」Sさんが繋いでくださる方々は、どの方も本当に素敵で温かい方ばかりでした。
一人ひとりと目を合わせ、言葉を交わすたびに、「必ずこの映画を完成させて、最高の形でお返しをしなければ」という心地のよいプレッシャーが、僕の背筋をすっと伸ばしてくれました。
そして、隣にはプロデューサーであり制作担当のMさん。
撮影が始まれば改めてご紹介しますが、今は共に走り、共に悩み、支えてくれる心強い相棒です。
小倉から黒崎へ、夢を現実に変える道中
挨拶回りを終え、Sさんと別れてMさんの車で小倉から黒崎へと戻る道中。
車内では、企画のブラッシュアップやスケジュールの整理など、現実的な「戦術」をひたすらに話し合いました。
窓の外を流れる見慣れた景色。
でも、一人で帰省していた時とは違う。
隣に仲間がいて、街には待ってくれている先輩がいる。
その事実だけで、アクセルを踏む音さえも力強く聞こえるような気がしました。黒崎に戻ると、昨日と同じようにトングを手に取りました。
でも今日は1人じゃない、Mさんは軍手をはめて、参加。商店街の隅に落ちているタバコの吸い殻。 一つ、また一つ。
Mさんと二人で黙々と拾い集める時間は、浮き足立ちそうな心を地面に繋ぎ止めてくれる、大切な儀式のようでもありました。
『ふじいの明太子』と、ご夫婦の笑顔
ふと足が止まったのは、以前Mさんと立ち寄った『藤井兄弟物産』さんの前でした。
あの日買った干物の美味しさが忘れられなくて、気づけばそこに。
ご夫婦が、出迎えてくれました。 僕は「ふじいのからし明太子」を、Mさんは天ぷらを手に。
お店の片隅で、最近のパレードの話や、おじちゃんたちの姪っ子さんの話、そして僕らの不器用な挑戦の話……。
「頑張って」その一言が、買ったばかりの明太子の箱よりもずっと重く、温かく、胸に響く。
この明太子はネットでも買えるけれど、この場所で、このご夫婦と笑いながら受け取った「温度」だけは、ここに来ないと手に入らない。
「ことば」を紡ぐ、その前に
Sさんが繋いでくれた縁。
Mさんが共に拾ってくれたゴミの重み。
そして、藤井さんご夫婦がくれた、心強い応援の声。
今日いただいた温かい言葉、明太子のピリッとした辛さ、間違いなく自分自身の血肉となり、映画の中に息づいていくはず...そうであってほしい。
誰かのため、この街のために。
監督・脚本 犬塚俊輔
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